現代最高の多国籍ジプシーバンド、BGKO新作
雑多で祝祭的なバルカン音楽を体現するスペイン拠点のバンド、バルセロナ・ジプシー・バルカン・オーケストラ(Barcelona Gipsy balKan Orchestra)の音楽はいつだって楽しい。能天気なようでいてどこか哀愁を感じさせる音楽。生活感と生命力に溢れ、体の奥底から湧き上がってくるような音楽。2000年代初頭に日本のワールド・ミュージックファンを席巻した派手で哀愁に満ちた“ジプシーブラス”は最近はあまり巷で聞かれなくなってしまったように感じるが、彼ら通称”BGKO”はブラスこそ居ないものの、そんなジプシージャズ楽団の現代最高の楽団だ。
新作のタイトルは『7』。7枚目のアルバムだから、このタイトル。適当すぎない?前作まではきちんとタイトルつけてたのに。これも音楽の内容そのものに集中した結果と好意的に捉えておこう。今作の楽曲も演奏も歌も、やはり最高だ。彼らのオリジナルからトラディショナル、(10)「Cu Ti Lu Dissi」といった往年の名曲のカヴァーまで、変幻自在にBGKO流にアレンジ。あとは、全てを忘れて踊るだけだ。
地中海周辺の伝統音楽を現代に蘇らせる、世界で最も成功したグループ=BGKO
バルセロナ・ジプシー・バルカン・オーケストラ(BGKO, 旧称:バルセロナ・ジプシー・クレズマー・オーケストラ)は2012年にスペインのバルセロナで結成された。アコーディオン奏者マティア・シロサ(イタリア)、ベース奏者イヴァン・コバチェビッチ(セルビア)、ギタリストのジュリアン・シャネル(フランス)、パーカッショニストのステリオス・トギアス(ギリシャ)、クラリネットのダニエル・カルボネル(スペイン)、ヴォーカリストのサンドラ・サンジャオ(スペイン)が設立メンバーで、クラリネット奏者の脱退を機にバンド名を現在のものに変更している。
演奏する曲は主に地中海周辺の伝統的な音楽の再解釈で、デビューアルバム『Imbarca』(2012年)に収録のジプシー賛歌「Djelem Djelem」などはYouTubeでも1400万回以上再生されるなど、ワールド・ミュージックの分野で最も注目を浴びているバンドとなった。
2019年にリードヴォーカルがサンドラ・サンジャオからイタリア出身のマルゲリータ・アビタ(Margherita Abita)に交代。精力的な活動を続けている。