最高の歌とダンスが、ここにある。現代フォホーの傑作
ヴォーカリストのマリアーナ・アイダール(Mariana Aydar)と、アコーディオン奏者メストリーニョ(Mestrinho)による絶品フォホー『Mariana e Mestrinho』。ト・ブランヂリオーニ(Tó Brandileone)によってプロデュースされ、北東部(ノルデスチ)音楽の伝統的な音楽性を軸にしながらも、サウンド面はしっかりと現代感覚が織り込まれた作品に仕上がっている。
収録された楽曲は往年の名曲もあり、ノルデスチ音楽の現在と未来を示すような曲もありとてもバラエティ豊かだ。ドミンギーニョス(Dominguinhos, 1941 – 2013)の(1)「Cheguei pra ficar」で幕を開け、フォホー独特の郷愁を帯びた(2)「Te faço um cafuné」、楽しげな(3)「Boy Lixo」といったように、心を動かす北東部音楽の真髄が詰まっている。
(5)「Alavantu Anahiê」には北東部出身のジュリアナ・リニャレス(Juliana Linhares)、イザベラ・モラエス(Isabela Moraes)がゲスト参加。BPMは速く、ブラスやアコーディオン、パーカッションによる見事なアレンジとも相まって鼓動を高鳴らせる。
(6)「Até o fim」にはブラジル音楽界のレジェンド、ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)がヴォーカルでゲスト参加。メストリーニョ作曲の落ち着いた曲調で、つづくドミンギーニョスも愛した感傷的な曲(7)「Preciso do seu sorriso」へと繋げる。
Mariana Aydar 略歴
マリアーナ・アイダールは1980年ブラジル・サンパウロ生まれ。父マリオ・マンガ(Mário Manga)はルル・サントスやルイス・ゴンザーガといったアーティストをプロデュースしたことでも知られるマルチ奏者/作編曲家で、彼女自身もチェロやギター、歌などを幼少期から学んだ。
マリアーナは音楽を学ぶために2004年にフランスのパリに渡り、そこでセウ・ジョルジ(Seu Jorge)に出会い彼のツアーにも同行。2006年に『Kavita 1』でデビュー、2020年にはラテングラミー賞も受賞するなど名実共にブラジルを代表する歌手となっている。
Mestrinho 略歴
アコーディオン奏者のメストリーニョは1988年にブラジル北東部沿岸のセルジッペ州イタバイアーナに生まれた。祖父も父も兄妹も音楽家という家庭で、6歳からアコーディオンの演奏を始め、12歳からプロとしての活動を開始。
ドミンギーニョスに師事し最後のツアーに同行、さらにはジルベルト・ジルのジョアン・ジルベルト歌曲集『Gilbertos Samba』(2014年)にアコーディオン奏者として参加するなどブラジル北東部音楽の伝統を継承する音楽家として注目される。
2014年作『Opinião』でシンガーソングライターとしての豊かな感性も発揮。ノルデスチ音楽にアメリカのAORを取り入れた洗練された音楽性は高い評価を得ている。
Mariana Aydar – vocal
Mestrinho – accordion, vocal
Feeh Silva – zabumba, triangle
Leo Rodrigues – percussion
Tó Brandileone – synthesizer, guitar, bass, piano, percussion
Will Bone – trombone, trumpet, saxophone
Guests :
Juliana Linhares – vocal (5)
Isabela Moraes – vocal (5)
Gilberto Gil – vocal (6)