グスタヴィート、個人的な恋愛をテーマにした新譜『Me Gusta!』
ブラジル・ミナスジェライス州ベロオリゾンチ出身で、同地のインディペンデント・ミュージック・シーンで確固たる実績を誇るSSWグスタヴィート(Gustavito)が自身8枚目となる新譜『Me Gusta!』をリリースした。プロデューサーにセーザル・ラセルダ(César Lacerda)を迎え、とりわけブラジル北東部音楽のフォホーに強く影響を受けた楽曲を多く収録した作品だ。
アルバムはグスタヴィート自身が「太陽のように明るくダンサブルで、ブラジルらしい美学が詰まった作品」と形容するように、軽やかでポジティヴな雰囲気に満ち、現代社会の緊張感の中でリスナーに“癒し”や“喜び”を提供することを目指している。アルバムのテーマはグスタヴィートの個人的な過去4年間にわたる恋愛関係──とりわけ現在の恋人であり、今作にも参加しているカミラ・ボレンスタイン(Camila Borenstain)との関係──に触発されており、恋の始まりから情熱、別れ、そしてその後の再解釈まで、恋愛のさまざまな段階を描写している。
(1)「Dona Zica」はアンドレ・ミランダ(André Miranda)の曲のカヴァーで、グスタヴィートは2008年にこの曲をフェリペという旅人から教わった。「愛する人に手紙を送りたい」と切望するこの曲がアルバムに相応しいと考えたグスタヴィートは、2年間をかけて作曲者を探し出してアルバムの収録にこぎつけた。ここではショッチ(Xóte)と呼ばれるフォホーのリズムの一種を採用し、コズミ・ヴィエイラ(Cosme Vieira)が弾くアコーディオンを特徴としながら繊細な感情を表現している。
(3)「Saudade」には歌手ジュリアナ・リニャレス(Juliana Linhares)が参加。典型的なフォホーのリズムで演奏され、曲名のとおり、ブラジル音楽の真髄であるサウダーヂ(“郷愁”、もしくは“エモい”と訳される)を感じさせる今作のベストトラックのひとつとなっている。
MPBやロック、ブラジル音楽の感覚を融合させた(4)「Estrela Guia」も素晴らしい旋律だ。アレンジもサウンドもセーザル・ラセルダらしい明るい仕上がり。
グスタヴィートとカミラ・ボレンスタインの共作曲で、フォホーのリズムが強調された(5)「Ela Vem pra Dançar」もダンサブルで印象的。
ラストの(8)「Nanaê」はグスタヴィートと恋人カミラの親密なデュエット。二人の友人であるジュリアの息子カエルにインスパイアされた曲で、「次世代」や「まだ見ぬ子」へのメッセージが込められている。ルイス・ゴンザーガの名曲「Asa Branca」を彷彿させるシンプルで親しみやすい楽曲だが、ファビオ・サー(Fábio Sá)が弾くインドの擦弦楽器エスラジが絶妙なアクセントを加えている。
Gustavito Amaral – vocal, guitar
César Lacerda – flute, guitar, synthesizer
Cosme Vieira – acorddion
Fábio Sá – bass, esraj
Jota Erre – percussion
Felipe Ventura – strings
Ceumar – background vocals
Nô Stopa – background vocals
Guests :
Juliana Linhares – vocal (3)
Paloma Del Cerro – vocal (6)
Tainá – vocal (7)
Camila Borenstain – vocal (8)