グローバルカルチャーとソニック・フュージョンの鮮やかな祝典
デンマークのインストゥルメンタル・セクステットであるサンボーン(Sunbörn)と、イタリアのDJ/プロデューサーClap! Clap!(本名:Cristiano Crisci)がタッグを組み、「グローバルカルチャーとソニック・フュージョンの鮮やかな祝典」を体現する作品『Earth Is Begging』。サンバもアフロビートもファンクもジャズも飲み込み、強烈なダンス・ミュージックを展開する良盤だ。
アフロブラジル文化の豊かなリズムと、ジャズの即興をブレンドした(1)「Acarajé do Salmão」(曲名はアフリカ由来のブラジル料理の名称)でリスナーは惹き込まれ、つづくアフロ・イタリアンの歌手オウミー(Oumy)をフィーチュアし、アフロビートへのリスペクトを示した(2)「Nigeria 1984」で虜になってしまうだろう。
ブラジルの歌手カロリーナ・レリス(Carolina Lelis)をフィーチュアしたポルトガル語ヴォーカル曲(4)「Vuvuzela Dourada」は今作のキラー・トラックのひとつだろう。軽やかで情熱的なフレーヴォの空気が四畳半に充満するような魅惑的な楽曲で、ワールドワイドな多様性に満ちた今作の中でも際立つ。
パーカッションが乱れ飛ぶ(5)「Saffron Sahara Swing」も最高だ。グナワをベースに、国境なく様々な音楽的要素を闇鍋のようにブチ込み掻き回したインストゥルメンタル。
(7)「Earth Is Begging」にはアフロビートのレジェンドであるフェラ・クティ率いるエジプト80(Fela Kuti & Egypt 80)に鍵盤奏者として参加していたデレ・ソシミ(Dele Sosimi)がフィーチュアされている。
さらに(8)「Dju Dju」にはナイジェリア・ラゴス出身の若手ジャズ・トランペット奏者、エトゥク・ウボン(Etuk Ubong)が参加するなど、インストゥルメンタルとヴォーカル曲のバランスもよい。