ベースとクラリネット“+α”の表現力が楽しい 『Devaneio』
卓越した技巧と、繊細かつ大胆な表現力。互いの音に耳を傾け、指先で呼応する。エフェクターで遊び、心から演奏を楽しむ──。
ブラジルのベース奏者フィ・マロスティカ(Fi Maróstica)と、クラリネット奏者アレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)は約20年前に初めて会ったときから、互いを昔から知っている“古い友人”であるかのように感じたという。彼らの初のデュオ作である『Devaneio』は、クラリネットとベースという最小限の編成ながら、様々な工夫と遊び心によって彩られた、とても美しいアルバムだ。
収録の9曲はすべてフィ・マロスティカあるいはアレシャンドリ・ヒベイロによるオリジナル。コンポーズされた部分と即興演奏が境界なく混ざり合う、現代的なジャズとブラジルの伝統に根差している。各曲ではフィのヴォイス・パーカッションやエフェクトが効果的な演出を加え、単なる“優れた器楽奏者のデュオ・アルバム”を遥かに凌ぐ出来栄えとなっている。
微笑ましいのは、フィ・マロスティカの愛娘アリシの声がサンプリングされた(5)「Alice no Parque」(公園のアリシ)。
フィはソロ・デビュー作『Visão do Mar』(2021年)でも幼い娘の声をサンプリングして「Alice」という素晴らしい曲を作っているが(この曲でクラリネットを吹いているのもアレシャンドリ・ヒベイロだ)、この曲も彼の家族愛が垣間見える多幸感あふれる曲だ。
Fi Maróstica – electric bass, double bass, effect, synthesizer
Alexandre Ribeiro – clarinet, bass clarinet