ブラジル国民がガチで愛するミルトン・ナシメントの楽曲ランキング!|映画『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』公開記念ミニコラム

▶︎映画『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェル・ツアー』
https://www.reallylikefilms.com/bituca

“神の声” と称される伝説的音楽家ミルトン・ナシメント、その半生と2022年最後のツアーに迫った圧巻のドキュメンタリー。ミルトンを崇拝する57名による証言と、本人のインタヴュー&ライブフッテージで綴る115分。


配給/リアリーライクフィルムズ、パルミラムーン
後援/駐日ブラジル大使館、ギマランイス・ホーザ文化院 
2026年7月3日(金)より、恵比寿ガーデンシネマ、109シネマズプレミアム新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー




 で、結局、ブラジルで最も愛されているミルトンの名曲は? その回答になる1つのランキングがあります。

 ブラジルの著作権管理団体(ブラジル中央著作権徴収機関|ECAD)が、ミルトン・ナシメントが80歳の傘寿を迎えた際に発表した過去10年間における「最も再生・演奏されたミルトン・ナシメントの楽曲」ランキングです。



 ECADによるこのランキングは、SpotifyやYouTubeなどの再生回数ランキングではありません。対象となっているのは、ラジオ、店舗や施設でのBGM、パーティーや娯楽施設、カーニバル、フェスタ・ジュニーナ、ショー、ライブ演奏など、公共の場で音楽が使われた回数がカウントされいます。ひとりの聴き手がイヤホンで何度再生したかではなく、ブラジル社会の中で、ミルトンの歌がどれだけ公共空間に鳴っていたかのランキングです。

 ランキング結果をどうぞ! 1位から20位まで!

ブラジル国民が愛する、ミルトン・ナシメント「最も再生・演奏された楽曲」トップ20

(ECAD発表:2012年〜2022年のブラジル国内集計)

1位「Maria Maria (マリア・マリア)」

── 困難を生き抜くすべての女性、そして民衆の力強さを讃える究極のアンセム。

2位「Clube da Esquina Nº 2 (クルビ・ダ・エスキーナ 2号)」

── 言葉のない旋律として産声をあげ、のちに美しい詩が吹き込まれたことでさらなる命を宿した不朽の名曲。

3位「Encontros e Despedidas (出会いと別れ)」

── 駅のプラットフォームを行き交う人々に、人生の無常とサイクルを重ねたバラード。

4位「Canção da América (カンサォン・ダ・アメリカ)」

── 「友とは胸の左側にしまっておくもの」。ブラジル全土で愛唱される友情の歌。

5位「Travessia (トラヴェシア)」

── 1967年、若きミルトンが世に出るきっかけとなった、悲哀と決意のデビュー曲。

6位「Nos Bailes da Vida (人生のダンスパーティーで)」

── 「歌が生まれる場所、民衆のいる場所へ行こう」と歌う、アーティストとしての宣誓。

7位「Bola de Meia, Bola de Gude (靴下のボールとビー玉)」

── 幼い頃の純粋な記憶と、大人になっても持ち続けるべき無垢な心への郷愁。

8位「Nada Será Como Antes (すべては変わっていく)」

── 抑圧の時代に「何かが変わる」予感を歌い上げた、緊張感と希望に満ちた名曲。

9位「Coração de Estudante (学生の心)」

── 民主化運動や追悼の場で大合唱され、社会を動かす炎となった歴史的な一曲。

10位「O Cio da Terra (大地のめざめ)」

── 大地の恵みと農民の労働を力強く讃えた、シコ・ブアルキとの共作による土着の歌。

11位「Cuitelinho (クイチリーニョ)」

── パラグアイ戦争の兵士の悲哀を歌った美しい伝承歌を、深く豊かな声で紡ぐ民謡。

12位「Fé Cega, Faca Amolada (盲目の信仰、研ぎ澄まされたナイフ)」

── 困難な時代を切り裂くような生命力に満ちた、躍動するアフロ・ブラジリアン・グルーヴ。

13位「Paula e Bebeto (パウラとベベート)」

── カエターノ・ヴェローゾとの共作。「どんな形の愛も愛である」と多様な愛を讃える祝祭歌。

14位「Cravo e Canela (クローブとシナモン)」

── スパイスの香りと魅力的な女性への瑞々しい情熱を、軽快なリズムに乗せて描くポップな名曲。

15位「Ponta de Areia (ポンタ・ヂ・アレイア)」

── 廃線となった鉄道への郷愁。ウェイン・ショーターとの共演で世界を驚嘆させた奇跡の融合。

16位「Canções e Momentos (歌と瞬間)」

── 歌が生まれる瞬間と、それが人の心に寄り添う奇跡。音楽への深い愛情を静かに語るバラード。

17位「Clube da Esquina (クルビ・ダ・エスキーナ)」

── 若き才能たちが集い、歴史を変えた伝説の音楽運動の原点となるモニュメント的な一曲。

18位「Certas Canções (ある種の歌)」

── 音楽が人の魂をどのように揺さぶるのか。歌が持つ根源的な力を優しく紐解いていく。

19位「Vera Cruz (ヴェラ・クルス)」

── 大航海時代の船出を思わせる展開。ブラジルの別名を冠し、壮大な歴史とスケール感を描く。

20位「Cais (波止場)」

── 海のないミナスから未知の大海原へと身を投じる、美しくも深淵な旅立ちの歌。

 ランキングに並んだ20の楽曲を眺めていると、ミルトン・ナシメントの音楽が単なる過去の芸術作品という枠を超え、いまも誰かの人生に深く寄り添う「生きたサウンドトラック」であることが痛いほど伝わってきます。

 映画『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』のスクリーンには、ここに並んだ数々の名曲たちとともに、半世紀以上にわたる壮大な音楽の旅の終着点をファンと分かち合う彼の姿が美しく刻まれています。

 レコードや街角で愛され続けてきたあのメロディが、「愛する人々との別れ」というかつてない文脈を帯びて最後のステージから放たれたとき、私たちの胸の最も奥深い場所(左側)に、どれほどの温かい涙を呼び起こすのでしょうか。

 世界中を包み込んできた彼の偉大な声が辿り着いた、美しき大団円。ぜひ劇場へ足を運び、ひとりの芸術家が残してくれた奇跡のような最後の輝きを、心ゆくまで受け止めてください。

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