10月15日(木)に東京・ハクジュホールでコンサートを行う<ヘナート・ブラス & フレンズ>のメンバー中から、今回は、フレッヂ・マルチンス(ヴォーカル/ギター)について紹介。

─ 公演概要 ─
🇯🇵<ヘナート・ブラス & フレンズ>
・ヘナート・ブラス(ヴォーカル/ギター/パーカッション)
・フレッヂ・マルチンス(ヴォーカル/ギター)
・ギリェルミ・ネヴィス(ヴォーカル/ギター)
・マリオ・ジル(ヴォーカル/ギター)
10月15日(木)
開演 19:00(開場 18:00)
ハクジュホール
〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-37-5
チケット購入方法:
①チケットぴあ(Pコード 330-888)
https://w.pia.jp/t/renatobraz-friends/
②Toca de Aparecida(店頭にて)
https://linktr.ee/Toca_de_Aparecida
③木の家イベント(申込フォームより)
https://forms.gle/Md5aZ7RrtSmnG9JHA

Fred Martins (photo by Miguem Muñiz)
フレッヂ・マルチンス|Fred Martins
ブラジルの歌手、作曲家、ギタリスト、編曲家。1970年6月14日、リオデジャネイロ州ニテロイ生まれ。本名フレデリコ・ヒベイロ・マルチンス(Frederico Ribeiro Martins)。サンバやボサノヴァに根ざした音楽を、ジャズ、ブルース、さらにはファドやフラメンコなどとの対話へと開き、独自の歌の世界を築いてきた。ネイ・マトグロッソ(Ney Matogrosso)、ゼリア・ドゥンカン(Zélia Duncan)、アドリアーナ・カルカニョット(Adriana Calcanhotto)、マリア・ヒタ(Maria Rita)、MPB4らがその作品を取り上げており、自ら歌い、奏でる表現者としてだけでなく、作曲家としても広く知られている。
1980年代半ば、マルセロ・ヂニス(Marcelo Diniz)やマノエル・ゴメス(Manoel Gomes)との共作を通じて、本格的に楽曲制作を始める。その一方で、ルミアル出版社(Editora Lumiar)のソングブック制作に約10年間携わり、ヒタ・リー(Rita Lee)、ノエル・ホーザ(Noel Rosa)、ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)、トム・ジョビン(Tom Jobim)、シコ・ブアルキ(Chico Buarque)らの楽曲を採譜。ブラジルの歌を彩る旋律や和声、リズムを、譜面に起こす仕事を通して深く学んだ。1997年には、リオの新世代の歌手・作曲家を紹介するオムニバス盤『O Ovo』(RioArte/Dubas)に参加する。
作曲家としての名を広める契機となったのが、アレシャンドリ・レモス(Alexandre Lemos)との共作「Novamente」だった。1999年、ネイ・マトグロッソのアルバム『Olhos de farol』に収録され、テレビ局グローボのドラマシリーズ『Mulher』でも使用された。続いて2001年には、ゼリア・ドゥンカンが『Sortimento』で、マルセロ・ヂニスとの共作「Flores」と、ゼリア自身との共作「Hóspede do tempo」を録音。優れた歌い手たちとの交流を通して、その楽曲はさらに多くの聴き手へと届いていった。
同年、初のソロアルバム『Janelas』を発表。ハファエル・ハモス(Rafael Ramos)がプロデュースを手がけ、マルコス・スザーノ(Marcos Suzano)、ジュリン・モレイラ(Jurim Moreira)、ファビオ・フォンセカ(Fábio Fonseca)らが参加した。「Flores」「Novamente」に加え、マルセロ・ヂニスとの共作「Tempo afora」や表題曲、スエリ・メスキータ(Suely Mesquita)との「Domingo e feriado」などを収録し、それまで育んできた作品を自身の歌声で提示した。
2004年には、パトリシア・フェハス(Patrícia Ferraz)のプロデュースによるセカンドアルバム『Raro e comum』を発表。マルセロ・ヂニスとの共作を中心に、ルシナ(Lucina)との「Pescaria」、単独作「Cristalino」などを収めた。表題曲にはネイ・マトグロッソ、「A música em mim」にはゼリア・ドゥンカンがゲスト参加し、マルコス・スザーノやDJマルセリーニョ・ダ・ルーア(DJ Marcelinho Da Lua)も演奏に加わった。同じ2004年、ネイ・マトグロッソとペドロ・ルイス・エ・ア・パレーヂ(Pedro Luís e A Parede)の共演盤『Vagabundo』に「Tempo afora」が収録される。
2006年、第9回ビザ・ブラジル音楽賞の作曲家部門で優勝。審査員の満場一致による評価に加え、一般投票でも支持を得た。受賞に伴い制作されたアルバム『Tempo afora』は、2007年にエルドラド(Eldorado)から発売。翌2008年には、サンパウロのライブハウス、ブルボン・ストリートでの演奏を収めた同名DVDが、エルドラドとCanal Brasilの共同制作で発表された。映像監督はパウロ・エンリケ・フォンテネリ(Paulo Henrique Fontenelle)。シコ・シャガス(Chico Chagas)、フェルナンド・カネカ(Fernando Caneca)、ヴィクトル・ベルトラミ(Victor Bertrami)らが参加している。
2009年に『Guanabara』を発表し、2010年には欧州へ移住。スペインのガリシア地方やポルトガルへと活動の場を広げ、ブラジルの歌を異なる土地の言葉や音楽と出会わせていく。2011年にはガリシアの歌手ウシア・ペドレイラ(Ugia Pedreira)とのデュオ作品『Acrobata』を、2015年には欧州での初のソロアルバム『Para além do muro do meu quintal』を発表した。欧州移住後もブラジルとの往来を続けながら、各国の音楽家との共演や国際音楽祭への出演を重ねている。
2015年には故郷ニテロイのフルミネンセ連邦大学(UFF)劇場で公演を行い、その記録を中心とするライブDVD『A música é meu país』が2017年に発売された。ネイ・マトグロッソ、ゼリア・ドゥンカン、ヘナート・ブラス(Renato Braz)、リヴィア・ネストロフスキ(Lívia Nestrovski)、フレッヂ・フェヘイラ(Fred Ferreira)らがゲストとして参加。長年の共作者や演奏家とのつながりを映し出すとともに、国外で暮らす音楽家にとっての「音楽こそ私の国」という題名も印象に残る作品となった。
2021年5月には『Ultramarino』を、ブラジルではビスコイト・フィーノ(Biscoito Fino)、欧州ではアルファ・ミュージック(Alfa Music)から発表。プロデューサー兼録音エンジニアのエクトール・カスティージョ(Hector Castillo)と制作し、2019年にリスボンで録音された作品である。歌とギターの同時録音を核に、アコースティック楽器と電子音を織り交ぜ、親密な響きを追求した。ボサノヴァを軸に、ブルースやファド、フラメンコ、アラブ音楽の影響を受けた音の表情を取り込み、ブラジル、イベリア半島、アフリカを結ぶ音楽的なつながりを探っている。ジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum)、ルイ・コインブラ(Lui Coimbra)、グレン・パッチャ(Glenn Patscha)らが参加した。
2024年には、長年交流を重ねてきたパーカッショニスト、マルコス・スザーノとの共演作『Barbarizando geral』をビスコイト・フィーノから発表。フレッヂの歌とギター、スザーノの打楽器を中心に、サンバをはじめとするアフロ・ブラジル音楽のリズムと、現代社会を見つめる批評性やユーモアを結びつけた。ロベルト・ボゼッチ(Roberto Bozzetti)との共作「Dois chicos」「Ahmed」「Madame maldade」、マルセロ・ヂニスとの「O rancho da seita suicida」、アンドレ・サンパイオ(André Sampaio)との「Senzala」、マノエル・ゴメスとの「Além do qualquer」などを収録。「Ahmed」にはMPB4、「O rancho da seita suicida」にはナニ・メデイロス(Nani Medeiros)が参加している。
2025年には、カーボ・ヴェルデの歌手ナンシー・ヴィエイラ(Nancy Vieira)とのデュオアルバム『Esperança』(日本盤タイトル『エスペランサ〜希望〜』)を発表。同年1月にリスボンで録音され、4月23日にリスペクトレコードから日本先行発売された。2013年の出会い以来育んできた二人の交流が結実した作品で、歌とギターを主体とする簡潔な編成を通じて、ブラジルとカーボ・ヴェルデの音楽に通う親しさを描き出す。自作曲に加え、カーボ・ヴェルデやポルトガルの楽曲、キューバのボレロも取り上げ、他者への思いやりや共存への願いを込めた。ナンシー・ヴィエイラとフレッヂ・マルチンスは、2025年7月にアルバムのリリース記念として来日公演を行っている。
チェリストのジャキス・モレレンバウムとの共演も継続しており、2026年にはジョアン・ジルベルト(João Gilberto)に捧げる公演「Tributo a João Gilberto」を各地で展開。リオデジャネイロ州ヴィスコンヂ・ヂ・マウアーの文化センターで開かれた「Concerto Pela Paz」にも出演した。ブラジルの歌が受け継いできた表現の豊かさを、自身の創作と演奏を通して新たな出会いへとつなぐ活動を続けている。


