- 2020-01-05
- 2024-06-02
ラーシュ・ダニエルソン『Liberetto』シリーズに凝縮された北欧ジャズの多様性と魅力
北欧ジャズを代表するベース/チェロ奏者、ラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)のバンドプロジェクト、Liberetto が始動したのは2011年。ジャズという世界共通言語のもと、国籍を越えて集まったメンバーがヨーロッパ・ジャズの真骨頂ともいえる音楽を美しく結実させた。
北欧ジャズを代表するベース/チェロ奏者、ラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)のバンドプロジェクト、Liberetto が始動したのは2011年。ジャズという世界共通言語のもと、国籍を越えて集まったメンバーがヨーロッパ・ジャズの真骨頂ともいえる音楽を美しく結実させた。
アメリカのジャズトリオ、ハウス・オブ・ウォーターズ(House of Waters)は非常にユニークな存在だ。彼らの音楽を聴けば、まずその非常にきらびやかなサウンドに耳を奪われるだろう。彼らは3人編成だが、特徴はなんといってもバンドメンバーのMax ZTが超絶技巧で演奏する楽器「ハンマーダルシマー」だ。
イスラエル出身、NYで活動したのち現在はフランスのパリを拠点に活動する作曲家/サックス奏者シャウリ・エイナヴ(Shauli Einav)の2019年作『Animi』。ピアノレスのユニークなクインテットによるインタープレイの妙を楽しめる。
イタリア出身でロンドンを拠点に活動する作曲家/ピアニストのマリア・キアラ・アーギロ(Maria Chiara Argirò)の2019年作『Hidden Seas』はジャズ、エレクトロニカ、プログレといった音楽の美味しいところを全て取り込んだ凄まじい音楽作品だ。
南アフリカのジャズバンド、MABUTAはシェーン・クーパーのベースを中心に、ピアノ(キーボード)、ドラムス、サックス、トランペットというクインテット編成。2018年作『Welcome to This World』は、たった5人のバンド編成ながらラージアンサンブルをも思わせるダイナミックなサウンドで世界の度肝を抜いた。
『Across the Sea』は米国のベテランピアニスト、ケヴィン・ヘイズ(Kevin Hays)とイタリア出身の女性歌手キアラ・イッツィ(Chiara Izzi)の双頭名義による極上のヴォーカル作品。
ロンドンのジャズ/ワールドミュージックシーンで最も優れたチェリスト/作曲家として知られるシャーリー・スマート(Shirley Smart)は、イスラエルのエルサレムで10年間中東音楽を学ぶなど、異常に多彩な経歴を持つ女性音楽家だ。
米国のサックス奏者チェイス・ベアード(Chase Baird)の2019年作『A Life Between』は、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau, p)やアントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez, ds)など現代NYジャズを代表するミュージシャンが参加した傑作。太く重く、かつ洗練された知的なソロを吹くチェイス・ベアードに、これからのジャズへの期待を強く感じずにはいられない。
ジャズやクラシック、民俗音楽などが同居した有機的な音楽性が特徴のベラルーシ出身・ポルトガル在住の作曲家/ピアニスト/歌手のカテリーナ・ルドコヴァ(Katerina L'dokova)の2019年新作『Singularlugar: Travessia』は、その多様な音楽的バックグラウンドに裏打ちされた驚くほど上質なアルバムだ。
パラグアイ出身で主にクラシックの分野で活躍するギタリスト、ベルタ・ロハス(Berta Rojas)がブラジル音楽に挑んだ2017年作『Felicidade』は、日本ではあまり知られていないがクラシックギターとブラジル音楽、さらにはジャズの架け橋となる名盤だ。アルバムにはトッキーニョやイヴァン・リンス、ジルベルト・ジルといったブラジル音楽の頂点にいる音楽家たちもゲスト参加。
アルゼンチンの作曲家/ギタリスト、キケ・シネシ(Quique Sinesi)の2019年新譜『Corazón Sur』は、全曲オリジナル、そして彼自身のギター独奏による作品。ほとんどが7弦ギターの演奏だが、曲によっては10弦ギターやフレットレスギター、さらにはアンデス地方の伝統的な弦楽器チャランゴ、ロンロコの演奏も聴くことができる。
アルメニア生まれのフラメンコ・ギタリスト、バハグニ(Vahagni)の新作がリリースされた。『The Life & Death of a Great Matador』と題されたこの3曲入りシングルは、エレクトロニック・ダンス・ミュージックとフラメンコの融合を試みるユニット「パコ・ヴェルサイユ(Paco Versailles)」で得た経験も反映させた、エレクトロ×フラメンコの大胆なサウンドになっている。
インドネシアの首都ジャカルタ、1995年生まれのシンガーソングライター、アルディート・プラモノ(Ardhito Pramono)が凄い!20代前半とは思えない渋みのある歌声や作編曲、かつ若者らしい瑞々しい感性も兼ね備えた新世代ポップスの逸材だ。若いミュージシャンにありがちな奇を衒うような表現ではなく、シンプルに“良い音楽”を提供してくれる、今後要注目のアーティストだ。
現代アルゼンチン音楽を代表するバンド、クリバス(Cribas)のピアニスト、フアン・フェルミン・フェラリス(Juan Fermín Ferraris)の2019年作『35mm』は、私が今年出会ったアルゼンチン音楽の中でも特も気に入って繰り返し聴き続けた作品だ。