- 2022-07-02
- 2022-07-02
どこまでも深い夜に寄り添う音楽。ベルリンの鬼才スタディニツキー新譜『Nocturnal』
ベルリンを拠点に活動するピアニスト/トランペッター/作曲家のStudnitzky | KY ことセバスチャン・スタディニツキー(Sebastian Studnitzky)の新譜 『Nocturnal』は、数曲でパーカッション奏者を迎えていることを除き、全てのパートを彼一人で作り上げた内省的なジャズ/現代音楽作品だ。
ベルリンを拠点に活動するピアニスト/トランペッター/作曲家のStudnitzky | KY ことセバスチャン・スタディニツキー(Sebastian Studnitzky)の新譜 『Nocturnal』は、数曲でパーカッション奏者を迎えていることを除き、全てのパートを彼一人で作り上げた内省的なジャズ/現代音楽作品だ。
イタリアのクラリネット奏者ガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)とアコーディオン奏者のシモーネ・ザンキーニ(Simone Zanchini)による初デュオ作品『Il Gatto E La Volpe』は、リード楽器同士の繊細で豊かな音楽を存分に味わえる傑作だ。それぞれの楽器で世界的なマエストロとして知られる二人の演奏はどこまでも美しい。
ブラジル・ミナスジェライスの音楽を裏方的に支えてきたプロデューサー/作曲家/マルチ奏者のデイヴィド・サントス(Deivid Santos)がキャリア初となる自身名義のアルバム『Em Casa』をリリースした。サンバやフォホーといった土着のリズムに根ざしたミナスの風土らしい爽やかなジャズで、トニーニョ・オルタを彷彿させるまろやかな音色とテクニックのギターに加え、ブラジルを代表するミュージシャンが楽曲毎に立ち替わり参加し卓越した演奏を聴かせてくれる注目すべき作品に仕上がっている。
レバノン生まれのトランペット奏者イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)と、ベナン出身の歌手アンジェリーク・キジョー(Angelique Kidjo)は、ともに現在のワールドミュージックシーンのカリスマだ。現在フランス・パリを活動の拠点とする二人が、初めてのデュオアルバムとなる『Queen of Sheba』をリリースした。
キューバ系アメリカ人のピアニスト/作曲家、マーティン・ベヘラーノ(Martin Bejerano)『#CubanAmerican』がリリースされた。自身のルーツを辿りながら、現代的なサウンドプロダクションもしっかりと取り入れた、多様化する現在のジャズシーンのラテンサイドからの好作だ。
ニューヨークのニュースクールで学び、優れたパフォーマー/作曲家/即興演奏家に対して贈られる「ジョン・コルトレーン賞」を受賞したイスラエル出身のサックス奏者、アサフ・ハリス(Asaf Harris)のデビュー作 『Walk of the Ducks』がリリースされた。この作品は冒頭、最初のほんの数秒で傑作を確信する類の素晴らしいアルバムだ。
北インドのパンジャーブ州にルーツを持ち、イングランド北部のリーズで生まれ育ったシタール奏者/作曲家ヤスディープ・シン・デグン(Jasdeep Singh Degun)のデビュー作『Anomaly』。北インド古典音楽を軸にしながら、西洋古典音楽やジャズといった要素を加え、外向的で完成度の高い作品に仕上がっている。
ルーマニアにルーツを持ち、イタリア/ドイツ国籍、現在はスイスを拠点に活動するSSW、フランチェスカ・ガザ(Francesca Gaza)の3枚目のアルバム『Sfiorire』がリリースされた。プロデューサーはイタリアを代表するトランペット奏者のパオロ・フレス(Paolo Fresu)。クラシック、現代音楽、ジャズ、エレクトロ・ミュージックなど幅広い影響を受けた芸術性の高い音楽で、オクテット編成の繊細かつ時に大胆なアンサンブルも素晴らしい。
フランスの気鋭トランペッター、アントワーヌ・ベルジュー(Antoine Berjeaut)が自身の新譜『Chromesthesia』をリリースした。各プレイヤーもアンサンブルも複雑なことをやっていながら、アルバム全体の温度感は低め。有機的なリズムなのに、どこか無機質的な印象も受ける。この不思議な感覚もフランスの前衛ジャズらしい。
コロンビア出身の鍵盤奏者ヘスス・モリーナ(Jesús Molina)の2019年作『Agape』は、複雑ながら聴きやすくキャッチーなコンポジションを得意とし、ピアノからシンセまで鍵盤上を自由に舞う彼の陽気な音楽性の魅力が詰まった作品だ。サウンドはスムースジャズやラテン寄りの現代的なジャズ。
アルゼンチンのピアニスト、リト・ビターレ(Lito Vitale)と、ギタリストのルイス・サリナス(Luis Salinas)による極上のデュオ作品『Desde el Alma』。そろそろ人生の後期を迎える二人の天才的ミュージシャンが円熟の技で魅せる、言葉を超越する音楽の贈り物のように聴こえる素晴らしい作品だ。
マケドニアにルーツを持ち、独学でベースやヴィオラ、マンドリン、パーカッション、ヒューマンビートボックスなどをマスターしたフランスの音楽家ストラショ・テメルコフスキー(Stracho Temelkovski)のデビュー作『The Sound Braka』。40歳を越えてのデビューアルバムは、今まで広く明らかにされていなかったその卓越した才能を世界に知らしめる驚異的なアルバムだ。
2022年リリースのEP『Orient Express』でシネン・エイディネル(Sinem Aydıner)というトルコ出身のSSWの音楽を初めて聴いたが、ジャズやフュージョン、ファンクといったブラック・ミュージックと中東地域特有の奇数系変拍子のセンスの良い混合具合で一瞬で好きになってしまった。
イスラエルの作曲家/ネイ奏者メイア・ガッセンバウアー(Meir Gassenbauer)のデビュー作『Pier To Infinity』(2021年)は、個性的なアーティストが次々と出現するイスラエルのジャズシーンの中でももっと広く知られるべき作品の最もたる例だ。