- 2023-06-30
- 2023-07-01
多様な音楽的ルーツから独自の音楽を表現。サンパウロの大所帯バンド、Trupe Chá de Boldo 新譜
2006年にサンパウロで結成された大所帯バンド、トゥルピ・シャ・ヂ・ボルド(Trupe Chá de Boldo)による6枚目のアルバム『Rua Rio』。同バンドの特長である雑多なジャンルが混ざり合ったブラジリアン・ロックはエネルギーに溢れており、表情豊かで何よりも愉しく、同時に控えめな複雑さも含んでおり良い意味でカオティックだ。
2006年にサンパウロで結成された大所帯バンド、トゥルピ・シャ・ヂ・ボルド(Trupe Chá de Boldo)による6枚目のアルバム『Rua Rio』。同バンドの特長である雑多なジャンルが混ざり合ったブラジリアン・ロックはエネルギーに溢れており、表情豊かで何よりも愉しく、同時に控えめな複雑さも含んでおり良い意味でカオティックだ。
米国フロリダ州マイアミを拠点に活動するプログレッシヴ・ジャズ・トリオのアネモイア(Anemoia)による3rdアルバム『A Muser!』がリリースされた。ジャムセッションでの即興演奏をベースに様々なアイディアを試し構築された全8曲は創造的でグルーヴィーで、基本的にインストゥルメンタルだがメロディは口ずさめるほどに適度にポップで聴きやすい。
米国デトロイト出身、現在はポーランドを拠点に活動する作曲家/ギタリストのアレックス・ロス(Alex Roth)の呼びかけに応じて集まった実験的ジャズ集団、マルチトラクション・オーケストラ(MultiTraction Orchestra)がファースト・アルバム『Reactor One』をリリース。演奏には北欧を代表する個性派トランペット奏者アルヴェ・ヘンリクセン(Arve Henriksen)らが参加している。
ブラジル・パラー州都ベレン出身のシンガーソングライター、ギリェルミ・コウチーニョ(Guilherme Coutinho, 1942 - 1983)が1978年に残していた幻の作品『Guilherme Coutinho e O Grupo Stalo』が2023年になって復刻、初CD化された。ディスクユニオンのWebページでも絶賛されているが、これが聴いてみてびっくり、驚くほど最高にかっこいいブラジリアン・サイケファンク超名盤だった。
ギニアビサウ出身ポルトガル在住、グリオの家系に生まれたバラフォン/打楽器/ギター奏者キミ・ジャバテ(Kimi Djabaté)による2023年作『Dindin』は、グリオに代々伝わる伝統とアフリカ社会の複雑さを魅力的に発信する素晴らしい音楽だ。本作はキミ・ジャバテ自身の経験に基づく個人的なものであると同時に、愛、コミュニケーション、人間のつながりという普遍的なものでもある。
フランス出身でブラジルの音楽にも造詣が深いドラマー、フランソワ・モラン(François Morin)の2022年新作『Particules』は、フランスとブラジルを代表する音楽家たちを迎え、全編に豊かな感受性を湛えた素晴らしい作品だ。
現代イスラエル・ジャズシーンを代表するベーシスト/作曲家、ヨセフ・ガトマン・レヴィット(Yosef Gutman Levitt)新譜 『Soul Song』は、これまでバンドを組んできたオムリ・モール(Omri Mor, p)とオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya, ds)に加え、バークリー時代の旧友であるギタリストのリオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)を加えた超豪華カルテットでの作品となった。
アラブ、バルカン、ブラジルなど様々な音楽性が混淆するレバノン出身・フランス在住のジャズ・サックス奏者/作曲家トゥーフィック・ファルーク(Toufic Farroukh)の新譜『Untamed Elegance』は、期待を裏切らないワールド・ミュージック×ジャズの意欲作だ。彼の過去作でも重要な共演者であったピアノのレアンドロ・アコンチャ(Leandro Aconcha)をはじめ総勢20名近くの音楽家が参加し、ユニークで豊穣な音絵巻を作り上げている。
テキサス州ヒューストン生まれのピアニスト/作曲家/数学者アンドリュー・ムーアヘッド(Andrew Moorhead)が同郷のベーシスト、マルコス・ヴァレラ(Marcos Varela)と、米国を代表するドラマーの一人であるアリ・ホーニグ(Ari Hoenig)とのトリオでデビューアルバム『Interleaved』をリリースしている。
92歳という年齢は、やはり特別に取り上げざるを得ない。歌手としてのキャリアは17歳の頃からだというからもう75年に及ぶのだが、彼女のその驚くべき歌唱力、表現力が国際的に正当に評価されたのはキャリア開始から半世紀後の1997年、67歳の頃だった。きっかけはライ・クーダー(Ry Cooder)がキューバの“忘れられた”老ミュージシャンたちと作り上げた『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』だ。
現代ジャズ最高峰のベーシストのひとり、リンダ・メイ・ハン・オー(Linda May Han Oh)のアルバムはいつも深淵なテーマが提示される。2023年の彼女の新譜のタイトルは『The Glass Hours』。人間がそれぞれ個々に持っている時間のあまりの短さ、その中で個人としてできることへの思索。自分ではどうしようもないように思える社会や国家の問題──。自らの非力さを嘆くところから、ガラスのように脆弱な時間という発想が浮かんだ。
カリフォルニア州出身のトロンボーン奏者/歌手のナタリー・クレスマン(Natalie Cressman)と、ブラジル生まれのギタリスト/歌手イアン・ファキーニ(Ian Faquini)のデュオによる第二弾アルバム『Auburn Whisper』。絶賛された前作『Setting Rays of Summer』から3年。深い音楽的パートナーシップを経て夫婦となった二人による今作は、より温かみを増した極上の音に満ちている。
イスラエル出身のマルチ木管奏者、ギラッド・ローネン(Gilad Ronen)による自身3作目のリーダー作『Reflections』。3管含む最大9名のアンサンブルで、スウィングから現代ジャズ、さらにはイスラエル音楽やインド音楽まで幅広く取り込んだ個性的なジャズが聴ける素晴らしいアルバムだ。サックスだけでなくフルート、クラリネットなど木管楽器をマルチにこなす彼だが、今作はテナーサックスに専念している。
ブラジル・サンパウロに生まれ、15年以上スペインに住んでいるシンガーソングライター、ペドロ・ホーザ(Pedro Rosa)がその長い音楽の道のりを披露するデビュー作『Midnight Alvorada』をリリースした。デビュー作とは思えない圧倒的な完成度で、詩的かつ文化的なブラジル音楽の素晴らしさを凝縮した作品に仕上がっている。