• 2023-06-15
  • 2023-06-15

一躍スターになった少女アナ・ヴィレラ、苦悩を乗り越えた新譜はありのままを表現した偽りなき傑作

2017年に「Trem-Bala」が大ヒットし一躍スターとなったブラジルのSSW、アナ・ヴィレラ(Ana Vilela)が4年ぶりとなる3rdアルバム『Melhor Que Ontem』をリリースした。ブラジル中を虜にした柔らかく繊細な声はそのままに、今作はブラス隊もフィーチュアし従来よりも幾分ファンク寄りのバンドサウンドを展開。類稀なソングライティングが光る傑作に仕上がっている。

  • 2023-06-14
  • 2023-06-14

00年代R&Bの復権。ケンドリック・ラマーも認める新たなDiva、SZAの最新作『SOS』

メジャーデビューアルバム『Ctrl』は2018年の第60回グラミー賞では主要部門〈最優秀新人賞〉を含む計5部門という女性最多ノミネートを達成。Doja Cat(ドージャ・キャット)とのコラボ曲「Kiss Me More」では「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」を受賞と、名実ともに一流アーティストの仲間入りを果たしている。それから5年。新人アーティストとしては非常に長いスパンでの発表となった最新作『SOS』は、5年間の思いと苦悩が詰まった全23曲の大長編に仕上がった。

  • 2023-06-13
  • 2023-06-13

ガーナの次なるスター Baaba J、繊細でソウルフルな新譜『Okay Baby, Lets Do This』

現地の伝統的なポピュラー音楽であるハイライフの流れを汲みつつ、世界的なスターのアシャ(Asa)やビヨンセといったアーティストからの影響も独自に消化し、ソウルフルな世界観を確立したガーナの若きシンガーソングライター、Baaba J。 彼女の待望の2ndとなる『Okay Baby, Lets Do This』も様々な音楽ジャンルが絶妙にブレンドされ、彼女の豊かな才能と創造性を示している。 

  • 2023-06-12
  • 2023-06-11

現代の米国ジャズシーンで最も注目される女性奏者4人によるカルテット、Esthesis Quartet 新作

4人が4人とも異なるタイムゾーンに住んでいるから、アルバム名は『Time Zones』。米国中のフェスやセッションを通じて出会い、2022年にデビュー作『Esthesis Quartet』をリリースした女性奏者4人によるカルテット、エステシス・カルテット(Esthesis Quartet)の第二作目はそんな分かりやすいタイトルとは裏腹に、非常に洗練された“感覚的(= Esthesis)な”ジャズ・アルバムに仕上がっている。

  • 2023-06-11
  • 2023-06-11

フランスの革新的ミュージシャンのデュオ、IKIRU が選んだ“エリック・サティ再訪の旅”

黒澤明の『生きる』に触発されたユニット名をもつフランスのサックスとピアノのデュオ、IKIRU。『生きる』の主人公と同じように健康上の問題を抱えるサックス奏者のファブリス・トゥイヨン(Fabrice Theuillon)が新作で選んだ題材は、それまでの音楽の常識を覆し、現代的な音楽の礎を築いたエリック・サティ(Éric Satie, 1866 - 1925)だ。

  • 2023-06-10
  • 2023-06-10

ウードとピアノが中心のイスラエルのエスノ・ジャズ・クインテット、Caifas 魅惑のデビューEP

イスラエルで活動するエスノ・ジャズバンド、CaifásのデビューEP『The Meggido Sessions』。ジャズや中東音楽をベースにした複雑で個性的な楽曲を、ピアノ、ウード、サックス、ベース、ドラムスのクインテットで聴かせる魅力的なグループだ。数多いイスラエル・ジャズの若手グループの中でも、彼らのその土着志向で右に出るものはなかなかいないであろう。

  • 2023-06-09
  • 2023-06-05

14歳の頃から互いに研鑽を積んだイスラエルの新鋭ピアノトリオ「Zafio」、高い芸術性のデビュー作

ピアノ奏者のイタイ・シンホーヴィッチ(Itay Simhovich)、ベースのイライ・サロモン(Ilai Salomon)、ドラムス奏者ヤリ・スターン(Yali Stern)から成るイスラエルのピアノトリオ、Zafioのセルフタイトルのデビュー・アルバム『Zafio』は、同地の活発なジャズシーンを象徴する良作だ。プロデュースはピアニスト/作曲家のトメル・バール(Tomer Bar)が担っている。

  • 2023-06-08
  • 2023-06-06

滅多に出会うことのない二つの世界の融合。歌うヴァイオリニスト、エヴァ・スロンゴ『Souffle』

スキャットで歌いながらヴァイオリンを弾くという個性的なスタイルで知られるスイス出身のエヴァ・スロンゴ(Eva Slongo)が、イタリア出身ジャズ・ピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)らとクインテットを組み、ジャズとクラシックという“滅多に出会うことのない二つの世界”の融合を目指した作品が『Souffle』(2022年)だ。

  • 2023-06-06
  • 2023-06-05

ジャズ、ラテン、スリランカ伝統音楽などが混在する強烈プログレ。Thriloka のデビュー作『Bisura』

スリランカのプログレッシヴ・ロックバンド、Thriloka による2009年作『Bisura』が面白い。“3つの世界”を意味するバンド名の彼らは、パーカッション奏者パバル・ウィジェグナワルダネ(Pabalu Wijegoonawardane)を中心に、ロックなギター、ジャジーなピアノがエスニックな旋律の中で飛び交う。ほかの多くのプログレバンドと同じようにクラシックやロック、ラテン、ジャズなどの要素を混ぜ合いながら、Thrilokaはスリランカ独自の音楽文化を反映していく。

  • 2023-06-05
  • 2023-06-05

モロッコ系歌手率いる、ベルギーのオリエンタル・サイケロック!Gaisha デビュー作『Ana Aïcha』

モロッコ系ベルギー人歌手のアイシャ・ハスカル(Aicha Haskal)を中心に、ベルギーのロックバンドのアブシンス・マインデッド(Absynthe Minded)の元メンバーらで構成されたオリエンタル・サイケロックバンド、ガイシャ(Gaisha)のデビューアルバム『Ana Aïcha』。ユダヤのクレズマー、モロッコやエチオピアの音楽、アラブ音楽といった雑多なアイディアがたまらない、クセになるサウンドだ。

  • 2023-06-04
  • 2023-06-03

南アのギター奏者ヴマ・レヴィンとオランダの先鋭管弦楽団AM.OKの奇跡的共演!要注目の大傑作

南アフリカの気鋭ギタリスト/作曲家ヴマ・レヴィン(Vuma Levin)が、自身のクインテットとオランダ・アムステルダムの管弦楽団アモック(AM.OK)とともに制作した新作『The Past Is Unpredictable, Only the Future Is Certain』が素晴らしい。南アフリカの先住民族の伝統的な音楽実践と楽器編成をベースとしつつ、ジャズ、ポピュラー音楽、カリブ海の音楽、そして西洋クラシック音楽のオーケストラというフィルターを通して構築された音世界は越境的で斬新。

  • 2023-06-03
  • 2024-09-23

ポーランドのEABS×パキスタンのJaubi、7,000kmの距離を超えた革新的バンド同士の初コラボ!

ポーランドの革新的ジャズ・クインテットのEABSと、パキスタンのスピルチュアル・ジャズバンドのJaubiがコラボレーション!ヨーロッパとアジア、その伝統と革新が入り乱れた圧巻のアルバム『In Search of a Better Tomorrow』がリリースされた。これは2023年のジャズ/グローバル・ミュージックのひとつの事件のようなものだ。

  • 2023-06-02
  • 2023-06-02

気鋭ギタリストのダン・ウィルソン、多様な音楽的嗜好を反映した新譜『Things Eternal』

米国オハイオ州アクロンを拠点とするギタリスト/作曲家、ダン・ウィルソン(Dan Wilson)の新譜『Things Eternal』がリリースされた。アルバムには彼のオリジナルのほか、ジャンルや年代を問わない多様なカヴァーを収録。技巧的・創造的なギター演奏が生み出す、呑み込まれそうになるほどの圧巻のグルーヴで、天才的なプレイヤーが続々と現れるジャズ・ギター界で彼の名を強く印象付けるアルバムに仕上がっている。

  • 2023-06-01
  • 2023-05-29

フィンランドの奇才イーロ・ランタラ、ベルリン・フィルとの共演でヴェネツィアの音楽と芸術を描く

ジャズとクラシックに跨って活躍し、他の追随を許さない圧倒的な超絶技巧とユーモアのセンスで知られるフィンランドの奇才ピアニスト/作曲家イーロ・ランタラ(Iiro Rantala)。ソロピアノ作『Potsdam』から1年ぶりのリリースとなる2023年新譜『Veneziana』は、多くの芸術家たちが憧憬した水の都ヴェネツィアをテーマに、かの地に生きた作曲家たちへの敬意を表し新たに書かれた楽曲群を、ベルリン・フィルハーモニーの名手たちを従えて演奏した実況録音盤だ。