- 2022-08-09
- 2022-08-07
オーストラリアの“負の歴史”を強く照らす。サックス奏者スティーヴン・ビスのデビュー作
オーストラリア出身のサックス奏者、スティーヴン・ビス(Stephen Byth)のデビュー作『Reparations』。「賠償金」という軽くはないタイトルには、先住民族アボリジニの人々に対する彼の想いが込められている。
オーストラリア出身のサックス奏者、スティーヴン・ビス(Stephen Byth)のデビュー作『Reparations』。「賠償金」という軽くはないタイトルには、先住民族アボリジニの人々に対する彼の想いが込められている。
UKの8人組、ココロコ(Kokoroko)の2022年8月リリースの新作『Could We Be More』は、どうやら彼らのデビューアルバム、ということらしい。これは正直、意外だった。なんせ彼らは数年前から既にロンドンのジャズシーンの最も旬なバンドとして地位を確立しているし、メンバーのソロ活動や他バンドでの活躍もよく耳にし、既に新鋭どころか中堅の感さえあるからだ。
ブラジルと米国を股にかけるシンガー、アレクシア・ボンテンポ(Alexia Bomtempo)の新譜『Doce Carnaval』は、彼女らしくサンバやボサノヴァといった良質なブラジル音楽を軸に、適度なポップ感覚と国際的な発信力でバランスをとった良作に仕上がっている。タイトルの“甘美なカルナヴァル”が示すように、全編を通じてどこか気怠さが漂う最高に心地良いアルバムだ。
すごいものを観てしまった。これが率直な感想だ。2022年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞も受賞した映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』は音楽好きのみならず、今を生きるすべての人が観るべき映画と断言する。
注目の若手作曲家/ギタリスト、エミリー・ジェーン・ロバーツ(Emily Jane Roberts)がEP『The Persistence of Memory』でデビューした。イングランドのチェシャー州で生まれ育ち、現在はロンドンを拠点に活動する彼女の音楽は伝統的なジャズや西アフリカの音楽、そして彼女を取り巻くロンドンの音楽シーンにインスパイアされている。
アフロ・ブラジリアン文化を全身全霊で表現するブラジルのSSW、イアラ・ヘンノ(Iara Renno)の2022年新譜『Oríkì』がリリースされた。今作もトライバルかつスピリチュアルな力強さと、ブラジルの豊かな音楽的土壌やジャズの理論に基づく洗練されたハーモニー、そして最先端のサウンド・エンジニアリングが同居する素晴らしい作品に仕上がっている。
Gondwana Recordsの主宰者でトランペット奏者のマシュー・ハルソール(Matthew Halsall)が見出したリーズ出身の新たな才能、作曲家/フルート/サックス奏者のジャスミン・マイラ(Jasmine Myra)のデビューアルバム『Horizons』。現代的な感覚のジャズに微かなエレクトロニカの香りが女性的で柔らかな響きを運んでくる秀作となっている。
イスラエル・テルアビブのジャズシーンを代表するトランペッター、セフィ・ジスリング(Sefi Zisling)は最新EP『Welcome Sunset』で、1970年代のジャズファンクの熱気を呼び起こす。
イングランド北部の都市リーズを拠点とするベーシスト/作曲家ファーガス・クイル(Fergus Quill)がトリオを中心としたアンサンブルで聴かせる前衛的なジャズ作品『Zoop Zoop』でデビュー。ホンキートンク・ピアノで投げやり気味に演奏される酔狂なラグタイム・ブルース(1)「¿Who Shot Pinetop?」から独特の存在感を示す演奏が繰り広げられる。
前作『Calls for Action』から3年、ハリシュ・ラガヴァン(Harish Raghavan)の2作目のリーダーアルバム『In Tense』がリリースされた。従来のジャズ・ベーシストの常識に当てはまらない個性の持ち主として知られることになった彼が、さらにチャレンジングな“新しいジャズ”を提示した素晴らしい作品だ。
アルゼンチンの新鋭シンガーソングライター、デルフィーナ・マンカルド(Delfina Mancardo)の初のフルレンス・アルバム『Octante』。これは素晴らしすぎる。想像力の翼で地球を自由に飛び、いつまでも終わらない夢の中を揺蕩たゆたうような心地よさ。彼女自身が弾く控えめなアコースティックギターと南米音楽らしい丁寧で洗練された室内楽的なアレンジはどこまでも美しく、ヴォーカリストとしての表現力を際立たせる。
二人の若き才女が率いるスウェーデンの5人組ジャズバンド、ディアレスト・シスター(Dearest Sister)のデビューEP『Leave Me Be』がリリースされた。4曲というEPのボリュームは彼女らの音楽に魅入られた者としては物足りないかもしれないが、この秋には本格的なフルレンス・アルバムのリリースも予定されているという新鋭たちの紹介としては丁度良い作品なのではないだろうか。
ペドロ・ルイスの2022年の最新作『Terral』は、彼の最高にかっこいい過去曲に焦点を当てながら、ペルナンブーコのプロデューサー、ユリ・ケイロガ(Yuri Queiroga)がエレクトロニックの要素を加えて蘇らせた一大プロジェクトだ。
ブラジルのベース奏者/作曲家ジョアン・タウブキン(João Taubkin)の新作『Coreografia do Encontro』は、ヴァイオリンのヒカルド・ヘルス(Ricardo Herz)、クラリネットのアレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)、ピアノのゼー・ゴドイ(Zé Godoy)という名手を迎え、ドラムレスのカルテットで演奏される美しい室内楽的ジャズ作品だ。