- 2020-03-17
- 2020-03-17
銃犯罪により命を落とした兄弟へ。現代屈指のドラマーは静かに叫ぶ
シカゴのジャズドラマー、ジェレミー・カニングハム(Jeremy Cunningham)は2008年に自宅に押し入った二人組の強盗が発砲したライフル銃により、最愛の兄弟を失った。2020年のソロデビュー作『The Weather Up There』は、そんな彼自身の個人的な想いを、銃が支配する米国社会に向けて音楽に託して吐露した作品だ。
シカゴのジャズドラマー、ジェレミー・カニングハム(Jeremy Cunningham)は2008年に自宅に押し入った二人組の強盗が発砲したライフル銃により、最愛の兄弟を失った。2020年のソロデビュー作『The Weather Up There』は、そんな彼自身の個人的な想いを、銃が支配する米国社会に向けて音楽に託して吐露した作品だ。
いずれもスウェーデン出身。ジャズトロンボーン奏者/ヴォーカリストのニルス・ラングレン(Nils Landgren)とピアニストのヤン・ラングレン(Jan Lundgren)、姓はたった母音一文字違いの“Wラングレン”が夢の共演。水晶、英語でいう「Cristal」の意味のアルバムタイトル『Kristallen』のとおり、北欧ジャズらしい透明感のある絶品デュオ作品だ。
超絶ギタリスト、アル・ディ・メオラ(Al Di Meola)の2020年新作は『All Your Life』(2013年)以来2作目となる、自身が大きな影響を受けたビートルズ曲集となった。
現代UKジャズシーンの旗手、シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)率いるバンド、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ(Shabaka And The Ancestors)の新譜『We Are Sent Here By History』のテーマは、ずばり人類の避けられぬ運命=絶滅だ。アルバム全編を通じ、切迫した力強い演奏が繰り広げられる。
ポルトガルの若きファド歌手、リナ(Lina)とスペイン出身のマルチ奏者/プロデューサーのラウル・レフリー(Raül Refree)の2020年作『Lina_Raül Refree』は、ポルトガルの伝説的ファド歌手アマリア・ロドリゲス(Amália Rodrigues)が愛した楽曲群を現代的にアレンジした興味深い作品だ。
前作『Big Sun』から実に5年ぶり!フランスの鬼才シャソール(Chassol)のオリジナル・フルアルバム『Ludi』がリリースされた。日常に溢れる音や、普通のスピーチなどから音楽を作り上げる手法にさらに磨きがかかり、驚きに満ちた全30曲のめくるめくシャソール・ワールドが展開される。こんな音楽、なかなかないぞ。
ヴァルダン・オヴセピアン(Vardan Ovsepian)が自身のすべての楽曲のサブスクリプション・ダウンロード配信をスタートさせた。
アルメニア出身のピアニスト、ヴァルダン・オヴセピアンとブラジルを代表するシンガー、タチアナ・パーハのデュオ新作がリリースされた。『Triptych』(三連祭壇画)と名付けられた今作は、その名の通りシリーズを総括する静謐で格調高く、絵画的な感動のある一枚だ。
エストニア出身のピアニスト/歌手/作曲家、カトリ・ヴォーラント(Kadri Voorand)の2020年作『In Duo with Mihkel Mälgand』はベーシスト、ミヒケル・マルガンドとのデュオ編成での趣向を凝らしたオリジナル曲のほか、マイケル・ジャクソンのカヴァー(6)「They Don't Really Care About Us」なども魅力的な意欲作。
キーボード奏者/作曲家のフランシスコ・カブラウ(Francisco Cabral)を中心としたブラジルの男女混成6人組エレクトロ・ジャズバンド、オズ(OZU)が面白い。2018年作『Inner』などキーボード、ギター、ベース、ドラムスの生バンドにターンテーブルやサンプリングを絡め、多層的な音響空間を作り出す彼らは、日本文化を深くリスペクトする興味深いバンドなのだ。
イタリアの女性歌手、トスカ(Tosca)の2020年新作『Morabeza』は、ガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)やレニーニ(Lenine)、イヴァン・リンス(Ivan Lins)などブラジル音楽の要人たちも参加した良盤だ。
紛争により1999年から分断されたままのコソボ共和国の都市ミトロヴィツァ出身で、現在はトルコ・イスタンブールを拠点に活動するベーシスト、エンヴァー・ムハメディの初リーダー作『Letter to K』は、ピアノにアティバー・アサドリを迎えたセクステットによる意欲的な現代ジャズ作品だ。
2019年の前作『Love Tape』が高く評価されたシカゴ出身、LAを拠点に活動するトランペット/フリューゲルホルン奏者、マーキス・ヒルがそのフォローアップ作品『Love Tape: With Voices』をリリースした。ベースにユニウス・ポール、ドラムスにマーカス・ギルモアという強力なリズムセクションはそのままに、マーキス・ヒルのスピリチュアルな楽曲群に生きた歌という新たな息吹が与えられた。
盟友ライル・メイズの訃報が伝えられたのはほんの数日前だった。世界中がこの享年66の名キーボード奏者の死を悼む中で、パット・メセニーの実に6年ぶりの新作『From This Place』がリリースされた。多くのジャズファン/ギターファンが待ちわびたレジェンドの新作ということは勿論、ライル・メイズの突然の悲報も相まって早くも今年最も注目されたジャズアルバムになることは間違いなさそうだ。