絵画的な美しさ、ヴァルダン・オヴセピアン&タチアナ・パーハ新譜『Triptych』

Vardan Ovsepian & Tatiana Parra - Triptych

ピアノと声のみ、絵画的な美しさを湛えたアルバム

2014年『Lighthouse』、2016年『Hand in Hand』とこれまでに2枚のデュオ作品をリリースしその限りなく美しい音楽が話題となったアルメニア出身のピアニスト、ヴァルダン・オヴセピアン(Vardan Ovsepian)とブラジルを代表するシンガー、タチアナ・パーハ(Tatiana Parra)のデュオユニット、Fractal Limitの新作がリリースされた。
『Triptych』(三連祭壇画)と名付けられた今作は、その名の通りシリーズを総括する静謐で格調高く、絵画的な感動のある一枚だ。クラシックとジャズ、ミニマルミュージックといった要素が絶妙なバランスで混在するヴァルダン・オヴセピアンのピアノとアレンジに、タチアナ・パーハの極上のヴォーカルが乗る。こんな贅沢な時間は、なかなかない…。

アルバムにはヴァルダン・オヴセピアンのオリジナル曲と、鬼才作曲家ギンガ(Guinga)の(2)「O Silencio de Iara」、フランスの映画音楽巨匠ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)の名曲(4)「風のささやき(The Windmills of Your Mind)」、ジョビン(Antônio Carlos Jobim)とシコ・ブアルキ(Chico Buarque)によるボサノヴァの定番(6)「白と黒のポートレート(Retrato Em Branco E Preto)」などのカヴァーが交互に収録されている。
従来の2作品がほぼオリジナル曲ばかりだったことを考えると、今作はよく知られた曲もありとっつきやすい作品なのではないだろうか。

ミシェル・ルグランの名曲(4)「風のささやき」は7/8拍子のリズムにアレンジされ、原曲に増して陰影を帯びたハーモニーがとても美しい。
タチアナ・パーハの歌もいつになく感傷的に聴こえる。
五連譜のリズムに哀しみのある美しいピアノの旋律に、タチアナ・パーハが彼女の代名詞とも言えるスキャットを広い音域で重ねる(7) 「Too Soon to Tell」

ヴァルダン・オヴセピアンとタチアナ・パーハ

ヴァルダン・オヴセピアン(Vardan Ovsepian)は1975年アルメニア生まれのジャズピアニスト/作曲家。
1990年からアルメニアのロマノス・メリキアン音楽大学で学び、その後エストニア音楽アカデミー、フィンランドのヘルシンキ音楽院、米国ボストンのバークリー音楽大学と渡り歩きクラシック、ジャズを中心に幅広く音楽を吸収してきた。
タチアナ・パーハとのデュオ「Fractal Limit」のほか、室内楽ジャズのグループ、Vardan Ovsepian Chamber Ensemble(VOCE)での活動も知られており、2013年作『Dreaming Paris: Theme and Variations』は高い評価を得ている。

一方のタチアナ・パーハ(Tatiana Parra)は現代ブラジル音楽を代表する歌手。包み込むように優しく美しい声、技巧的なスキャットも群を抜くセンスで聴けば聴くほどその魅力の虜になるような、そんなアーティスト。
ブラジルやアルゼンチンの多数の名作でその美しい歌声を聴くことができるが、2004年のソロデビュー作『Inteira』やアカ・セカ・トリオ(Aca Seca Trio)のピアニスト、アンドレス・ベエウサエルト(Andres Beeuwsaert)との共作『Aqui』は近年の南米音楽でも屈指の名作だ。

クラシカルな雰囲気が美しい(5)「Life Is but a Day」
アルメニア近代音楽の父、コミタス(Komitas)と、ブラジル北東部音楽の“バイアォンの王様”ルイス・ゴンザーガ(Luiz Gonzaga)のメドレー(8)「Qele Qele / Assum Preto」

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