- 2023-08-29
- 2023-08-29
心が洗われる浄土の音楽。ノルウェーのピアニスト、マレン・セルバーグによるフォーク・ジャズ
傍に寄り添い、疲れた心を優しく洗ってくれるような音楽だ。ノルウェーのピアニスト/作曲家、マレン・セルバーグ(Maren Selvaag)の2019年作『Bare Være』。ピアノ、ダブルベース、ハーディングフェーレ(ハルダンゲル・フィドル)、そしてフォークハープという珍しい編成で、素朴な音色と洗練された演奏で心の脆い部分を直接癒す“北欧ジャズ”の絶品。
傍に寄り添い、疲れた心を優しく洗ってくれるような音楽だ。ノルウェーのピアニスト/作曲家、マレン・セルバーグ(Maren Selvaag)の2019年作『Bare Være』。ピアノ、ダブルベース、ハーディングフェーレ(ハルダンゲル・フィドル)、そしてフォークハープという珍しい編成で、素朴な音色と洗練された演奏で心の脆い部分を直接癒す“北欧ジャズ”の絶品。
フランスの新世代ドラマー、ピエール・モンジャール(Pierre Mangeard)のデビュー作『Lemedouai』はなかなかに強烈だ。ファンキーでソリッドなドラミング、ヒップホップから強い影響を受けたMC。クインテット編成のバンドはジャジーで洒脱。エネルギーに満ちた陽気で楽しいショウは聴いていて気持ちが良い。
アラブ音楽やアンダルシア音楽に精通するモロッコ出身のウード奏者/作曲家モハメド・アハダフ(Mohamed Ahaddaf)の通算4枚目のアルバム『Ana W'inta』がリリースされた。2019年に加入した中東や北アフリカ音楽を専門とするオランダ・アムステルダム拠点のマルムーシャ・オーケストラ(Marmoucha Orchestra)とともに作り上げた作品で、15人ほどの豊かなアンサンブルで個性的なアラビック・ジャズを聴かせてくれる興味深い作品だ。
“電気羊飼い”を意味するグループ名を持つフィンランドの3人組ユニット、セーコパイメン(Sähköpaimen)の2ndアルバム『Hämärä』は非常に興味深い音楽作品だ。アルバムタイトル「Hämärä」とは“黄昏”の意味で、昼と夜の曖昧な境界線を彼らの伝統と革新の両方に足を踏み入れた音楽性に喩えている。
今回紹介するのはスウェーデンの“ジャズ・アンサンブル”、オーガニック・パルス・アンサンブル(Organic Pulse Ensemble)の『Formative Stages』というアルバム。粘るアップライト・ベースに空間を作るパーカッションとドラムスの上で、サックスやフルート、ピアノなどが自在に舞う、トランシーで音に酔えるタイプの心地よいジャズ。素晴らしい作品だが、調べていくうちに驚くべき事実にぶち当たってしまった。
大西洋のスペイン自治領カナリア諸島出身、現在はバルセロナで活動するギタリスト/作曲家オクタビオ・エルナンデス(Octavio Hernandez)によるギタートリオ作品『Mas』は、現代的かつ先鋭的なギターサウンドが爽快なジャズだ。ベースにはバシーレ・ラオラ(Basile Rahola)、ピエール・ユルティ(Pierre Hurty)というここ数年活動を共にするメンバーを迎え、コンテンポラリー・ジャズの最先端を行く演奏を聴かせてくれる。
イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)とベルギーのトランペッター、バート・ヨリス(Bert Joris)による『Afterglow』(2021年)以来となる共演作は、フランクフルト・ラディオ・ビッグバンド(Frankfurt Radio Bigband)を迎えたチェット・ベイカーへのトリビュートアルバムとなった。
フランスを代表するジャズ・シンガー、サラ・ランクマン(Sarah Lancman)の6枚目のアルバム『Le pouvoir des mots』は、古いシャンソンやミュージカル映画からインスピレーションを受けたノスタルジックな作品に仕上がっている。
1997年ラトビア生まれ、現在はオランダ・アムステルダムを拠点とするギタリスト、エラ・ジリナ(Ella Zirina)は新世代のジャズ・ギター・ヒロインとなるであろう逸材だ。オーセンティックなスタイルを軸としながら、卓越した技巧も、繊細なダイナミクスの表現力も、様々な引き出しを持った即興のアイディアも素晴らしく、デビューアルバム『Intertwined』でその技を惜しげもなく披露している。
ドイツ・バイエルン州都ミュンヘン出身のベーシスト/作曲家ニルス・クーゲルマン(Nils Kugelmann)の初リーダー作『Stormy Beauty』が、名門ACTレーベルよりリリースされた。ピアノトリオでの演奏は力強く、情熱や美しい叙情性に溢れており、卓越した若い才能に感嘆させられる内容だ。
セルビアを代表するピアニスト/作曲家Bojan Zことボヤン・ズルフィカルパシチ(Bojan Zulfikarpasic)によるソロ・ピアノでの新作『As Is』は、流れるような美しいピアノの技巧とバルカン半島の伝統音楽の影響を受けた独創的な演奏が楽しめる素晴らしいアルバムだ。
結成20周年を迎える現代ヨーロッパ・ジャズを代表するピアノトリオ、ティングヴァル・トリオ(Tingvall Trio)の通算9枚目のアルバムは“鳥”がテーマ。アルバムタイトルもそのまま『Birds』と題されてた本作で、リーダーでありピアニスト/作曲家のマーティン・ティングヴァル(Martin Tingvall)はアーティストに様々なインスピレーションを与えてくれる“自然界の音楽家”たる鳥たちへの敬意と愛情、同時に人間の活動によって鳥たちが棲む環境が失われていくことへの警鐘を鳴らす。
米国デトロイト出身、現在はポーランドを拠点に活動する作曲家/ギタリストのアレックス・ロス(Alex Roth)の呼びかけに応じて集まった実験的ジャズ集団、マルチトラクション・オーケストラ(MultiTraction Orchestra)がファースト・アルバム『Reactor One』をリリース。演奏には北欧を代表する個性派トランペット奏者アルヴェ・ヘンリクセン(Arve Henriksen)らが参加している。
黒澤明の『生きる』に触発されたユニット名をもつフランスのサックスとピアノのデュオ、IKIRU。『生きる』の主人公と同じように健康上の問題を抱えるサックス奏者のファブリス・トゥイヨン(Fabrice Theuillon)が新作で選んだ題材は、それまでの音楽の常識を覆し、現代的な音楽の礎を築いたエリック・サティ(Éric Satie, 1866 - 1925)だ。