- 2023-05-02
- 2023-04-28
ECM半世紀の歴史とともに歩む名手ラルフ・タウナー、ラルフ・タウナー。老練のガットギターのソロ
1970年代からジャズの名門レーベルECMの看板アーティストとして半世紀にわたる活躍を続けてきたギタリスト、ラルフ・タウナー(Ralph Towner)。1940年生まれ、今年で83歳となる彼がクラシックギター1本で演ずる最新作『At First Light』をリリースした。
1970年代からジャズの名門レーベルECMの看板アーティストとして半世紀にわたる活躍を続けてきたギタリスト、ラルフ・タウナー(Ralph Towner)。1940年生まれ、今年で83歳となる彼がクラシックギター1本で演ずる最新作『At First Light』をリリースした。
コロンビア出身女性ヴォーカリスト/作曲家カロル・バジェール(Karol Bayer)を中心とし、作詞作曲/ギターを担うセバスティアン・ロペス(Sebastián López)、ソロ作品なども人気の鍵盤奏者セバスティアン・マッキ(Sebastián Macchi)らアルゼンチン出身の器楽奏者たちとで構成されるグループ、ラ・コンティエンダ(La Contienda)による初の全曲オリジナルの2ndアルバム。
米国を代表するドラマー、マーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)の新譜『Mischief』。2022年10月にリリースされた前作『the sound of listening』と同じ2022年3月のブルックリンのバンカー・スタジオでのセッションで収録されたもので、つながりのあるジャケット・デザインも含め前作の兄弟アルバムという位置付けだが、前作がエレクトロニックの導入などこのカルテットでの新しい試みも取り入れられていたことと比較すると、こちらは全編アコースティックでオーバーダブもなく、よりリラックスした内容になっている。
UK現行ジャズを代表する作曲家/鍵盤奏者/MC/プロデューサーのアルファ・ミスト(Alfa Mist)の5枚目のアルバム『Variables』。トランペット、ローズピアノ、ギター、細かく刻むドラムスなどを軸にグルーヴを作る。その根底には地下水のようにヒップホップのビートメイキングが流れているが、無機質なループはなく、自由な即興演奏を重視しライヴバンドとしての生々しいフィーリングが終始一貫している。
共にブラジルに生まれ、故郷の音楽に深く根差しつつ米国でジャズを軸に活動する二人のギタリスト、シコ・ピニェイロ(Chico Pinheiro)とホメロ・ルバンボ(Romero Lubambo)。20歳ほどの歳の差がありつつも共通点のある天才的な二人による初めてのデュオアルバム『Two Brothers』がリリースされた。
ステファン・グラッペリやディディエ・ロックウッドといった史上最高峰のジャズ・ヴァイオリニストを輩出したフランスから、新たな若いヴァイオリンの才能が現れた。名はアルバ・オベール(Alba Obert)。彼女のデビュー作『Kaleidoscope』には、クラシックからマヌーシュ・スウィング、バルカン音楽、ジャズロックなど幅広いスタイルでヴァイオリンを弾き、ついでに歌手としての才覚も備えたこの新星の稀有な魅力が詰まっている。
現在のアゼルバイジャンのジャズシーンをリードする二人の音楽家、ピアニストのエティバル・アサドリ(Etibar Asadli)と木管楽器奏者アラフサル・ラヒモフ(Alafsar Rahimov)。深い音楽的パートナーシップを築いてきた二人が、デュオの名義で新作『Sexy Caffards』をリリースした。アゼルバイジャンの伝統音楽ムガームに強く影響されたジャズが、プログレシッヴ・ロックやエレクトロニックの衣を纏い、グロテスクでもあり美しくもある異様な世界観を創出する。
フランスに生まれ、現在はベルギーを拠点に活動する新進気鋭のベーシスト、バシーレ・ラオラ(Basile Rahola)の初のソロ名義作『Moments』。ヨーロッパ・ジャズらしい叙情性を湛えつつ、彼のこれまでの短くはない旅の中での出会いから豊富なインスピレーションを得た個性的で創造的な作品だ。
パウリーニョ・ダ・ヴィオラのバンドで活躍したブラジルのサックス/フルート奏者マリオ・セヴィ(Mário Sève)による、珠玉のパウリーニョ・ダ・ヴィオラ曲集『Ouvindo Paulinho da Viola』。今作は1942年11月生まれのパウリーニョの80歳を祝うもので、2曲の未発表曲──(4)「Carinhosa」(パウリーニョとマリオ・セヴィの共作曲)と(8)「Chuva Grossa Molha Mesmo」が含まれている。
ブラジルを代表するバンドリン奏者アミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)が、ドラマーのチアゴ・ハベーロ(Thiago Rabello)とピアニストのサロマォン・ソアレス(Salomão Soares)とのトリオで作り上げた新譜『Flying Chicken』は、ショーロの香りを残しながらもNYを中心とする現代ジャズに大きく寄せた楽曲や、3人の超絶技巧が堪能できるアルバムだ。
ロシアを代表するピアノトリオ、LRK Trioが初めてオーケストラと共演したライヴ・アルバム『Concert at Vdnh Cosmos』がリリースされた。これは2022年12月18日にモスクワの歴史ある全ロシア博覧センターの宇宙パビリオンで演奏されたもので、LRK Trioの持ち前の叙情性と、現代音楽のオーケストラであるオープンサウンド・オーケストラ(Opensound Orchestra)の滋味深いサウンドが見事に融合した、傑作と呼べる作品に仕上がっている。
チュニジア出身でベルギーを拠点に活動するピアニスト、ワジディ・リアヒ(Wajdi Riahi)の初リーダー作『Mhamdeya』。フランス出身のベース奏者バシーレ・ラオラ(Basile Rahola)とベルギーのドラムス奏者ピエール・ユルティ(Pierre Hurty)とのトリオを軸に、チュニジアの民族的な音楽の要素を大胆に取り入れた豊かな色彩感のあるジャズを展開する傑作だ。
2018年に結成以来、ベルギーのジャズシーンに新風を起こすアレフ・クインテット(Aleph Quintet)が待望のデビューアルバム『Shapes of Silence』をリリースした。ウード奏者のアクラム・ベン・ロムダンとピアニストのワジディ・リアヒはともにチュニジア出身。彼らがもたらす北アフリカ/アラブのエッセンスと、ベルギー出身のヴァイオリン奏者マーヴィン・ブルラス、ドラマーのマクシム・アズナール、そしてフランス出身のベース奏者テオ・ジッパーによる欧州の抒情的なジャズの完璧な融合は、彼らの演奏技術の高さとも相まって唯一無二の音楽体験を与えてくれる。
クラリネット/テナーサックス奏者のLluc Casares、ドラマーのJoan Vidal、ピアニストのNéstor Giménez、そして同じくピアニストのLluís Vidalというスペインを代表する4人の作曲家が中心となって始めたオーケストラ・プロジェクトであるバルセロナ・アート・オーケストラ(Barcelona Art Orchestra)。彼らが「ラグタイム」をキーワードに、演劇や詩、ダンスなど幅広い芸術をジャズの観点から探求するファースト・アルバムが『Ragtime Stories』だ。