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サイケロック

  • 2024-10-18
  • 2024-10-18

多文化共生の象徴的オリエンタル・ポップ、Kit Sebastian 世界へ羽ばたく3rdアルバム

従来の音楽の“常識”や“法則”を打ち破りながらも、排他的なマニアたちの溜飲を下げるだけでなく、市井の多くの人々の間でインフルエンスしそうな興味深いグループが現れた。ロンドンを拠点に活動する男女ユニット、キット・セバスチャン(Kit Sebastian)の奇妙な音楽には従来なかった新しさがあり、同時に時代を超えたノスタルジアがあり、そしてポップスの純粋な至福と安心感もある。

  • 2024-10-11
  • 2024-10-11

ブラジル音楽の粋が浮き立つ。ドイツのSSWドータ・ケール、深く美しい幸福感を醸す新作

ドイツ・ベルリンを拠点とする女性SSWドータ・ケール(Dota Kehr)と、ブラジル北東部のセアラー州フォルタレザ出身の男性SSWダニーロ・ギリェルミ(Danilo Guilherme)による双頭名義(通称 Dan & Dota)のアルバム『De Repente Fortaleza』がリリースされた。ブラジル北東部特有の空気を纏った軽妙で美しいロック/トロピカリアを継承するサイケロックで、主にポルトガル語で歌われる二人のヴォーカルが織りなす世界観が素晴らしいアルバムだ。

  • 2024-09-20
  • 2024-09-15

イタリアで人気のシネマティック・ファンクバンド「Calibro 35」、新たな探求の旅路を告げる新作

アナログ機材によるローファイな質感のサイケデリック&ファンキーなバンドサウンドを聴きたいなら、イタリアで大人気のシネマティック・ファンクバンド、カリブロ35(Calibro 35)に注目すべきだ。2007年の結成以降、多数のオリジナル・アルバムや映画のサウンドトラック制作などで絶大な人気を得て、イタリアの音楽シーンのある一辺をリードする存在となった彼らが2022年作『Scacco al Maestro, Vol. 1』、『Scacco al Maestro, Vol. 2』でのエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone, 1928 - 2020)への無限の愛情の表明を経てリリースした最新作『Nouvelles Aventures』(2023年)は、変わらず勢いのある意欲的で素晴らしい音楽作品に仕上がっている。

  • 2024-09-14
  • 2024-09-15

イタリア発の熱狂的ジャズ・コレクティヴ Addict Ameba、宇宙的カオスを醸す2nd『Caosmosi』

イタリア・ミラノを拠点に活動するジャズ・コレクティヴ、アディクト・アメーバ(Addict Ameba) の2ndアルバム『Caosmosi』。10人編成のバンドが奏でる音楽はジャズ、アフロビート、ブラジリアン、サイケロックといった要素が豊かに混ざり合い、極彩色の地平へとリスナーを連れてゆく。アルバムのタイトルはフランスの哲学者フェリックス・ガタリ(Félix Guattari, 1930 - 1992)の最後の著書『Chaosmosis』にインスパイアされており、創造性と無秩序がもたらす無限の可能性を称賛している。

  • 2024-09-07
  • 2024-09-07

中南米の多様なルーツに根差した革新的な混血音楽。注目の男女デュオが放つデビュー作『Mestizx』

『Mestizx』は、公私共にパートナーであるボリビア出身の女性シンガーソングライター/マルチ奏者イベリッセ・グアルディア・フェラグッティ(Ibelisse Guardia Ferragutti)と、プエルトリコにルーツを持つシカゴ出身の男性ジャズドラマー/パーカッショニスト、フランク・ロザリー(Frank Rosaly)の共同名義によるデビューアルバムだ。アルバムタイトルは中南米におけるスペイン植民地時代に性別を問わず“混血の人”を意味する言葉として使われたもので、ブラジル、ボリビア、プエルトリコという二人の多様なルーツから来る多様性と、脱植民地という重要なテーマをアーティスティックに扱っている。

  • 2024-05-10
  • 2024-05-04

ブラジル音楽への愛情が未来志向を伴って表現された傑作。Pietá 3rd『Nasci no Brasil』

ブラジルの男女3人組バンド、ピエタ(Pietá)の新作『Nasci no Brasil』は、実にブラジルらしい生命力が躍動する作品だ。”ブラジルに生まれた”とタイトルで力強く宣言する音楽作品で、彼らは近年のこの国を覆う逆進的で間違った愛国心ではなく、文化的な豊かさから来るブラジルの誇りを力強く歌う。

  • 2024-04-21
  • 2024-04-20

「音楽は戦争に勝る」エルサレムで生まれ育ち、文化的多様性を音楽に反映する鬼才YUZ 新譜

デビュー作『Mono Moon』の驚くべき音楽性の高さに度肝を抜かれた、イスラエルのギタリスト/作曲家YUZことウリア・ウィツタム(Uriah Witztum)の2ndアルバム『Emerald Pick』がリリースされた。前作同様に、中東や地中海周辺の伝統音楽やジャズ、プログレッシヴ・ロックなどが複雑に入り乱れた彼の音楽は今回も驚きの連続だ。

  • 2024-04-17
  • 2024-04-17

どこか懐かしい気分を誘う、ベルギーの新進エチオジャズバンド、Kolonel Djafaar

ベルギーのエチオジャズバンド、コロネル・ジャファール(Kolonel Djafaar)の2ndアルバム『Getaway』がリリースされた。エチオピアに特徴的な音階(いわゆる“ヨナ抜き”、日本の演歌で用いられる音階と同一のもの)がアフロビート/ファンク/サイケロックがシームレスに融合するサウンドに乗り、どこか郷愁を感じさせる魅惑のグルーヴを生み出す。

  • 2024-03-29
  • 2024-11-17

ウクライナ出身の奇才ギタリスト、イーゴリ・オシポフが描き出すスタイリッシュな最先端JAZZ

ウクライナ出身のギタリスト/作曲家、イーゴリ・オシポフ(Igor Osypov)の2024年新譜『Motherland?2k14』が凄い。現在はドイツ・ベルリンに滞在し、母国に帰ることができない状況となっている彼の個性的な音楽には、従来のジャンルの枠に留まらない洗練されたサウンドの中に曖昧だが示唆的な主張が垣間見える。

  • 2024-03-16
  • 2024-03-16

地中海からアラビア、そしてブラジルへ。イタリアの鍵盤奏者バッソリーノによる架空の“未来都市”

イタリア・ナポリの鍵盤奏者/作曲家/プロデューサー、ダリオ・バッソリーノ(Dario Bassolino)のソロデビュー作『Città Futura』は、ニコラ・コンテにも通ずる爽やかなグルーヴを持ったジャズファンクが特徴的だ。地中海からアラビアへ、そして大西洋を越えて遥かブラジルまで吹き抜ける風。過去から現在の様々な時代を繋ぎながら、架空の“Città Futura = 未来都市”へと想像を膨らませる。

  • 2024-03-07
  • 2024-03-07

謎めいたサイケソウルバンド、Ghost Funk Orchestra が誘う月への旅路

作曲家/マルチ奏者のセス・アップルバウム(Seth Applebaum)率いるNYの9人組サイケ・ソウルバンド、ゴースト・ファンク・オーケストラ(Ghost Funk Orchestra)の2024年新譜『A Trip To the Moon』。よりエキゾチックに、よりサイケデリックに、よりディープに進化したバンドが“月への旅”へと誘う。

  • 2024-01-13
  • 2024-01-13

イスラエル・サイケ新星ギタリスト、YUZ デビュー!独創的で圧倒的な必聴盤!

イスラエル・エルサレム出身のギタリスト/作曲家、YUZことウリア・ウィツタム(Uriah Witztum)の音楽が最高に面白い。2022年のデビューアルバム『Mono Moon』はユダヤ、アラブ、そして西洋の文化が交差するこの土地らしいプログレッシヴかつ非常に高度な音楽性で、先の見えない展開の独自の音楽を確立した興味深い作品だ。

  • 2023-10-26
  • 2023-10-26

絶妙なミクスチャー・サウンドが現代にトロピカリアを甦らす。リオの気鋭SSWペドロ・フォンチ2nd

現在のリオデジャネイロのインディー・シーンにおける要注目シンガーソングライター/ギタリスト/打楽器奏者のペドロ・フォンチ(Pedro Fonte)。大きな注目を集めたソロデビュー作『Filme do Tempo』から3年ぶりとなる2ndアルバム『Luz Na Madrugada / Late Night Light』では、前作で見せた独特の魅力を放つサウンドをさらに深化。現代のトロピカリアとも呼ぶべき、少し捻りのあるブラジリアン・ロックがどこまでも魅力的な作品を仕上げてきた。