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アメリカ合衆国

  • 2024-04-02
  • 2024-03-26

アメリカ・ブルーグラスの新潮流。バンジョー奏者ベン・クラカウアー新作『Hidden Animals』

米国ノースカロライナ州のバンジョー奏者/作曲家ベン・クラカウアー(Ben Krakauer)の2ndアルバム『Hidden Animals』は、南インド音楽やブルーグラスを専門とする民族音楽学者でもある彼の個性が発揮された、独創的な作品だ。バンジョー、フィドル、チェロ、ダブルベース、ドラムスというクインテット編成で、ジャズの影響を強く受けた技巧的かつ楽しい音楽を聴くことができる。

  • 2024-03-31
  • 2024-03-31

【連載】ネイティブ・タンの衝撃~⑨HipHop黄金期と2枚目のジンクス。”変わり者”Black Sheepの94年作『Non Fiction』

オールドスクールのマッチョで攻撃的なラップのイメージを覆して、誰もが聴ける楽しいHipHopであるニュースクール。それらを作り上げたジャングル・ブラザーズ(Jungle Brothers)やデ・ラ・ソウル(De La Soul)といったネイティブ・タンの首謀者たちのデビューは概ね1988年〜90年。『Straight Out The Junge』や『3 Feet High and Rising 』などの名盤が多い一方、黎明期特有の荒さが目立つこの時期を経て、93〜94年、彼らのはより洗練された作品へと昇華されていく。本特集で取り上げたビートナッツ(Beatnuts)の『Street Level』やコモン(Common)の『Resurrection』はいずれもこの時期に発表された作品である。そして、本稿で取り上げるブラックシープ(Black Sheep)の『Non Fiction』もまた、94年に発表された彼らの2枚目の作品となる。

  • 2024-03-27
  • 2025-05-29

「聴く」よりも「感じる」。インド出身ガナーヴィヤが贈る、静謐かつ刺激的な音の空間

インド出身の歌手ガナーヴィヤ(Ganavya)の新譜『like the sky I've been too quiet』という作品を聴き、音楽の意味や価値についてあらためて気付かされるリスナーは多いだろう。極めて個性的なアーティストであるガナーヴィヤは、この特別なアルバムで南インドの伝統的な価値観やそこから生じた音楽をスピリチュアル・ジャズやエレクトロニック・ミュージックに手繰り寄せ、アンビエントなテクスチャーで繋ぎ合わせた。

  • 2024-03-21
  • 2024-03-21

野心に満ちた究極的ブラス・オクテット、Brassology アレンジの妙技を楽しめる逸品

カナダで活躍するトランペッター、ブランドン・リドヌール(Brandon Ridenour)とWDRビッグバンドでの活動で世界的に知られるトロンボーン奏者マーシャル・ギルクス(Marshall Gilkes)。ともにジャズやクラシックといったジャンルの概念に捉われない音楽を探求し、ブラスの限界点を拡張しようとする2人が結成した新しいブラス・オクテット、ブラソロジー(Brassology)のアルバム『Brassology』。金管楽器のみ8人の編成で、非常によく練られていながらも挑戦的な音楽表現が新鮮なアルバムだ。

  • 2024-03-09
  • 2024-03-09

ジャンルの概念を溶かす、インド系移民SSWシェヘラザードの衝撃的デビュー作『Qasr』

また、とんでもないアーティストが現れた。インド系移民2世として米国で生まれ育ったシンガーソングライター、シェへラザード(Sheherazaad)。近年大ブレイクしたパキスタン出身のSSWアルージ・アフタブ(Arooj Aftab)がプロデュースしたデビュー作『Qasr』は、音楽が従来のジャンルという概念ではなく、その人自身のパーソナルに大きく依存する時代を象徴するような素晴らしい仕上がりだ。

  • 2024-03-08
  • 2024-03-07

中国琵琶の巨匠とフラメンコギター奏者デュオ作『Alondra』、アビーロードでの一期一会

中国出身の琵琶奏者ガオ・ホン(Gao Hong, 漢字表記:高虹)と、アルゼンチン出身のフラメンコギター奏者イグナシオ・ルサルディ・モンテベルデ(Ignacio Lusardi Monteverde)によるユーラシア大陸両端の音楽が融合したような美しいデュオアルバム『Alondra』。ジャズ、フラメンコ、アルゼンチン音楽、中国音楽などに影響されたバラエティ豊かな演奏が楽しめる作品だ。

  • 2024-03-07
  • 2024-03-07

謎めいたサイケソウルバンド、Ghost Funk Orchestra が誘う月への旅路

作曲家/マルチ奏者のセス・アップルバウム(Seth Applebaum)率いるNYの9人組サイケ・ソウルバンド、ゴースト・ファンク・オーケストラ(Ghost Funk Orchestra)の2024年新譜『A Trip To the Moon』。よりエキゾチックに、よりサイケデリックに、よりディープに進化したバンドが“月への旅”へと誘う。

  • 2024-03-03
  • 2024-03-03

【特集】世界にみる音楽〜ラスベガス2024

「地球の音楽」を意味する、本サイト「ムジカテーハ(Musica Terra)」。世界の良質な音楽を皆様にご紹介しているわけであるが、果たして実際に現地ではどのような音楽が聴かれているのであろうか?前回のドイツに続き、第2回はアメリカ・ラスベガス。カジノ、ショーをはじめとしたエンターテイメントが集まるこの街の音楽たちを今回も紹介していきたい。

  • 2024-02-26
  • 2024-02-25

現代NYジャズの“名脇役”ローレンス・フィールズ、ピアノトリオでの初リーダー作『To the Surface』

アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス出身のピアニスト、ローレンス・フィールズ(Lawrence Fields)が自身のピアノトリオを率いて、初リーダー作『To the Surface』をリリースした。アルバムのタイトルには彼がこれまで何年にもわたって蓄積してきたアイデア、サウンド、楽曲を文字通り表面に浮かび上がらせることを表している。

  • 2024-02-17
  • 2024-02-17

イラン出身。独創的なオリエンタル・プログレッシヴ・メタルが激アツなギタリスト、Shayan Javadi

イラン出身、現在は米国テキサス州ダラス在住の女性ギタリスト/作曲家シャイアン・ジャヴァディ(Shayan Javadi)が2023年11月にリリースしたデビュー作『Shawn Javadi』がかっこいい。チョン(CHON)やアニマルズ・アズ・リーダーズ(Animals As Leaders)、インターヴァルズ(Intervals)、ティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)といったプログレ、メタル、ジャズに影響を受けたという激烈なサウンドが印象的で、とにかく熱いアルバムだ。

  • 2024-02-06
  • 2024-02-05

圧倒的センスと技巧で注目されるシカゴ出身ピアニスト、ジャハーリ・スタンプリー 待望のデビュー作

デリック・ホッジとの共演や、ハービー・ハンコック・インスティテュート国際コンペティションでの優勝(2023年)で注目されるシカゴ生まれの若き天才ピアニスト、ジャハーリ・スタンプリー(Jahari Stampley)のデビュー・アルバム『Still Listening』(2023年)をまだ聴いていないなら、今すぐに聴いてみてほしい。今まさに上昇気流に乗った底知れぬ実力を秘めたアーティストの、爆発的なエネルギーを感じることができるはずだ。

  • 2024-02-04
  • 2024-02-03

ファビアーノ・ド・ナシメント&サム・ゲンデル、音楽の普遍の美しさを体現する初デュオ作

7弦ギター奏者のファビアーノ・ド・ナシメント(Fabiano do Nascimento)と、サックス奏者のサム・ゲンデル(Sam Gendel)の初デュオ作『The Room』は、南米のシャーマニックな土着音楽が主なレパートリー。ギターとソプラノサックスのみという編成ながら、多彩な奏法を用い、実に色彩豊かで美しい音楽を作り上げている傑作だ。

  • 2024-02-03
  • 2024-02-03

ダーティ・サウスは終わらない。Sauce Walka 『DAT BOY DEN』

「ダーティ・サウス」とも呼ばれる南部のHipHop。グッディ・モブ(Goodie Mob)にはじまり、クランクで一世を風靡したリル・ジョン(Lil' Jon)、グラミー賞アーティスト・アウトキャスト(Outcast)、そして「キング」T.I etc…。超有名ラッパーを多数輩出するサウスHipHop界。その中で今注目したいのがこのソースウォーカ(Sauce Walka)だ。

  • 2024-01-23
  • 2024-01-21

古典と前衛、感情と技術の融合を試みるポーランド出身クバ・チホツキ『Flowing Circles』

ピアニスト/作曲家、クバ・チホツキ(Kuba Cichocki)『Flowing Circles』は、随所に前衛的な表現を交えた刺激的なジャズが楽しめる優れたアルバムだ。1984年ポーランド生まれ、現在はニューヨークで活動する彼の信条は心、精神、身体が三位一体となった音楽表現。伝統と革新、感情と技術といった一見相反する概念を融合することに情熱を捧げる彼らしい独創性が各楽曲の中に凝縮され、素晴らしい仕上がりとなっている。