バハグニが提示する、またも斬新なフラメンコ
アルメニア生まれのフラメンコ・ギタリスト、バハグニ(Vahagni)の新作がリリースされた。『The Life & Death of a Great Matador』と題されたこの3曲入りシングルは、エレクトロニック・ダンス・ミュージックとフラメンコの融合を試みるユニット「パコ・ヴェルサイユ(Paco Versailles)」で得た経験も反映させた、エレクトロ×フラメンコの大胆なサウンドになっている。
(1)「The Life & Death of a Great Matador」は打ち込みのビートが強調されつつも、バハグニのギターが堪能できる斬新なフラメンコ。
(2)「Interlude」、(3)「Sunday」はエレクトロニカ要素が強く、従来のバハグニの音楽とパコ・ヴェルサイユとのちょうど中間なサウンドだ。
パコ・ヴェルサイユがちょっとダンスミュージックに寄り過ぎていて、もう少しバハグニのギターを聴きたいな…と思っていた私にとって、シングルとはいえしっかりとフラメンコギターを弾く彼が戻ってきてくれたことは嬉しい。
この路線での更なる深堀りとアルバムの発表を期待したい。
コンテンポラリー・フラメンコギターの最注目株、バハグニ
バハグニ(Vahagni, 本名:Vahagn Turgutyan)は1985年アルメニア生まれ。
父親も同じくギタリストでアルメニア国立交響楽団のソリスト、母親は舞台女優という家庭に生まれ育ち、幼少期に故郷アルメニアを離れ家族とともに米国ロサンゼルスに移住した。
父親の影響もあり10代でフラメンコに傾倒し、スペインに渡りパコ・セラーノ(Paco Serrano)やマノロ・サンルーカル(Manolo Sanlucal)といった名手に師事し本場のフラメンコギターを習得。
LAに戻ったあとは音楽の最先端の街でジャズやラテンといった音楽も幅広く吸収し、故郷アルメニアの伝統音楽もブレンドした独自のスパニッシュギターのサウンドを切り拓いている。