【特集】世界が注目するジャズ楽団、サン・アンドレウ・ジャズバンドの美少女たち

Andre Motis

まだあどけなさの残る少女たちが、一人前にジャズを演奏し、歌う。
可憐なヴォーカルを聴かせたかと思えば、トランペットやトロンボーンを手に流麗なアドリブソロも。演奏のレベルはおそろしく高い。
一体この子どもたちは何者なんだろう…?
そんな興味深い楽団が、様々な文化が交錯するスペインの都市バルセロナに存在する。

若きジャズの才能を育てる、スペインのサン・アンドレウ・ジャズバンド

スペイン・バルセロナのサン・アンドレウ公立音楽学校から生まれたキッズ・ジャズ・アンサンブル、サン・アンドレウ・ジャズ・バンド(Sant Andreu Jazz Band)はベーシスト/管楽器奏者のジョアン・チャモロ(Joan Chamorro)によって2006年に創始された。このクラスでは6歳〜18歳(小学校〜高校)までの少年少女たちが優れたプロミュージシャンたちからジャズを学んでいる。

バルセロナの街中やバーなどでライヴを行い、当初から街では“ジャズの上手い子供たち”として有名だったが、2009年に最初のアルバム『Jazzing:Live at Casa Fuster』を発表した頃にヴォーカリストとしてフロントに立った二人の中学生、エヴァ・フェルナンデス(Eva Fernández)アンドレア・モティス(Andrea Motis)が注目を浴びるようになると、2010年頃からは各地で公演を行うようになり、2012年には彼らのドキュメンタリーも制作されるほどの人気に。ジョアン・チャモロの名と、彼が育てた若きソリストたちは一躍世界中のジャズファンから注目を浴びることになった。

今回の特集では“卒業”したメンバーも含め、多数の若い才能たちが集うサン・アンドレウ・ジャズ・バンドの注目すべき若手ミュージシャンたちを紹介したい。

※このバンドにはもちろん男性も存在するが、なぜかフロントに立ち目立つのは美貌の少女たちばかりなので、ピアニストのマルク・マルチン(Marc Martin)やトロンボーン奏者ジョアン・コディナ(Joan Codina)といった男性ミュージシャンは今回の記事からは省かせていただく。

Sant Andreu Jazz Band(Wikipediaより引用、2016年の写真)。
右端が発起人のジョアン・チャモロ。

アンドレア・モティス(Andrea Motis)

1995年生まれのアンドレア・モティス(Andrea Motis)はこのバンドが輩出した最初のスターだ。彼女は7歳からサン・アンドレウ音楽学校で学び、ジャズバンドには12歳から参加。ヴォーカル、トランペット、サックスで豊かな才能を発揮したちまち同バンドの華やかなフロントの一人になった。

2017年に『Emotional Dance』、2019年には『もうひとつの青』などアルバムも人気。日本のブルーノート東京でも公演を行うなど、その存在感を増している。

アンドレア・モティスによる「Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)」の演奏。
アンドレア・モティスはトランペットだけでなく、サックスでも非凡な才能をみせる。

エヴァ・フェルナンデス(Eva Fernández)

アンドレア・モティスとともにサン・アンドレウ・ジャズバンドの人気を確立する中で注目されたヴォーカリスト/アルトサックス奏者のエヴァ・フェルナンデス(Eva Fernández)は1994年生まれ。デビュー当時から大人びた歌声で話題となり、近年はセファルディの伝統的な歌唱法を取り入れるなど存在感を増している。代表作は『Joan Chamorro Presenta Eva Fernandez』(2013年)、『Yo Pregunto』(2018年)など。

アルバム『Yo Pregunto』収録の(5)「Para Leer en Forma Interrogativa」のMV。
セファルディの伝統的な歌唱法も取り入れ、とても魅力的だ。
大人びたジャズヴォーカルを聴かせるサン・アンドレウ時代のエヴァ・フェルナンデス。

リタ・パイエス(Rita Payés)

1999年生まれのリタ・パイエス(Rita Payés)はトロンボーン奏者/ヴォーカリスト。幼少時から音楽に親しんできた彼女は2013年にサン・アンドレウに加入し、すぐに頭角を表してきた。
クラシックギタリストの母親とのデュオアルバム『Imagina』(2019年)は家庭的な温かさのある名盤。

「Stars Fall on Alabama」を演奏するリタ・パイエス。
ギタリストの母エリザベト・ローマ(Elisabeth Roma)と演奏するブラジルの名曲「Carinhoso」

マガリ・ダッチラ(Magali Datzira)

アンドレア・モティスとエヴァ・フェルナンデスという二枚看板が卒業したあとのサン・アンドレウ・ジャズバンドのフロントを担ったのがベーシスト/ヴォーカリストのマガリ・ダッチラ(Magali Datzira, 1997年生まれ)。13歳に同バンドに加入した当初は地味な存在だったが、ジョアン・チャモロによる大抜擢によりフロントに。
アコースティックベース、エレクトリックベースを弾きながら成熟したヴォーカルを聴かせる。
サックス奏者の兄イスクル・ダッチラ(Iscle Datzira)とのデュオ、ダッチラ・ブラザーズ(Datzira Brothers)での活動も。

エレクトリック・ベースを弾きながら歌うマガリ・ダッチラ。
サックス奏者の兄とのデュオ演奏。

エリア・バスティーダ(Elia Bastida)

ヴァイオリン奏者のエリア・バスティーダ(Elia Bastida)は1995年生まれ。2017年に『Joan Chamorro Presenta Èlia Bastida』でソロデビュー(前出の優れたソリストも皆、このような方法でジョアン・チャモロプロデュースのデビューアルバムが制作されている)。2019年には『The Magic Sound of the Violin』で優雅なジャズ・ヴァイオリンの演奏を聴かせてくれる。

『The Magic Sound of the Violin』収録の(3)「How High the Moon」のMV。
マヌーシュ・スウィングのリズムが気持ちいい。
名ジャズ・ヴァイオリニスト、ステファン・グラッペリを彷彿させる素晴らしい演奏だ。

カルラ・モティス(Carla Motis)

“アンドレア・モティスの妹”という接頭語が常用されてしまう辛い立場のギタリスト、カルラ・モティス(Carla Motis, 1997年生まれ)だが、ギターのセンスは抜群。
ジプシージャズ(マヌーシュスウィング)やスウィングジャズを得意とし、2019年に『Joan Chamorro Presenta Carla Motis』でアルバムデビューした。

スウィング系のリズムが得意なカルラ・モティス。
ボサノヴァを弾くカルラ・モティス。隣で歌うのは姉のアンドレア。

アルバ・アルメンゴウ(Alba Armengou)

トランペット/アルトサックス奏者で、歌声も美しいアルバ・アルメンゴウ(2001年生まれ)は、どことなくアンドレア・モティスの後継のような印象を与えるソリストだ。
ブラジル音楽を多数取り上げたデビュー盤『Joan Chamorro Presenta Alba Armengou』(2014年)は素晴らしい音が詰まっている。

A.C.ジョビンの「Meditaçao」を歌い、トランペットソロを演奏するアルバ・アルメンゴウ
トロンボーンのリタ・パイエスと共に「Stolen Moments」を歌うアルバ・アルメンゴウ。

エルサ・アルメンゴウ(Elsa Armengou)

6歳でバンドに参加し、サン・アンドレウでも最も幼くしてステージにソリストとして登場し喝采を浴びたトランペット少女、エルサ・アルメンゴウ(Elsa Armengou, tr, vo)。
同バンドの驚異的な音楽教育を象徴する存在として、ドキュメンタリー映画でも注目された。アルバ・アルメンゴウの妹。

幼少時から突出した才能を示してきたトランペット奏者、エルサ・アルメンゴウ。
歌声もかわいい!

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