【連載】アーティストの旅と探索 vol.2 〜スケールと理論を超えて〜

アーティストの旅と探索 vol.2 〜スケールと理論を超えて〜

アーティストの旅と探索 vol.2 〜スケールと理論を超えて〜

── 創作においてダンサー・画家・作家・ミュージシャンに共通することはなんだと思いますか?

Daniel Weiss それは彼らが芸術を使って彼ら自身の、またなりきった役の生き様を表現しているという点だと思います。芸術は自分の中にある考えを自分の分野を通して他人に伝える、ということなんだと思います。

── 芸術を使って生き様を表現するのはとても難しそうですね…。あなたはそれができるようになるまで、どうやって練習を積み重ねたのですか?

Daniel Weiss その日の練習の中で学ぶこと・学んだことは何かをはっきりと意識することが大切です。あなたが練習していることは全て、最終的にあなたがどんなプレイヤーになるかを左右します。目標を持ってそれに向けて練習することが感性豊かな音楽家になることへの近道です。

── 読者に向けて少し練習についてアドバイスをしていただけませんか?

Daniel Weiss 常に明確なビジョンを持つことが大切です。
最終的にどうなりたいか、何を得たいかを常に頭に置いておきましょう。ここにヒントをいくつか残しておきます。

・上達したいポイントをしっかり選んでそこに向けて集中的に努力しましょう。
・あなたがした決定の裏にある本当の動機・モチベーションを見つけましょう。
・練習を通してあなただけのユニークなサウンドを見つけましょう。
・目指しているものを正確に頭の中でイメージしましょう。

人が楽器を演奏するとき、常に彼らは音楽の“生徒”であると私は思っています。
もし演奏家としての人生を十回過ごしたとしても、私はまだ生徒でありつづけると思います。演奏するということは終わりがない冒険のようなものだと感じています。

── もしあなたが仰るように演奏家であるということがつまりずっと学び続けるということならば、学び続けるうえで何が重要になってくると思われますか?

Daniel Weiss 学び続けるということについてチック・コリアが言った言葉に「何かを学ぶとき、あなた自身がそれを学びたいと心から思わなくてはいけない。私たちは他の人からいい評価をもらうために音楽をしているのではない」というものがあります。
何かを勉強するときそれを勉強したいなら本当に心の底からそれを学ぶということについてハングリーになることが重要です。

私の生徒たちが「なぜわざわざこんなことをしなきゃいけないの?」と聞いてくることがあります。そのとき必ずわたしは「いい質問だね!それでは君はなぜここにいるの?上手くなる必要はある?なぜ楽器を弾くなんていう面倒臭いことを選んだの?」と聞き返すようにしています。

私たちは自分自身の想像力を使って作品を作り上げていき、その過程で知識と理論を自分の想像力と心を使って音楽に変えます。こうして音楽をめぐる自分自身との旅は旅は続いていき、その過程で自分だけのサウンドを作り出すのです。

── 学び続けるというのはモチベーションの維持が大変そうですね。あなたはどうやってモチベーションを保っていますか?

Daniel Weiss 私は自分が上達していくのを感じる時モチベーションが上がります。
自分のレベルアップが私たちのモチベーションにつながっている場合、練習し続けることができるのはもちろんのことですが、さらに練習が私たちの想像力をどんどん刺激し、私たちが練習の中で見つけたことを表現する手助けになってくれます。

── 今の目標を教えてもらえますか?

Daniel Weiss 2021年が始まったばかりですね。今年の私の目標は、
・わからないことをわかるようにすること
・自分の表現をもっと自由にしていくこと
・自分が何を表現したいのかをもっと明確にしていくこと
・弾きたい曲をなんでも弾くこと

── もし練習や勉強をせずに自分の表現したいことが表現できる世界だったらあなたは何をしますか? 

Daniel Weiss なんでも弾けるようになっても、私は新しい表現を見つけるために練習し続けると思います。

“Imagination is more important than knowledge. For knowledge is limited, whereas imagination embraces the entire world, stimulating progress, giving birth to evolution.” Albert Einstein

空想は知識より重要である。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む(アルベルト・アインシュタイン)

(次回に続く)

ダニエル・ウェイスのデビューアルバム『Dive』収録の(2)「K4Y」

ダニエル・ウェイス(Daniel Weiss)略歴

イスラエル・テルアビブ出身、バークリー音楽大学卒業の作曲家/ギタリスト。
英Lick Library主宰のギターコンテスト、ギター・アイドル2016(Guitar Idol 2016)のファイナリスト。

2016年にベーシストのリオール・オゼリ、ドラマーのシャロン・ペトロヴェル(Pinhas & Sons)とともにプログレッシヴ・ジャズバンド、Square to Checkを結成。2016年にEP『Stir Fry』を、2018年にシングル『Orchestrated』をリリース。
2021年にピアニスト/作曲家のヤニフ・タウベンハウス(Yaniv Taubenhouse)らを迎え初のリーダー作『Dive』をリリースしている。

公式HP
https://weissguitar.com/

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