3台の弦楽器が奏でる至福の時。フロリアン・ウィライトナー

Florian Willeitner - First Strings on Mars

3台の弦楽器が奏でるジャンルを超越したアンサンブル

ドイツのヴァイオリン/フィドル奏者/作曲家フロリアン・ウィライトナー(Florian Willeitner)のデビュー作『First Strings on Mars』が、名門ACTレーベルからリリースされた。

同じくヴァイオリン奏者のイグマー・ジェナー(Igmar Jenner)と、ダブルベース奏者ゲオルク・ブラインシュミット(Georg Breinschmid)とのトリオで、ジャズ、クラシック、スウィング、カントリーなどを横断する表現力豊かな珠玉のアンサンブル作品だ。

アルバム収録曲はスティング(Sting)の(2)「Fragile」とスティーヴン・フォスター(Stephen Foster)の(10)「Jeanie with the Light Brown Hair」を除くすべてがフロリアン・ウィライトナーのオリジナル。終始3台の弦楽器の鳴りが素晴らしく、牧歌的に演奏したかと思えば時には激しく弦を擦り付けるような演奏もあり、3人の卓越した技巧とアイディアに終始驚かされる。

ヴァイオリン(あるいはフィドル)2台とダブルベースという編成のため、第一印象はクラシックの印象が強いが、聴き込むほどにヴァイオリンの奏法は驚くほどに自由に様々な奏法が用いられていることに気付く。さらにベースのオーストリア出身ゲオルク・ブラインシュミットも相当な手練れで、フレーズの選び方、ダイナミクスの付け方、グルーヴ感などとてもセンスが良く個人的にかなり好みのタイプのベーシストだ。ソロベースで始まる(10)「Jeanie with the Light Brown Hair(金髪のジェニー)」など、最初のE線の開放弦の音から素晴らしい音鳴りでゾクゾクする。

スティングの名曲カヴァー(2)「Fragile」。アレンジも素晴らしい

フロリアン・ウィライトナー(Florian Willeitner)は1991年、ドイツ南東部バイエルン州のパッサウ出身。幼少時よりヴァイオリンとピアノを習い、12歳で作曲を始めた。19歳の時から世界各国を旅し、フランスやスペイン、アイルランド、ギリシャ、アメリカ、キューバなど、さまざまな音楽文化の中でのヴァイオリンの奏法や役割について研究。2016年に世界最大のジャズ・ヴァイオリン・コンクールのひとつである国際ズビグニェフ・セイフェルト・コンクールで準優勝した。

ジャズやクラシック、そして世界中の伝統的な音楽を融合することをライフワークにしており、その目的のためにアート・コレクティヴ、プール・オブ・インヴェンション(Pool Of Invention)を創立し活動している。
今作の(6)「The Green Wind」では自作詞でヴォーカルも担うなど、多彩な才能を見せている。

Florian Willeitner – violin, soulfiddle, mandolin, vocal
Igmar Jenner – violin
Georg Breinschmid – doublebass

Florian Willeitner - First Strings on Mars
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