新しいカリスマ、ノガ・エレズ待望の2nd。現代社会が求め続けたアーティスト

Noga Erez - Kids

時代をリードする女性アーティスト:Noga Erez

イスラエルのSSW、ノガ・エレズの新譜『Kids』
この作品に限っては、面倒くさい前置きは必要ない。
ただひとこと…「最高にかっこいい!」


2017年にセンショーナルなデビューアルバム『Off the Radar』をリリースし話題となったノガ・エレズ(Noga Erez)が待望のセカンドアルバム『Kids』をリリースした。本作では、ここ数年で次々と素晴らしいクオリティのシングルを発表し、既にカリスマ性を身に付け、2021年3月8日の国際女性デーに際してはApple Musicによって“時代をリードする女性たち”のひとりに選ばれた彼女のさらに進化した姿を世界に示す。おそらく、今年もっとも重要な作品となることは間違いないだろう。

ノガ・エレズというアーティストの佇まいや音楽から受ける印象は、アイコンとしてのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)にも近しいものも感じる。社会への不安と野心、個人の生活を静かに侵す政治、世界のどこかで今この瞬間も起こっている争いや流血。生と死。代弁者であり近寄り難いカリスマ。ノガ・エレズの音楽の輪郭はこうした漠然とした概念で形作られている。人々が互いに疑念を抱き、SNSでもリアルでも来る日も来る日も憎悪が繰り返される社会のなかで、彼女のようなアーティストは生まれるべくして生まれたとさえ感じる。

何度も繰り返し観たくなるMVの印象も強烈な(3)「Views」

今作は、アート界隈では絶賛されながらもひたすらにダークで、一般的にはとっつきにくいと思われた前作と比べると随分と洗練されキャッチーになった──つまり、全力で推せるようになった。他にない個性を持つシンガーソングライターであり、楽曲は斬新でかっこいい。そしてファッションリーダーでもあり、それでいながらイスラエルという良くも悪くも議論の中心になる国に生まれ育った彼女の音楽は社会的・政治的な批評を含み、無視できない重みがある。

(3)「Views」や(8)「Story」などのリードトラック数曲でフィーチュアされている、公私のパートナーであり今作の共同プロデューサーでもあるオリ・ロウソ(Ori Rousso)の気怠く囁くように語る声もこの作品から受ける印象のうち大きなウェイトを占めている。

(10)「NO news on TV」は一聴すると彼女らしからぬポップな楽曲だが、「もう電話をみたくない」「石のように転がりたくない」「ノイズを取り戻したい」と諦観したように歌いながらも、人気SNS・Tik Tokを想起させる歌詞(彼女はTik Tokでも多くのフォロワーを抱えている)からは、自由に表現し、それを多くの人に認めてもらいたいという人間の根本的な心理的欲求が表出する。

驚くほどにポップでキャッチーな(10)「NO news on TV」
しかしその歌詞は辛辣だ。オリ・ロウソ(Ori Rousso)の厭世のヴォイスも最高。
どんな人間にもいつか平等に訪れる“死”について考察する(5)「End of the Road」
これは同時に“生”についての歌でもある。
パートナー、オリ・ロウソ(Ori Rousso)と戦闘ごっこでいちゃつく(8)「Story」のMV

ノガ・エレズ 略歴

ノガ・エレズ(Noga Erez, ヘブライ語:נגה ארז)は1989年イスラエル生まれのシンガーソングライター、プロデューサー。2017年に「Dance While You Shoot」がAppleの広告に採用されたことで一躍時代の人となった。

エルサレム音楽舞踊アカデミー(Jerusalem Academy of Music and Dance)で作曲を学び、様々なバンドでヴォーカリスト、キーボード奏者、パーカッショニストとして活躍。イスラエル国防軍での兵役中は軍楽隊の一員にもなった。

彼女の音楽はオルタナティブ、エレクトロニカ、ヒップホップなどに大きな影響を受けており、そして暗喩的に政治的でもある。フライング・ロータス、ビョーク、フランク・オーシャン、ケンドリック・ラマーといった音楽家をお気に入りとして挙げているが、もはやノガ・エレズという個性は唯一無二の高みに達した感さえある。

”Kids Against The Machine” と題されたライヴ・プロジェクトで演奏される(3)「Views」。
向かって左側のコーラスの女性は人気歌手のミカ・サデ(Mika Sade)だが、ここでの彼女はハッピーに満ちた自作曲の雰囲気から正反対で退廃的だ。

Noga Erez - Kids
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