驚くべきエネルギーを秘めた女性11人組ジプシーブラスバンド
2015年にバルセロナで結成された全員女性の11人組、バルカン・パラダイス・オーケストラ(Balkan Paradise Orchestra, 通称:BPO)は、大所帯によるジプシーブラス直系の迫力あるサウンドと、女性バンドならではの華やかなステージでの立ち振る舞いがとても魅力的なバンドだ。
彼女らの音楽はバルセロナを拠点としていながらその精神性は完璧にバルカン音楽に根ざしている。2017年にSons de la Mediterràniaのコンテストで優勝し、その後、カタルーニャ全土で演奏して飛躍的な成長を遂げてきた。2018年のデビュー作『K’ataka』に続き、2020年には2枚目となる『Odissea』をリリース。そのクオリティは現代のジプシーブラスバンドの最高峰と言っても過言ではない。
大地に響くチューバの低音、力強いドラムスとアラビックなパーカッションに支えられ鋭く空を裂くトランペット、豊かなハーモニーを奏でるトロンボーンにクラリネット。これらのアンサンブルがバルカン音楽のリズムと旋律の底知れない魅力に誘う。適度なポストプロダクションも効果的だ。女性奏者の武器である声は控え目だが時折効果的に用いられる。
前作でもゴラン・ブレゴヴィッチの曲を取り上げていたが、今作でも映画『アンダーグラウンド』からの名曲(7)「Ausencia」を歌入りで演奏しており、バルカン音楽ファンには堪らない内容だ。
2021年に入ってからはエレクトロスウィングやヒップホップを取り入れたシングルもリリースするなど、進化にも貪欲なBPO。これからの活躍にもますます目が離せない。
Balkan Paradise Orchestra :
Alba Careta – trumpet
Alba Ramirez – french horn
Berta Gala – trumpet
Eli Fábregas – pecussion
Eva Garin – clarinet
Laura Lacueva – clarinet
Maria Cofan – trombone
Maria Puertas – tuba
Mila Gonzalez – trumpet
Nuria Perich – drums
Olivia Casas – tuba