驚異的なベース&歌のデュオ、ダニエル・マサ&マリア・ボロンテ『Serenata』

Daniel Maza & María Volonté - Serenata

世界最大の川幅、ラ・プラタ川の対岸に生まれ育った二人のデュオ

南米ウルグアイ出身のシンガー/ベーシスト、ダニエル・マサ(Daniel Maza)とアルゼンチン出身のシンガー/ギタリストのマリア・ボロンテ(María Volonté)のデュオによる極上のライヴアルバム『Serenata (En Vivo)』

演奏はおおよそ二人だけでやっているとは思えないほど濃密で充実しており、エレクトリック・ベースをまるでギターのようにベース音とコードでグルーヴさせるダニエルと、その表現力豊かな美しい歌声で魅了するマリアによる完璧に息のあった共演は感動的ですらある。

マリア・ボロンテがギターを弾くのは(4)「Ay Ay de Mí」のみで、ほかの楽曲は専ら伴奏はダニエル・マサのエレクトリック・ベースのみだが、これがまた凄まじいテクニックで驚かされる。
5弦ベースのハイポジションを多用したコード演奏に、スキャットを交えたジャズの即興。ここには一般的に地味なイメージを持たれがちなベースという楽器の可能性と魅力の拡張がある。彼がラテン圏の出身でなく英米あたりの出身であったなら、今頃彼の真似をするベーシストが世界に溢れていただろう。

アルデマーロ・ロメロ作曲の(1)「Aldemaro Romero」
(アルバム収録の音源とは別収録のもの)
(4)「Ay Ay de Mí」(アルバム収録の音源とは別収録のもの)

短調多めでメロディアスな哀愁感、熟練の歌や演奏の素晴らしさ、ほぼベース一本で奏でられる魅惑のグルーヴ、ライヴでの即興演奏の臨場感など、とにかく魅力に満ちた一枚だと思う。

Daniel Maza & María Volonté プロフィール

ダニエル・マサは1959年にラ・プラタ川の河口左岸に位置するウルグアイの首都モンテビデオに生まれた。
ウーゴ・ファトルーソ(Hugo Fattoruso)やオズバルド・ファトルーソ(Osvaldo Fattoruso)との活動などでも知られるウルグアイ最高峰と評価されるミュージシャンで、ラテンジャズ、カンドンベ、ボサノヴァなど多様なジャンルを取り入れている。

マリア・ボロンテは1955年にラ・プラタ川河口の右岸に位置するアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに生まれた。
デビュー作『Tango y Otras Pasiones』でアルゼンチン・タンゴに新しい風を吹き込み、この作品はアルゼンチンの大手新聞ラ・ナシオン紙によって史上最高のタンゴアルバム100にも選出されている。

Daniel Maza – vocal, bass
María Volonté – vocal, guitar

Daniel Maza & María Volonté - Serenata
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