若きトランペッター/歌手アンドレア・モティス、新譜はWDRビッグバンドとの迫力ある共演

Andrea Motis - Colors & Shadows

若きトランペッター/歌手アンドレア・モティス新作『Colors & Shadows』

スペインの少年少女ジャズ楽団、サン・アンドレウ・ジャズバンド出身の人気トランペット奏者/シンガーのアンドレア・モティス(Andrea Motis)が、欧州を代表するビッグバンド、WDR Big Bandと共演した新作『Colors & Shadows』。アンドレア・モティスの清廉で気品のあるヴォーカルと味のあるトランペットがビッグバンドの豪快なサウンドに馴染み、聴いていて明るく楽しく幸せな気分になれる音楽に仕上がっている。

今作は(1)「I Didn’t Tell Them Why」などアンドレア・モティスによるオリジナルのほか、ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソア(Fernando Pessoa)の詩に、アンドレア同様にサン・アンドレウ音楽学校で学んだトランペット奏者ジョアン・マール・サルケ(Joan Mar Sanqué)が曲をつけた(2)「Tabacaria」や、名ピアニスト、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)作の(3)「Señor Blues」、ブラジルのサンバ歌手/作曲家アドニアン・バルボーザ(Adoniran Barbosa)による(6)「Iracema」など新旧の良質なカヴァーを収録。ビッグバンドのアレンジは若干古風ではあるものの、キャリア相応に落ち着いてきたアンドレア・モティスの歌唱と演奏とも相まって安心して音の渦に身を任せられる。どことなく祝祭感もあり、これからの寒い季節への励ましに耳を傾けたくなるような作品かもしれない。

ポルトガル語で歌われる(4)「Brisa」と(7)「Sombra de La」はアンドレア・モティス作曲、ブラジル出身のパンデイロ奏者セルジオ・クラコウスキ(Sergio Krakowski)作詞の共作。セルジオ・クラコウスキは以前から幾度となくアンドレア・モティスと協力をしており、彼女が傾倒するブラジル音楽文化への橋渡し的な役割を担っているようだ。

高速ブラジリアンな(4)「Brisa」。ソリストはアンドレア・モティスと、トロンボーン奏者のラファエル・クレム。

全曲のアレンジは米国出身の経験豊富な作編曲家/指揮者マイケル・モスマン(Michael Mossman)が担当。また、(10)「Motis Operandi」もマイケル・モスマンが作曲を行っている。

アンドレア・モティス 略歴

アンドレア・モティス(Andrea Motis)は1995年スペイン生まれ。7歳の頃からサン・アンドレウ音楽学校で学び、ベース奏者/音楽教育者ジョアン・チャモロ(Joan Chamorro)が主宰するジャズバンドには12歳から参加。すぐに同バンドのフロントに立つようになり、歌、トランペット、ときにはサックス奏者としても活躍。同バンドが輩出した最初のスターとなった。

2017年に『Emotional Dance』、2019年には『もうひとつの青』などアルバムもリリース。日本のブルーノート東京でも公演を行うなど世界的な人気を誇っている。
同じくサン・アンドレウ・ジャズバンド出身のヴァイオリニスト、クリストフ・マリンジャー(Christoph Mallinger)との間に昨年10月に第一子を出産、今作は母となって初めてのアルバムとなっている。

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