特注ギターを武器に中東・インド・ジャズをまたぐ超個性派SSW、オフェル・ミズラヒ

Ofer Mizrahi Trio Live Album

中東音楽/インド音楽/ジャズをまたぐ超個性派ギタリスト、オフェル・ミズラヒ

たくさんの共鳴弦を張った特注のギター“ホエール・ギター”でインド音楽を取り入れた個性的な演奏を行うイスラエルのギタリスト、オフェル・ミズラヒ(Ofer Mizrahi)のライヴ盤『Ofer Mizrahi Trio Live Album』がサブスクでリリースされた。

これは2019年10月にエルサレムにあるライヴハウス、イエロー・サブマリン(Yellow Submarine)で行われたライヴ音源で、ヴォーカル/ギターのオフェル・ミズラヒのほか、クラシック/ジャズ/中東音楽の分野で活躍する日系のチェロ奏者マユ・シュヴィロMayu Shviro)と、イスラエルを代表するピアノトリオ、Shaloshのベース奏者ダヴィド・ミハエリDavid Michaeli)とのトリオで紡がれる素晴らしく魅力的な音楽だ。

やはり耳を奪われるのはオフェル・ミズラヒの弾くエレクトリック・ギターの音色だ。演奏用の6本の弦のほかに15本の共鳴弦を備えたこの独創的なギターで奏でられる豊かな倍音は北インドの伝統楽器シタールのような個性的な美しさ。語り口はシンプルで吟遊詩人のようだが、シタールの奏法も取り入れたギターの演奏はおそろしく奥が深い。
ときにはトランペットも手に取り多芸で魅せる彼を支えるのはチェリストとベーシストだが、特にチェロのマユ・シュヴィロの演奏は素晴らしい。彼女は西洋クラシック音楽、ジャズ、そしてアゼルバイジャンでアラブ音楽を学ぶなどその音楽性の豊かさでイスラエルの若手チェリストの中でも随一の才能を持つ。今作ではトリオという編成上、彼女のソロも多くチェロの奥行きのあるサウンドを存分に堪能できる。

中東音楽色の濃い(4)「Two Lovers」。マユ・シュヴィロのチェロはピチカートでもアルコでも素晴らしい表現力。オフェル・ミズラヒはトランペットでのソロも。

オフェル・ミズラヒはインドのコルカタでの経験にインスパイアされ、自身でデザインした通称“ホエール・ギター(the whale guitar)”を二人の弦楽器製作者とともに1年半をかけて開発。中東音楽、インド音楽、ジャズなどを融合した唯一無二のプレイスタイルで多くのプロジェクトに主にサイドマンとして加わってきた。これまでの主な共演者はオムリ・モール(Omri Mor)、イダン・ライヒェル(Idan Raichell)、エステル・ラダ(Ester Rada)、リフ・コーエン(Riff Cohen)、イシャイ・アフターマン(Yishai Afterman)など。
彼はギターのほかにトランペットの演奏にも長けている。

(2)「One Legged Ballerina」
ホエール・ギターの製作ショート・ドキュメンタリー。

Ofer Mizrahi – vocal, the whale guitar, trumpet
Mayu Shviro – cello
David Michaeli – double bass

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