アルジェリア出身アヌアル・カドゥール・シェリフ『Djawla』
アルジェリア出身、現在はスイスを拠点に活動するマンドラ奏者/作曲家アヌアル・カドゥール・シェリフ(Anouar Kaddour Chérif)が率いるカルテット、Djawlaのデビュー作 『Djawla』。
ジャズとアラブの伝統音楽を巧みに融合した個性的な作品で、マンドラ(南ヨーロッパで伝統的に演奏されてきた10弦のリュート属の楽器)の旅情を感じさせる音色と、クレマン・ムニエ(Clément Meunier)によるふくよかなバスクラリネット、ハネス・ユンカー(Hannes Junker)のドラムス、アントワン・ブロッショ(Antoine Brochot)のベースとがスリリングに絡み合う。
ほとんどはインストだが、(4)「Call Of The Night」など数曲ではアヌアル・カドゥール・シェリフのヴォーカルも聴くことができ、心穏やかに音楽に集中するためにスイスに亡命したという彼の、故郷を想う気持ちが痛切に伝わってくる。何よりも細かくトレモロを刻むマンドラと、太く温かなバスクラリネットという旋律を担う二つの楽器同士の組み合わせがとても魅力的で、さらにアラビックな旋律がその魅力を増幅させる。
なかなか聴きなれないサウンドだが、聴き込むうちにその魅力の虜になる。そんな類の良作だ。
Anouar Kaddour Chérif プロフィール
アヌアル・カドゥール・シェリフはアルジェリアのセティフに生まれ、アルジェリア東部でさまざまなアンサンブルと共演し、アラブ・アンダルシア音楽を探求し、作曲家/歌手として経験を積んできた。
24歳のときに故郷を離れスイスに定住。今作はスイスで出会ったミュージシャンたちと結成したバンドで、国際的なキャリアへの第一歩となる作品となっている。
Anouar Kaddour Chérif – mandola, vocal
Clément Meunier – bass clarinet
Hannes Junker – drums
Antoine Brochot – bass