ネイ奏者メイア・ガッセンバウアー、満を持してのデビュー
イスラエルの作曲家/ネイ奏者メイア・ガッセンバウアー(Meir Gassenbauer)のデビュー作『Pier To Infinity』(2021年)は、個性的なアーティストが次々と出現するイスラエルのジャズシーンの中でももっと広く知られるべき作品の最もたる例だ。
今作はメイア・ガッセンバウアー自身がこれまで掘り下げてきた伝統的な地中海音楽、トルコのマカーム、ジャズ、イスラエルの音楽、プログレッシヴ・ロックなどのさまざまなスタイルの要素が織り交ぜられた多様性のある作品に仕上がっている。
収録曲の多くはカルテット編成──ピアノのミハエル・リニク(Michael Linik)、ベースのガル・マエストロ(Gal Maestro)、ドラムスのダヴィド・ダグミ(David Dagmi)──を基本とし、前半5曲はゲスト参加のウード奏者ヤルダン・エレズ(Yarden Erez)も含め各奏者のソロによるイントロから楽曲に流れ込むという効果的な構成をとっている。数曲ではメイア・ガッセンバウアー自身によるヴォーカルもあり、イスラエル〜アラブの音楽の要素が色濃く表出した魅惑の音楽が続く。即興も多く、それぞれ個性的な演奏家はアンサンブルの中でリアルタイムに多くのインスピレーションを得ながら、同一のものは二度と再現できない素晴らしい演奏を繰り広げていく。
Meir Gassenbauer – ney, voice
Michael Linik – piano
Gal Maestro – double bass
David Dagmi – drums
Yarden Erez – oud (7, 8), accordion (11), strings (12)
Suf & Noach – voice (13)