ブラジルとイタリアを繋ぐ音楽の架け橋。夢見心地のピアノ&ハーモニカ、そしてチェロの祝宴

Stefania Tallini & Gabriel Grossi - Brasita

ステファニア・タリーニ、ガブリエル・グロッシの美しい共演作

イタリアのピアニスト、ステファニア・タリーニ(Stefania Tallini)と、ブラジルのハーモニカ奏者ガブリエル・グロッシ(Gabriel Grossi)のデュオ・アルバム『Brasita』。数曲で巨匠チェリスト、ジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum)をゲストに迎え、クラシカル&ジャジーな極上の音を聴かせてくれる。

アルバムにはステファニアとガブリエルのオリジナルまたは共作曲のほか、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini)のアリア(3)「O mio babbino caro(私のお父さん)」やエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)の(6)「Nuovo cinema paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)」というイタリアが誇る名曲に、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobim)の(5)「Olha Maria」、エイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos)の(4)「Festa do Sertao」といったブラジルが生んだ名曲の美しいカヴァーも収録。まさにイタリアとブラジルの架け橋となるような素晴らしいセッションとなっている。

ジャキス・モレレンバウムがゲスト参加した(1)「A Veva」

このデュオは2018年にイタリアを訪れていたガブリエル・グロッシが一緒にヴィデオを撮影するピアニストをWebで探し、ステファニアを見つけ声をかけたところから始まった。音楽的な嗜好が一緒だったことから二人はすぐに意気投合、ヴィデオだけにとどまらず一緒にコンサートを行い、その成果としてアルバム制作に至った。レコードの美学を完全に表現できるゲストを必要としていた二人の共通の意見はジャキス・モレレンバウムだった。ガブリエルがジャキスに連絡すると、二人のデュオ活動を喜んでいたジャキスも快諾し、すぐにリモートでの録音が始まったのだという。

ガブリエル・グロッシ作のタンゴ風の楽曲(2)「Hermanos」

アルバムのタイトルはブラジルとイタリアをつなげた造語(BRASil-ITAlia)で、当初はデュオ・プロジェクトの暫定的なネーミングに過ぎなかったが、彼らが国境やジャンル、作曲された時代にとらわれない自由な音楽表現を探求するプロセスをもっとも的確に表した言葉として正式に採用されるに至ったようだ。

Stefania Tallini プロフィール

ピアニストのステファニア・タリーニは1966年イタリア南部カラブリア州都カタンツァーロ生まれ。1990年にローマのサンタ・チェチーリア音楽院をクラシックのピアノで卒業、2001年にフロジノーネ市リチーニオ・レフィチェ国立音楽院をジャズの作編曲で卒業している。

彼女の音楽はクラシックのほか、17歳の頃に初めて出会い大きな衝撃を受けたというチェット・ベイカーをきっかけとしたジャズ、90年代に偶然出会ったキューバの音楽、そして他の世界中の音楽家たちと同じようにジョビンとヴィニシウス・ヂ・モライスの作品群をきっかけに夢中になったブラジルの音楽など、複雑かつ豊かな音楽的土壌が土台となっている。

Gabriel Grossi プロフィール

クロマチック・ハーモニカ奏者のガブリエル・グロッシはバンドリン奏者アミルトン・ヂ・オランダ・クインテットのメンバーとして知られており、2007年にブラジル音楽賞を受賞。ラテン・グラミー賞で3回連続でファイナリストになった経歴を持つ。

2005年にアルバム『Diz Que Fui por Aí』でデビューし、作編曲で高い評価を得た。以降アミルトン・ゴドイ、エルメート・パスコール、シコ・ブアルキ、イヴァン・リンス、レイラ・ピニェイロ、ジョアン・ドナートといった数多くのブラジルを代表する音楽家たちと共演を重ね、ハーモニカの巨匠トゥーツ・シールマンスからも賛辞を受けるなど現代ジャズ・ハーモニカの第一人者として国際的な活躍を続けている。

Stefania Tallini – piano
Gabriel Grossi – harmonica

Guest :
Jaques Morelenbaum – cello (1, 5, 7, 10)

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