パオロ・ディ・サバティート全面参加。ホザリア・ヂ・ソウザ新作
軽快な2000年代にニコラ・コンテに見出されたブラジル出身のシンガー、ホザリア・ヂ・ソウザ(Rosalia De Souza) の2022年作『Inspirada』は、90年代後半にイタリアで勃興し世界を席巻したブラジル系クラブジャズの流れを汲んだ、どこまでも爽快なグルーヴを楽しめる作品に仕上がっている。
メロディやアレンジの良さ、歌や演奏の巧さ、満載のグルーヴ感などどこをとっても隙のない完璧な音楽だ。ニコラ・コンテの諸作で見られるようなプログラミングは用いておらず、ジャズ・カルテットのサウンドはオーガニック。それでいて人間的な汗臭さは一切なく、良くも悪くも“無菌感”はあらゆる音楽の中でもトップクラスなのではないだろうか。
収録曲はすべてイタリア出身ピアニストのパオロ・ディ・サバティート(Paolo Di Sabatino)の作曲で、ラテンやブラジル音楽にも精通する屈指のジャズピアニストである彼のピアノやエレクトリック・ピアノの卓越した演奏が楽しめるのも本作の魅力のひとつ。
随所で情熱的なサックスを聴かせてくれる木管楽器奏者のサンドロ・デイダ(Sandro Deidda)もまた2000年代後半のニコラ・コンテ作品で活躍した音楽家だ。
Rosalia De Souza 略歴
ホザリア・ヂ・ソウザは1966年ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。1988年にイタリア・ローマに移住し音楽理論、パーカッション、ジャズ・ヴォーカルなどを学んだ。
1994年にDJ/プロデューサーのニコラ・コンテ(Nicola Conte)と出会い、彼が手がけるクラブジャズ/ラウンジ・ミュージックの伝説的ユニットFez Comboに参加。1995年にはクインテットX(Quintetto X)のアルバム『Novo Esquema De Bossa』の制作に参加し人気を博した。
2001年にはモントルー・ジャズ・フェスティバルにニコラ・コンテと共に出演し、2003年には初のソロ・アルバム『Garota Moderna』をリリース。その後もエレクトロニックなクラブジャズからボサノヴァまで幅広い表現活動を行っている。
Rosalia De Souza – vocal
Paolo Di Sabatino – piano, electric piano
Antonio de Luise – double bass, electric bass
Roberto Rossi – drums
Sandro Deidda – saxophone, flute