要注目作!ガイア・ヴィルメル、ブラジル最強ラージ・アンサンブルによるE.ジスモンチ曲集

Gaia Wilmer - Folia

ジスモンチ本人も参加、ブラジル最高峰のラージアンサンブル作品

ブラジル出身の気鋭編曲家/指揮者ガイア・ヴィルメル(Gaia Wilmer)によるエグベルト・ジスモンチ曲集『Folia: the Music of Egberto Gismonti』がリリースされた。数曲でエグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)本人も参加した本作では、ガイア・ヴィルメルによる目の覚めるような素晴らしいアレンジでジスモンチの珠玉の作品群を楽しむことができる。

このプロジェクトはジスモンチの70歳の誕生日を祝う企画として2017年に開始された。アルバムではゲストとしてジスモンチ本人が(3)「7 Anéis」と(7)「Karatê」で豪快なピアノを弾いているほか、巨匠チェリストのジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum)が(5)「Infância」に、世界的ハーモニカ奏者のガブリエル・グロッシ(Gabriel Rossi)が(6)「Lôro」に参加している。
アルバムにはクレジットされていないが、ブラジルの文化団体SESC(セスキ)の後援もありブラジル各地で開催されたコンサートでは7弦ギタリストのヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)も参加し、まさにオールスターが集った一大プロジェクトとなっている。

ガイア・ヴィルメルによるアレンジは目を見張るものがある。原曲を大胆に組み替え、リハーモナイズ、複合変拍子など個性的で凝りに凝ったアレンジでジスモンチの名曲群を新鮮に解釈し、ビッグバンドの迫力とも相まって強烈なインパクトを残す。彼女のこのアレンジがまた、エグベルト・ジスモンチという稀代の作曲家の唯一無二の魅力を極限まで引き上げているのだ。幼い頃からジスモンチの曲を聴いて育ち、憧れ続けていたという彼女の楽曲への愛情が、この作品をほかにはない独創的なものへと導いた。

(3)「7 Anéis」のライヴ演奏。この編曲はダウンビート賞を獲得している。

ラージ・アンサンブルのメンバーも豪華で、度々来日公演も成功させているピアニストのハファエル・マルチニ(Rafael Martini)や、クラリネット奏者のジョアナ・ケイロス(Joana Queiroz)、フルート奏者のマイアラ・モラエス(Maiara Moraes)など日本でもよく知られた音楽家だ。

収録曲もジスモンチの代表曲と呼べるものばかり。『Circense』(1980)、『Em Familia』(1981)、『Infancia』(1991)といった名盤からバランスよく人気曲がセレクトされており、ファンであればもちろん、原曲を知らなくても充分楽しむことができる内容だ。

終始エキサイティングなアレンジ・演奏も格別。
今作はいずれブラジリアン・クラシックスの金字塔と呼ばれるような作品となることだろう。

(6)「Lôro」のライヴ演奏。自在に伸縮するリズムが楽しい。

新進気鋭の作・編曲家、Gaia Wilmer

ガイア・ヴィルメル(Gaia Wilmer, 英語読みで「ガイア・ウィルマー」との表記も見られる)はブラジルのサンタカタリーナ州都フロリアノーポリス出身のサックス奏者/作曲家/編曲家。2010年にサックスと作曲を学ぶためにリオデジャネイロに移り、エグベルト・ジスモンチと縁の深い大規模な木管アンサンブル、Corações Futuristas(1976年発売のジスモンチのアルバムタイトルが冠されている)のアルトサックス奏者の代役を頼まれた。幼い頃からジスモンチの音楽を聴いて育ったガイアはこのチャンスを見事に掴み、ジスモンチの信頼を得、彼によってバークリー音楽大学への推薦状が書かれ渡米。バークリー音楽院とニューイングランド音楽院(NEC)で学びを深めた。

NECで学ぶ傍ら、エグベルト・ジスモンチの楽曲群のラージアンサンブル用の編曲を開始。ブラジル文化センターから助成金を受け取り、当初4回のコンサートを行う予定だったが、最終的には16回のコンサートを成功させた。2017年には「7 Anéis」のビッグバンド・アレンジでダウンビート賞を受賞している。

2018年にヴィトール・ゴンサウヴェス(Vitor Gonçalves)らをバンドに迎えた『Migrations』でアルバムデビュー。
現在はブラジルと米国ボストンの二拠点で活動を行なっている。

(7)「Karatê」のライヴ演奏動画。ライヴに出演しているギタリストのヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)はアルバムの収録には残念ながら参加していない。

Gaia Wilmer – arranger, conductor

Special Guests :
Gabriel Gross – harmonica
Jaques Morelenbaum – cello
Egberto Gismonti – piano

Orchestra :
Maiara Moraes – flute, alto flute, piccoro
Aline Gonçalves – flute, bass flute, piccolo
Fernando Trocado – alto saxophone, tenor saxophone
Rui Alvim – alto saxophone, clarinet, bass clarinet
Gustavo D’Amico – tenor saxophone, soprano saxophone
Joana Queiroz – tenor saxophone, clarinet, bass clarinet
Henrique Band – baritone saxophone
Bruno Soares – trumpet
Diego Garbin – trumpet
Gilson Santos – trumpet
Pedro Paulo Junior – trumpet
Rafael Rocha – trombone
Everson Moraes – trombone
Jonas Hocherman – trombone
Leandro Dantas – bass trombone
Luciano Camara – electric guitar
Rafael Martini – piano, accordion
Mayo Pamplona – bass
Lourenço Vasconcellos – drums

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