いつの世も変わらない民衆の憂いを込めたロシア発バルカンブラス
2005年にロシア・モスクワで結成されたマルチ奏者/作曲家アレクサンダル・カシュタノフ(Aleksandar Kashtanov)率いるブラスバンド、ブバマラ・ブラスバンド(Bubamara Brass Band)の新作『Bubambarbija』がリリースされた。今作も大地に響くヘリコン(スーザフォンの原型となった楽器)やチューバの低音から、アルコールの匂いのするトランペットやサックスまで、本能を直撃する迫力ある最高のバルカン・ブラスが楽しめる。
楽曲のほとんどはサックス、ギター、フリューゲルホルンなども担当するリーダーのアレクサンドル・カシュタノフの作曲となっている。カヴァーは3曲収録されており、イタリア・パルチザンの名曲(2)「Bella Ciao」とウクライナの伝統曲である(5)「A Ja Znaju Sco Grix Maju」、そしてアルメニアの伝統曲(8)「Xorovac」と、いずれも人々によって大切に歌い継がれてきた楽曲たちを取り上げている。
(6)「Zan Zendegi Azadi!」は、2000年代のイランで始まり、今日でも続く女性の人権運動のスローガンがタイトルになっている。タイトルの単語はそれぞれクルド語でWoman、Life、Freedomを表し、イランだけでなくアフガニスタン、トルコ、フランスなど国際的なスローガンとして広がりを見せている抗議活動に呼応したものだ。
力強く、生命の限りを尽くして祈りを込めるように吹かれるブラスバンドのサウンドが終わらない宴の夜に響き渡る。この感覚が楽しいから、バルカン・ブラスはやめられない。
Nastёna Bad’ina – vocal (1, 2, 4, 7, 9, 10)
Daria Galitsa – vocal (5)
Aleksandar Kashtanov – alto saxophone, soprano saxophone (3, 5, 10), solo (1, 3, 6, 8, 11), acoustic guitar (ex.7), bass guitar, flugelhorn (3, 6, 8, 9, 12)
Norayr Barsegyan – clarinet (8)
Maksim Malyshev – trumpet (4, 6, 8, 11), solo (4)
Aleksandra Tsugutskaya – trumpet (1, 2, 5, 7, 9, 10)
Konstantin Mamchur – trombone (7)
Pavel Aksenov – trombone (ex.7), solo (12)
Dmitry Karev – accordion, solo (2)
Dmitry Ignatov – bouzouki (7)
Andrey Timofeev – helicon (1, 2, 5, 7, 9, 12), solo (12)
Stas Cheremushkin – tuba (3, 4, 6, 8, 10, 11)
Iliya Lipatov – snare drum, drums, solo (7, 9, 10)