クセになるオリエンタル・サイケロック、Gaisha
モロッコ系ベルギー人歌手のアイシャ・ハスカル(Aicha Haskal)を中心に、ベルギーのロックバンドのアブシンス・マインデッド(Absynthe Minded)の元メンバーらで構成されたオリエンタル・サイケロックバンド、ガイシャ(Gaisha)のデビューアルバム『Ana Aïcha』。ユダヤのクレズマー、モロッコやエチオピアの音楽、アラブ音楽といった雑多なアイディアがたまらない、クセになるサウンドだ。
レトロな歪み系ギターが特徴的な6人編成のバンドに、アイシャ・ハスカルのアラビック・チャントやパルランド(=ラップのように話すように歌うこと)をシームレスに駆使する個性的なヴォーカル・スタイルが際立つ。楽曲の構成やコード進行自体は非常にシンプルなものだが、特徴的な旋律や、パーカッションも重視したバンドサウンドがそれを補って余りあり、強烈な印象を残す。
アイシャ・ハスカルはベルギーのバルカン・ブラスバンド、ヴァ・ファン・ファール(Va Fan Fahre)に2007年から2013年まで在籍しており、バルカン音楽やアラブ音楽の自然な融合を成功させてきた。
Gaishaの最初のシングルである(8)「Ghalat」は2020年に亡くなったエジプトの詩人アブデルハミド・ファラグ(Abdelhamid Farag)の詩を引用しており、彼の詩には深い哀愁とロマンスが染み込んでいるという。
Lieven Van Pée – bass
Nicholas Leonard – drums
Eduardo Vega – guitar
Michael De Schryver – organ, synth
Falk Schrauwen – percussion
Renaud Ghilbert – violin
Aicha Haskal – vocal