マケドニアの伝統音楽の新解釈。サノス・スタヴリディス新作『fygame』

Thanos Stavridis - fygame

ギリシャのアコーディオン奏者率いるバンド、Drom 新譜

ギリシャのアコーディオン奏者/作曲家サノス・スタヴリディス(Thanos Stavridis)と彼のバンド、Drom の新作『fygame』は、ギリシャ北部のマケドニア地域を中心に、バルカン半島の伝統的な民俗音楽を基調とし、ドラムスやエレクトリック・ベース、エレクトリック・ギターなど現代的な楽器の要素も加えたダンス向けのアレンジで仕上げられた作品。

アルバムには12曲が収録されており、主にマケドニアの伝統舞曲をモチーフにしている。各曲は特定のダンスのスタイルを指しており、クラリネットやアコーディオンが主導するメロディーが特徴的だ。ギリシャのマケドニア(北部地域)と北マケドニアの共有する文化遺産である300年以上の歴史を持つ音楽文化を反映しているが、この地域では多くの原語が失われ、音楽だけが受け継がれてきたという。サノス・スタヴリディスは自身の民族音楽研究家としての成果に根差し、東ルメリア難民の音楽隊でのアコーディオン技法も反映しているという。

(1)「Gaida」

楽曲は独特のリズムや旋律を持っており、おそらく多くのリスナーにとって“耳の慣れ”は必要だろう。
だがクラリネットやアコーディオンによる力強いメロディーや伸縮自在のリズムは、どこかクセになる。

プロフィール

アコーディオン奏者のサノス・スタヴリディスはギリシャのテッサロニキ県ランガダス出身。6歳でアコーディオンを学び始め、音楽理論、和声、対位法、フーガ、民族音楽学の学位を取得している。バルカン半島の民俗音楽に強い関心を寄せており、アコーディオンがソロまたは伴奏楽器としてどのように使用されるかを研究してきた。
これまでにソリストとしてもオーケストレーターとしても100枚以上のアルバムのレコーディングに参加。ソロ名義では『A Suitcase Full of Dreams』(2016年)と『Spicy Margarita』(2021年)の2枚のアルバムをリリース。また2023年にはギリシャのチェロ奏者ステラ・テンプレリとの双頭名義の作品『Ciel』をリリースしている。

Vassilis Athanasiou – clarinet, saxophone
Thanos Stavridis – accordion, production supervision
Marios Makris – electric guitar (1, 6, 9)
Giannis Karakalpakidis – electric bass
Christos Tassios – drums, daouli

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