多文化混交で沸き立つベルギーの現代JAZZ!若手トロンボーン奏者ネイサン・シュルカン『Ambre』

Nathan Surquin - Ambre

ベルギー気鋭トロンボーン奏者ネイサン・シュルカンの初リーダー作

ベルギー出身のトロンボーン奏者/作曲家ネイサン・シュルカン(Nathan Surquin)の初リーダー作『Ambre』がリリースされた。オランダのサックス奏者ルーク・ファン・デン・ベルフ(Loek Van Den Berg)のアルバム『Seafarer』(2025年)で、サイドマンながら一際光る演奏を見せていた若きアーティストが自身の感性を思い切り出し切った、傑出した作品だ。

アルバムは国際色豊かなカルテット編成。ベースにはイタリア出身のフェデリコ・ストッキ(Federico Stocchi)、ドラムスにはオランダ出身ダニエル・ヨンカース(Daniel Jonkers)。そして特筆すべきはピアノのチュニジア出身ワジディ・リアヒ(Wajdi Riahi)だ。ネイサン・シュルカン自身、もっとも影響を受けた音楽家として米国ピアニストのブラッド・メルドー(Brad Mehldau)やイスラエルのベース奏者アヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)を挙げ、さらにラテンや中東の伝統音楽からも強い影響を受けてきたというが、今作でもワジディ・リアヒが時折繰り出すエキゾチックなフレーズが素晴らしいアクセントとなり、ネイサン・シュルカンを刺激している。

楽曲はすべてネイサン・シュルカンのオリジナル。“対話”をテーマとするアルバムの核を担う(1)「Dialogue Pt. I」と(7)「Dialogue Pt. II」、異文化同士のコミュニケーションを描いた(4)「A Word Between Two Lands」、東欧〜中東のリズムを軸にした17拍子の(8)「Deluge」など、類稀なセンスが発揮された楽曲と演奏が並ぶ。

(4)「A Word Between Two Lands」(アルバム収録版とは別の演奏)

圧巻はドラマチックな展開の(2)「Dream Runner」だ。メンバーそれぞれの背景にある文化の独自性が絡み合いつつ、徐々にヒートアップしていく演奏に、現代ジャズの面白さが凝縮されている。

(2)「Dream Runner」

Nathan Surquin 略歴

ネイサン・シュルカンはベルギーのジャズ・トロンボーン奏者。ブリュッセル出身で、18歳からブリュッセル王立音楽院でフィル・アブラハム(Phil Abraham)に師事し、学士号を取得した。その後、オランダのロッテルダムにあるロッテルダム音楽院で勉強を続けた。

フリーランスとしてビッグバンド、ソロ、スタジオワークを中心に活動している。ブリュッセル・ジャズ・オーケストラ(Brussels Jazz Orchestra)やアカ・ムーン(Aka Moon)などのグループで演奏経験を積み、多様な文化の融合をサウンドに取り入れている。2026年にデビューアルバム『Ambre』をオランダのレーベル、ゼネス・レコーズ(ZenneZ Records)からリリースした。この作品のタイトルは彼の娘の名前に由来し、出会いや旅をテーマにしたコンテンポラリー・ジャズとなっている。

Nathan Surquin – trombone
Wajdi Riahi – piano
Federico Stocchi – double bass
Daniel Jonkers – drums

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