モロッコとアンダルシア そのルーツの深淵を探る、魅惑のアラビック・フラメンコ

Alaa Zouiten - AFICIONADO (Flamenco Moro)

フラメンコに魅せられたモロッコ出身ウード奏者アラア・ズイテン

モロッコ・カサブランカ出身のウード奏者/作曲家アラア・ズイテン(Alaa Zouiten)は、アラブ古典音楽を学び演奏していたが、パコ・デ・ルシア(Paco de Lucía, 1947 – 2014)の音楽をきっかけにフラメンコに傾倒したという経歴の音楽家だ。2015年以降、彼はスペインのアンダルシア地方(特にグラナダ)を拠点にフラメンコを学び、ウードでフラメンコを演奏し、さらに自身のルーツであるモロッコの音楽とフラメンコを融合するという独自の表現を磨いてきた。

2025年にリリースされた『AFICIONADO (Flamenco Moro)』は、2017年作『Talking Oud』につづく彼の3枚目の作品で、フラメンコとモロッコ音楽の両方を深く学び体現してきた、彼の真髄に迫る類稀な重要作だ。

(1)「Shmisha (fandangos)」。意外と凝ったMVにも注目!

もともとモロッコとスペインは、古来より多くの文化を共有してきた。両国はわずか約14kmの幅のジブラルタル海峡を挟んで接しており、とりわけムーア人の往来や定住によってイベリア半島と北アフリカの間には長期にわたる人的・文化的交流が生まれてきた。こうした交流は建築や食文化、工芸など様々な分野で深く浸透している。言語においても、スペイン語にはアラビア語由来の単語が数千語存在するとされる。

モロッコには「アラブ=アンダルス音楽(al-ala)」と呼ばれる古典音楽が存在するように、音楽においても両者の間には一定の共通点がある。アラア・ズイテンが自身の音楽で試みるのは、一般にギターに象徴されるアンダルシアのフラメンコを、アラブ文化を代表する弦楽器であるウードで演奏し再解釈すると同時に、それぞれのルーツの深淵の共通項を探ることなのだ。

(5)「Bulerias del Gitano Moro (bulerias)」

今作でのアラア・ズイテンのウードの演奏は驚くべきものだ。
フラメンコギターの特徴的なラスゲアード奏法をウードで再現したり、フラメンコ特有のスケールをウードで弾く。ただ単にウードをギターの代用として使っているのではなく、フレットレス楽器であるウード特有の奏法も交え、アラブ音楽とフラメンコ、両者の伝統の接点を探っていることは明らかだ。

アルバムには9曲が収録されており、それらすべてをアラア・ズイテンが作曲している。
曲名にはフラメンコの伝統に倣い、曲名の最後に音楽形式が表記されている。ファンダンゴ、タンゴ、ルンバ、ブレリアといったフラメンコの形式のものから、タクシムやサマーイといったアラブ音楽由来の形式も見て取れる。

(7)「Generalife – جنة العريف (samai por solea)」

Alaa Zouiten – oud
Naoufal Montassere – guitar
Yazan Ibrahim – guitar
Basma Jabr – voice
Maria del Tango – voice
Ray Aseri – voice
Alaa Zouiten – voice
El Piraña (Israel Suárez) – cajon, palmas
El Pumuki (Antonio Piñera) – cajon, palmas
Rhani Krija – Moroccan/Arabic percussions
Didier Del Aguila – electric bass
Sara Sánchez – baile
Roland Satterwhite – violin
Ayman Hlal – violin
Shasta Ellenbogen – viola
Emilia Viktoria Lomakova – cello

Alaa Zouiten - AFICIONADO (Flamenco Moro)
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