フルート奏者イタイ・クリス、NYの名手たちと繰り広げる軽やかなジャズ

Itai Kriss - Daybreak

Itai Kriss 『Daybreak』

イスラエル出身で現在はニューヨークを拠点とするジャズ・フルート奏者/作曲家イタイ・クリス(Itai Kriss)『Daybreak』は、彼らしい軽やかさでジャズのリード楽器としてのフルートの素晴らしさを印象付ける、良質な作品だ。アルバムは夜明けから日没までの一日の流れを12の楽曲で表現。ゴスペルやサンバなどにも影響を受けつつ、多彩な技法で“充実した一日”を送る。

イタイ・クリスは今作の録音のために、そのプレイが好きだがこれまでほとんど一緒に演奏する機会のなかったミュージシャンをコアバンドのメンバーとして集めた。ピアノのアダム・バーンバウム(Adam Birnbaum)、ベースのルーク・セリック(Luke Sellick)、ドラマーのアンソニー・ピンチョッティ(Anthony Pinciotti)という面子で、今作ではどんな曲調であっても難なく表現する円熟のアンサンブルを聴くことができる。

さらに、数曲では特筆すべきゲストも迎えられる。
トランペット奏者ベニー・べナック3世(Benny Benack III)と、ギタリストのヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)だ。前者は音楽一家に育ったニューヨークの若手筆頭格のトランペッターで、その力強くアーティスティックなトランペットは今作でも素晴らしい存在感だ(彼は歌も得意だが、今作では残念ながらその才能は発揮できていないようだ)。
後者は特にブラジル音楽に造詣が深いことで知られるギタリストで、今作では3曲でナイロン弦ギターを演奏。イタイ・クリス自身もブラジル音楽に熱心なため、彼が“ヨタムのために”ブラジル風の曲を書いたそうだ。

ボサノヴァのリズムを取り入れた(3)「Beleza」。ヨタム・シルバースタインがゲスト参加している

なお、今作は録音後の2024年末に49歳の若さで突如この世を去ったドラマーのアンソニー・ピンチョッティに献呈されている。

Itai Kriss プロフィール

イタイ・クリスは、イスラエル北部のツファトに生まれ、テルアビブで育ったフルート奏者/作曲家。父親の影響でアメリカン・ブルースに親しみ、モロッコからバルカン、イエメン、トルコ、エジプト、ロシアに至る多様な音楽文化に囲まれて幼少期を過ごした。6歳でリコーダーを、10歳でフルートを始め、テルアビブ近郊の名門テルマ・イェリン芸術高校で学んだ。

2002年、22歳の時に平和共存をテーマとしたツアーでニューヨークを訪れ、同地に移住して本格的にジャズ・ミュージシャンとしての活動を開始。ジャズを基調にアフロ・キューバン、ラテン、ブラジル、ゴスペル、中東音楽などを融合させた独自のスタイルで知られる。リーダー作に『The Shark』(2010年)、『Telavana』(2018年)、『Supermoon』(2021年)などがある。

Itai Kriss – flute
Adam Birnbaum – piano
Luke Sellick – bass
Anthony Pinciotti – drums

Guests :
Benny Benack III – trumpet (2, 10)
Yotam Silberstein – guitar (3, 5, 11)

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