ヨーロッパとアフリカを繋ぐ「Lamomali」の集大成
ラモマリ(Lamomali)は、フランスを代表するシンガーソングライター、「-M-」ことマチュー・シェディッド(Matthieu Chedid)が、マリの巨匠コラ奏者であるトゥマニ・ジャバテ(Toumani Diabaté)とその息子バラ・ジャバテ(Balla Diabaté)、そして歌手のファトゥマタ・ジャワラ(Fatoumata Diawara)と共に結成したユニットで、彼の西アフリカ、とりわけマリ共和国の音楽文化への愛情の結晶だ。
2025年末にリリースされた2枚組アルバム『Lamomali Je t’aime』はその集大成で、西アフリカの伝統的な音楽と西洋音楽が高度に融合した音楽性、そして何よりも文化を超えた人々の繋がりを感じさせる素晴らしい作品だ。
マチュー・シェディッド(-M-)とマリの音楽とのつながりは、アフリカへの憧憬を歌った1999年の楽曲「Mama Sam」まで遡る。1990年代後半からパリでマリ人ミュージシャンたちとセッションを重ねるようになった彼は、2006年にマリ出身の盲目の夫婦デュオ、アマドゥ&マリアム(Amadou & Mariam)の招待で「Les Paris Bamako」フェスティヴァルで初めてマリを訪れ、コラの巨匠トゥマニ・ジャバテとその息子シディキ・ジャバテ(Sidiki Diabaté)に出会った。これをきっかけとし更にマリ音楽との親交を深め、2015年頃から本格的なコレクティヴ構想が動き出し、2017年にリリースしたLamomali(フランス語の「L’Âme au Mali(マリにある魂)」に由来するグループ名)のデビュー・アルバム『Lamomali』は世界的大ヒットを記録した。
2024年は転機の年だった。7月にマチュー・シェディッドとマリを結びつけていた一人であるコラの巨匠トゥマニ・ジャバテが逝去。この出来事が彼を奮い立たせ、人々が音楽によって言語や文化の壁を超えて繋がることのできるLamomali プロジェクトを再始動させる。2025年4月に2ndアルバム『Lamomali Totem』をリリースするも、この月にAmadou & Mariam の男性ギタリスト/ヴォーカリストのアマドゥ・バガヨコが逝去。アルバムを携えて4月から12月にかけてライヴツアーが行われたが、このツアーはトゥマニやアマドゥが残した音楽遺産を継承する追悼ツアーとなった。
本作『Lamomali Je t’aime』は、トゥマニ・ジャバテが弾くコラや、のアマドゥ・バガヨコのギターリフの最後の録音が収められた2ndアルバム『Lamomali Totem』に、様々な音楽家が新たに参加した6曲の未発表音源を追加して創られた“完全版”である。2枚目にはコンゴ系のラッパーユッスーファ(Youssoupha)、マリ系のラッパーオキシモ・プッチーノ(Oxmo Puccino)、フランスの俳優ピエール・リシャール(Pierre Richard)、カメルーンをルーツに持つシンガー/コラ奏者ルビアナ(Lubiana)らが参加し、この音楽を通じた文化の息吹に新たな活力を与えている。
フランスの大衆文化と、マリを中心とした西アフリカ文化が織りなす豊かな“愛と調和”のアルバムだ。