イタリアの新鋭SSWキアレ、ほろ苦さと微かな甘さの余韻に浸る新作EP『Sei』

Chiaré - Sei

Chiaré、シンプルながら絶品の美しさ『Sei』

イタリアのシンガーソングライター/マルチ奏者キアレ(Chiaré)が2026年1月にリリースしたEP『Sei』は、絶賛されたデビューアルバム『Chiaré』(2024年)からわずか2年足らずで発表された6曲入りの新作だ。イタリアのフォークにジャズやエレクトロニックの要素を織り交ぜ、洗練されたサウンドを展開。全曲がイタリア語とそのナポリ方言で歌われ、彼女の温かく繊細なヴォーカルが際立つ。

今作のテーマは「愛と脆さ、回復力と再生」。
故郷サレルノと現在暮らすローマを往復する中で、アイデンティティや現代の女性が置かれた状況を情感豊かに描き出す。メロディーやコード進行もシンプルに美しく、冒頭の傑作(1)「Ago e Filo」から微かに甘さとほろ苦さの入り混じったような詩的な世界が広がる。

(1)「Ago e Filo」

(2)「Core Fujente」はイタリアのSSWピーノ・ダニエレ(Pino Daniele, 1955 – 2015)の名曲のカヴァーで、原曲のメランコリーをさらに強調している。

全編にわたり、キアレの柔らかく美しい歌の表現力が素晴らしい。ラスト(6)「Ninna Nanna Nenné」は子守唄(イタリア語で「ニンナ・ナンナ」は「ねんねんころり」のような子守唄で、日本語の「ねんね」と響きが似ていて面白い)で、ゆりかごのような優しい余韻を残す。

Chiaré プロフィール

キアレ(本名:Chiara Ianniciello)は、1999年にイタリア・カンパニア州ノチェリーノ=サルネーゼ地方の小さな村で生まれ育ったシンガーソングライター/マルチインストゥルメンタリスト。ジャズ声楽のディプロマを取得した後、ローマでクラシカル・ダブルベースの学位取得に取り組んでいる。ルチオ・バッティスティ、エドアルド・デ・クレスチェンツォ、ピノ・ダニエーレらに影響を受け、ナポリ民謡・ポップの伝統とジャズを融合させた独自のスタイルを展開し、80年代のノスタルジアと現代的な感性を織り交ぜる音楽性で知られる。

彼女の音楽性はイタリア語とナポリ方言を自在に用い、温かく繊細なヴォーカルで愛や脆さ、回復力、再生といったテーマを描く。2023年10月に第19回ビアンカ・ダポンテ賞(新進イタリア人女性シンガーソングライター賞)で「Zanzare」を披露し、優勝および最優秀作曲賞を受賞。これを契機に注目を集め、2024年4月にFour Flies Recordsからセルフタイトル・デビューアルバム『Chiaré』をリリース。ジャズ、ソウル、R&Bの8曲を収録した同作は、伝統と革新を融合させた高い評価を得た。さらに同年10月にはインディペンデント・コンテスト「Musica da Bere」第15回大会で優勝。2026年1月にはEP『Sei』を同レーベルから発表し、フォークとジャズにエレクトロニック要素を加えた洗練されたサウンドを披露した。また、ピノ・ダニエーレのドキュメンタリー映画『Nero a Metà』でタイトル曲をトリオ編成でカバーするなど、多彩な活動を続けている。

デビューアルバム『Chiaré』収録の「Foria」

Chiaré - Sei
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