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田方 春樹(Haruki Tambo)

  • 2021-11-27
  • 2021-11-26

MPB正統派女性SSWの系譜を継ぐレオポルヂーナ、母性的な優しさに溢れた新譜『Semente Crioula』

ブラジル・ミナスのシンガーソングライター、レオポルヂーナ(Leopoldina)の新作『Semente Crioula』は、彼女がMPBの正統派女性SSWの系譜にあり、リスナーの文化的背景の違いにかかわらず人間の普遍的な感覚に共鳴する音楽をつくることができる稀有な才能の持ち主であることを見事に証明する傑作だ。

  • 2021-11-26
  • 2023-03-12

中華と北欧の文化をつなぐチェコ出身SSW、バルボラ・シュウの素晴らしいデビュー作

チェコ共和国に生まれ、台湾とフィンランドで生活するバルボラ・シュウ(Barbora Xu, 中国名:許寶靈)は中国の古筝(グーチェン, gu zheng)とフィンランドのカンテレというともにツィター属の撥弦楽器を操る珍しいシンガーソングライターだ。デビューアルバムとなった『Olin Ennen』では、中国とフィンランドという約6,000kmも離れた地同士の文化の驚くべき共通項を、それぞれの地域で古くから用いられている同属の楽器を通して静かに描き出す。

  • 2021-11-25
  • 2021-11-24

ブルーノート・レコードの遺産を敬意を込めて大胆にリミックスしたマカヤ・マクレイヴン新譜

ジャズクラブ「バードランド」の名物司会者ピー・ウィー・マーケットの有名なMCで始まる(1)「A Slice Of The Top」を聴けば、この作品がジャズの歴史とともに歩んできたブルーノート・レコーズが積み重ねてきた大いなる遺産と、アメリカの音楽文化へのリスペクトであることがすぐに感じられて胸が熱くなる。

  • 2021-11-24
  • 2021-11-24

フレンチボッサ人気デュオTom&Joyceのトム、最新ソロ作は意外すぎるジミヘン曲集

フレンチボッサの人気デュオTom&Joyceの片割れ、トーマス・ネイム(Thomas Naïm)のソロ新作は、なんとエレキギターの神様ジミ・ヘンドリックス曲集。ガットギターではなくエレクトリックギターでジミヘンをカヴァーする彼の音楽は、前述のデュオのおしゃれなサウンドをイメージして聴くと随分意外に感じられる。

  • 2021-11-23
  • 2022-02-11

ヴォーカルアンサンブルとピアノトリオによる耽美な北欧ジャズ作品『Dimma』

デンマークの新進ヴォーカル・アンサンブル、アンサンブル・エッジ(Ensemble Edge)の『Dimma』は、ピアノトリオと透明感のあるヴォーカルを中心に、北欧やロシアの民謡とジャズを結び合わせる美しい音楽が展開される。スウェーデンの伝説的ジャズピアニスト、ヤン・ヨハンソン(Jan Johansson, 1931 - 1968)へのトリビュート作品。

  • 2021-11-21
  • 2021-11-19

若きトランペッター/歌手アンドレア・モティス、新譜はWDRビッグバンドとの迫力ある共演

スペインの少年少女ジャズ楽団、サン・アンドレウ・ジャズバンド出身の人気トランペット奏者/シンガーのアンドレア・モティス(Andrea Motis)が、欧州を代表するビッグバンド、WDR Big Bandと共演した新作『Colors & Shadows』。聴いていて明るく楽しく幸せな気分になれる音楽。

  • 2021-11-20
  • 2024-09-23

イブラヒム・マアルーフが思い出の教会で静かに奏でる、かつて子供だった大人のためのクリスマス曲集

イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)初のクリスマス曲集『First Noel』。今作にはクリスマスのスタンダード曲など計28曲が収録されており、柔らかな音色のトランペットや8人のクワイアなどで厳かに演奏される。多くの人にとって子供時代の特別な記憶であるクリスマスの日の気持ちがあたたかく蘇る素晴らしいアルバムだ。

  • 2021-11-19
  • 2021-11-19

鬼才ギタリスト/ロテム・シヴァン、NYジャズの精鋭たちと作り上げた創造的な新譜

イスラエル出身のギタリスト、ロテム・シヴァン(Rotem Sivan)の新作『Far From Shore』は、ゲストにアーサー・ムーン(Arthur Moon)、ブラクストン・クック(Braxton Cook)、タナ・アレクサ(Thana Alexa)、BIGYUKIなどニューヨークで活躍する若手アーティストたちを迎え、R&Bやネオソウル色を強めた作品になっている。

  • 2021-11-18
  • 2021-11-18

東洋的な叙情性が美しい、ブラジルのSSWムリロ・シルヴェストリンの2nd

ブラジル・パラナ州都クリチバのSSW、ムリロ・シルヴェストリン(Murilo Silvestrim)の2021年新譜『Encontrar』。自身のアコースティックギターとヴォーカルのみのソロEP『A Última Luz Acesa Madrugada Adentro』を経て発表された本作は、多様なゲストを迎え、アーティストのオーガニックで温かな心が感じられる詩情溢れる作品となっている。

  • 2021-11-17
  • 2021-11-17

ンビラの存在際立つ、アフリカ×北欧の強烈なミクスチャーバンド「Monoswezi」

国籍を超えたミクスチャー音楽集団、モノスウェージ(Monoswezi)が新譜『Shanu』をリリースした。ジンバブエ出身のホープ・マシケ(Hope Masike)の声とンビラを中心に、北欧メンバーのアイディアを加えたチャレンジングなバンド。今作『Shanu』では電子音も適度に導入し新たな進化を見せる。

  • 2021-11-16
  • 2021-11-16

チェロで繋ぐ世界の音楽。ヨーヨー・マ、各国から多彩なゲストを迎えた新譜

もう半世紀近く名実ともに世界最高のチェリストと称えられながら、今でもジャンルを超えた野心的なプロジェクトで新しい音楽を聴かせてくれるのがヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)という音楽家だ。2021年9月にリリースされた新譜『Notes for the Future』では世界中から多様なゲストを迎え、あらゆる言語の歌で平和を願い、世界を繋ぐ。

  • 2021-11-15
  • 2022-01-15

大西洋/地中海の幅広い伝統音楽をポップスに昇華させる男女デュオ、Sages comme des sauvages

2010年にベルギーで結成されフランスで活動する男女デュオ、Sages comme des sauvagesが2020年作『Luxe Misère』にボーナストラック2曲を加え、『Luxe Misère (Deluxe)』としてリリースした。フレンチポップとワールドミュージックの幸せな融合と呼べそうなオーガニックな手触りのサウンドが心地良い。

  • 2021-11-14
  • 2023-09-08

豊かな感性で音楽を紡ぐアルゼンチンのSSW、マウロ・ヘンティレ

アルゼンチンのSSWマウロ・ヘンティレ(Mauro Gentile)のEP『Afuera』は、静かでゆったりとした感覚、そして美しいメロディーやアコースティック楽器のサウンド、優しく飾らないヴォーカル、それでいて聴き流すことのできない音楽としての高い完成度など、現代アルゼンチン音楽の粋を結晶させたような素晴らしく魅力に満ちた作品だ。