- 2023-08-01
- 2023-08-01
カンドンブレの神々に捧げる祈りの歌。バイーアの歌手イルマ・フェレイラ、伝統と現代を繋ぐデビュー作
ブラジルの土着宗教カンドンブレの精神性や音楽に魅了されたシンガー、イルマ・フェヘイラ(Irma Ferreira)のデビュー作『Em Cantos de Oriṣà』は、アフリカ系ブラジル人のルーツに対する彼女の飽くなき探究心の結晶のような作品だ。
ブラジルの土着宗教カンドンブレの精神性や音楽に魅了されたシンガー、イルマ・フェヘイラ(Irma Ferreira)のデビュー作『Em Cantos de Oriṣà』は、アフリカ系ブラジル人のルーツに対する彼女の飽くなき探究心の結晶のような作品だ。
モンゴル出身の歌手エンジ(Enji)が待望のサードアルバム『Ulaan』をリリースした。前作から引き続きポール・ブランドルがギターを、モンゴル出身のムングントフチ・ソルモンバヤルがダブルベースを担当。さらに今作ではブラジルのクラリネット奏者ジョアナ・ケイロスとドラムス奏者マリア・ポルトガルが全面参加し、アジア的な雰囲気のソングライティングとブラジルの洗練された現代ジャズのエッセンスが魔法のように融合。前作を上回る素晴らしい作品に仕上がっている。
ポール・サイモン(Paul Frederic Simon)は1941年10月13日、アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアークのユダヤ人の中流家庭に生まれた。いつも聖書を読み、神が私たち全員に目を留めておられると信じて育った少年は、その後の長い人生を通じて、彼が“家族”と呼ぶ同じくユダヤ系のアート・ガーファンクル(Arthur Ira Garfunkel, 1941 - )とのデュオ時代を含め、史上最多の13度のグラミー賞を受賞し、ミュージシャンとしては唯一「世界で最も影響力のある100人」に選出されるほどの成功を収めた。
世界がパンデミックの危機に陥る直前の2020年1月、スペイン出身の歌手/作曲家アルバ・サントス(Alba Santos)、キューバのベーシストのアニエル・ソメイラン(Aniel Someillan)、ブラジルのドラマー、イサイアス・アウヴェス(Isaías Alves)、そしてインド出身ピアニストのアヌラグ・ナイドゥ(Anurag Naidú)の4人の傑出した音楽家たちが スリランカに集い、7日間の創造的な合宿で一枚のアルバムを録音した。
ラテン・グラミー賞ノミネート経験もあるサンパウロ出身の人気SSW/アコーディオン奏者マルセロ・ジェネッシ(Marcelo Jeneci)の2023年新譜『Caravana Sairé』は、彼が幼少期に一時期過ごしたブラジル北東部ペルナンブーコ州サイレ(Sairé)の伝統音楽に特化した、サウダーヂ感がありつつも彼らしく現代的にアップデートした素晴らしい作品となった。
サンパウロ出身のクララ・コエーリョ(Clara Coelho)と、レシーフェ出身のフライラ・フェホ(Flaira Ferro)。自然を愛する二人の女性アーティストが出会い生み出した珠玉のデュオ・アルバム『Áua』。副題に「生まれ変わるための招待状」 と名付けられた本作は、感情面では非常に繊細ながら芯の強さを備え、音楽面ではジャズ、クラシックの室内楽、ブラジル北東部の土着音楽、フラメンコなどが自然に絡み合うという間違いなくハイクオリティな作品に仕上がっている。
ナイジェリアとセネガルにルーツを持つロンドン育ちのジャンベ奏者イヒエル・カマラ・オノノ(Yahael Camara Onono)率いる大世帯“マンデ・ジャズ”バンド、バリマヤ・プロジェクト(Balimaya Project)が待望の2ndアルバム『When The Dust Settles』をリリースした。オノノが今作について“黒人の悲しみ、喜び、怒り、そして希望の物語を伝えるアルバム”と語っているとおり、西アフリカの伝統的なマンデ音楽に由来する複雑に躍動するリズムと、ロンドンの先鋭的なジャズのサウンドをミックスし力強いメッセージを発している。
今回紹介するのはスウェーデンの“ジャズ・アンサンブル”、オーガニック・パルス・アンサンブル(Organic Pulse Ensemble)の『Formative Stages』というアルバム。粘るアップライト・ベースに空間を作るパーカッションとドラムスの上で、サックスやフルート、ピアノなどが自在に舞う、トランシーで音に酔えるタイプの心地よいジャズ。素晴らしい作品だが、調べていくうちに驚くべき事実にぶち当たってしまった。
ジミ・プラサド(Jimi Prasad)は、イスラエルの気鋭レーベル Raw Tapes の中心人物であるトランペッターのアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)とビートメイカーのリジョイサー(Rejoicer)と2019年から創作活動を始めた。この革新的なトリオはジミ・プラサド・オーケストラ(Jimi Prasad Orchestra)と名付けられ、2022年の10月に最初のシングル(6)「Down & Up (Unending Love)」をリリース。トランペットやチェロなど古典的な楽器と、あるようでないビートやヴァース・コーラスを組み合わせた独自の音楽表現を提示して見せた。
これまでに世界中の様々な分野のアーティストたちと共演し、コラという楽器の魅力を伝え続けてきたセネガル出身のコラ奏者/作曲家/歌手セク・ケイタ(Seckou Keita)の2023年の最新作 『African Rhapsodies』は、BBC(英国放送協会)の専属オーケストラであるBBCコンサート・オーケストラ(BBC Concert Orchestra)との共演というかつてない荘厳な作品となった。
大西洋のスペイン自治領カナリア諸島出身、現在はバルセロナで活動するギタリスト/作曲家オクタビオ・エルナンデス(Octavio Hernandez)によるギタートリオ作品『Mas』は、現代的かつ先鋭的なギターサウンドが爽快なジャズだ。ベースにはバシーレ・ラオラ(Basile Rahola)、ピエール・ユルティ(Pierre Hurty)というここ数年活動を共にするメンバーを迎え、コンテンポラリー・ジャズの最先端を行く演奏を聴かせてくれる。
ソロ・プロジェクト、Cosmic Analog Ensembleで知られるレバノン・ベイルートのマルチ奏者/作曲家シャリフ・メガルバン(Charif Megarbane)の新作『Marzipan』は自然と心を躍らせてくれる最高のエキゾ・サイケ・ジャズ・ファンクだ。中東、アフリカ、インド、ブラジルなどの音楽的な特徴が曲によって次々と顔を覗かせては、目まぐるしく場面を転換させていく。全18曲の楽曲はいずれも2〜3分程度で恍惚のうちにフェードアウトし、すぐに次なる世界が現れる。
イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)とベルギーのトランペッター、バート・ヨリス(Bert Joris)による『Afterglow』(2021年)以来となる共演作は、フランクフルト・ラディオ・ビッグバンド(Frankfurt Radio Bigband)を迎えたチェット・ベイカーへのトリビュートアルバムとなった。
フランスを代表するジャズ・シンガー、サラ・ランクマン(Sarah Lancman)の6枚目のアルバム『Le pouvoir des mots』は、古いシャンソンやミュージカル映画からインスピレーションを受けたノスタルジックな作品に仕上がっている。