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ブラジル

  • 2024-08-03
  • 2024-08-03

バジ・アサド新作はまさかのレニーニ『魚眼』カヴァー!30年の歳月を経て甦る名曲たち

ブラジルのギタリスト/歌手バジ・アサド(Badi Assad)の新譜『Olho de Peixe』は、まさかのあの名盤の再解釈だった。タイトルを見てピンと来る人も多いだろう。オーリョ・ヂ・ペイシ(魚眼)。レシーフェ出身のSSWレニーニ(Lenine, 1959 - )が、斬新なパンデイロ奏法を含む様々な打楽器を操る魔術師のようなマルコス・スザーノ(Marcos Suzano, 1963 - )とともに録音した1993年の同名のアルバム『Olho de Peixe』は、地球の裏側日本のファンにも激烈な衝撃を与えたように、バジ・アサドや今作で共演するオーケストラのディレクターであるカルリーニョス・アントゥネス(Carlinhos Antunes)にとっても音楽家人生を左右するほどの作品だったようだ。

  • 2024-08-01
  • 2024-08-01

ホジェリオ・タヴァレス、優美なチェンバー・ジャズで歌うシコ・ブアルキ作品集

イタリアを代表するジャズ・レーベルであるEGEAより、ブラジル出身でイタリアを拠点に活動するシンガー、ホジェリオ・タヴァレス(Rogerio Tavares)の新譜『Assentamento』がリリースされた。本作はブラジルを代表する音楽家であるシコ・ブアルキ(Chico Buarque, 1944 - )の楽曲のカヴァー集となっており、ブラジルが誇る珠玉のメロディーと、イタリアが誇る室内楽ジャズの幸せな融合だ。

  • 2024-07-27
  • 2024-07-27

ブラジルとフランスの風が吹く。新世代SSWナンナ・ミラーノ あまりに素晴らしいデビュー作

ブラジル・サンパウロ出身で、サンパウロとフランス・パリの二拠点で活動するシンガーソングライター、ナンナ・ミラーノ(Nanná Millano)の極上のデビューアルバム『Can't Translate Saudade』。ボサノヴァ、ジャズ、MPB、フレンチポップなどがほのかに香る非常に完成度の高いサウンドで、新世代の歌姫の登場を強く印象づける。

  • 2024-07-26
  • 2024-07-24

ブラジルのSSWパウロ・オハナ、耳心地の良いジャジーなインディーロック『Língua na Orelha』

ブラジリア出身で現在はサンパウロを拠点に活動するシンガーソングライター、パウロ・オハナ(Paulo Ohana)の4枚目のアルバム『Língua na Orelha』。2本のギターを中心に、フェルナンド・サガワ(Fernando Sagawa)によるジャジーなサックスがアクセントとなったバンドサウンドに自然体のヴォーカル、爽やかで馴染みやすいメロディーラインが特徴的な親しみやすいアルバムだ。

  • 2024-07-22
  • 2024-07-21

豊潤なギター・アンサンブルで魅せるクアルテート・マオガニ、結成30周年を記念する新譜

1994年に結成され、以来ジャンルを問わず“ブラジルの音”を表現し続けるギター・カルテット、クアルテート・マオガニ(Quarteto Maogani)。30周年の節目となる新作『Maogani Autoral』は、誰もが知る有名曲などはなく分かりやすさや派手さはないものの、真摯に音楽に向き合う彼ららしい美しく完璧なギター・アンサンブルに心を洗われるような素晴らしい作品だ。

  • 2024-07-16
  • 2024-07-16

“パライーバの花”エルバ・ハマーリョ、フォホーの真髄を歌う新作『Isso Quer Dizer Amor』

なんと、これがキャリア通算40作目とのこと。1951年ブラジル北東部パライーバ州生まれの歌手エルバ・ハマーリョ(Elba Ramalho)の新作『Isso Quer Dizer Amor』は、親しみやすい伝統的なフォホーの素晴らしさを凝縮した作品だ。情熱的でエネルギーに満ちた歌唱は、とても御年72歳とは思えない。

  • 2024-07-14
  • 2024-07-14

モリコーネも久石譲も。新鋭ギター奏者プリニオ・フェルナンデスが奏でる映画史を彩る名曲たち

ブラジルの若手クラシック・ギタリスト、プリニオ・フェルナンデス(Plínio Fernandes)の新作EP『Cinema』は、その名のとおり映画音楽の名曲たちを演奏した作品だ。一部に多重録音も駆使し、クラシックギター1本で表現力豊かに演奏された映画史に残る数々の音楽は、多くの人々の脳裏に名場面を鮮やかに蘇らせるだろう。

  • 2024-07-07
  • 2024-07-07

沈黙の中の小さな声も、やがて大きな音になる──SSWヴェロニカ・フェヒアーニが望む未来

ブラジル・サンパウロ州ヒベイラン・プレト出身のSSW/ギタリスト、ヴェロニカ・フェヒアーニ(Verônica Ferriani)の2024年新譜『Cochicho no silêncio vira barulho, irmã』。タイトルのポルトガル語は直訳で「静寂の中での囁きはやがて騒音になるよ、シスター」の意味で、2枚組のアルバムのほぼ全てが女性だけで作られており、コンセプトも女性そのものの存在と、その存在がもたらす様々な事象をテーマとして扱っている重要作だ。

  • 2024-06-29
  • 2024-06-29

大西洋両岸のルゾフォニアを繋ぐ打楽器奏者ルカ・レボルダン、自身のキャリアを総括するデビュー作

アンゴラ出身、青春時代をブラジルで過ごし、現在はポルトガルを拠点とするパーカッション奏者ルカ・レボルダン(Ruca Rebordão)。これまで200枚以上のアルバムの録音に参加してきたというベテランだが、彼自身の名義としてはこれが初めてのアルバムになるそうだ。『Mestiço Atlântico』、“混血の大西洋”と題された今作で、彼がこれまで過ごしてきたポルトガル語文化圏での多様な音楽をひとつのサラダボウルに入れ、大西洋の両岸をつなぐ壮大な音空間を作り上げた。

  • 2024-06-22
  • 2024-06-22

ボサノヴァ、トロピカリア、レゲエなどの流れを汲んだ極上の現代MPB。男女デュオ Benziê が最高!

ブラジルのデュオ・ユニット、ベンジエー(Benziê)のデビューアルバム『Entre』が素晴らしい。MPB、ボサノヴァ、レゲエ、サーフミュージックなどを混合した清涼感のあるサウンドで、抜群のハーモニー感覚とメロディーのセンス、バランスの良い男女ヴォーカルが最高に気持ちいい。

  • 2024-06-13
  • 2024-06-13

ブラジルの真髄、フォホーという音楽が最高な理由が凝縮された傑作。『Mariana e Mestrinho』

ヴォーカリストのマリアーナ・アイダール(Mariana Aydar)と、アコーディオン奏者メストリーニョ(Mestrinho)による絶品フォホー『Mariana e Mestrinho』。ト・ブランヂリオーニ(Tó Brandileone)によってプロデュースされ、北東部(ノルデスチ)音楽の伝統的な音楽性を軸にしながらも、サウンド面はしっかりと現代感覚が織り込まれた作品に仕上がっている。

  • 2024-06-09
  • 2024-06-09

複雑すぎる時代に生き、感情の全てを発露する驚くべきテナーサックス。先駆者オデッド・ツール新譜

“21世紀のコルトレーン・カルテット”を率いる求道者にとって、この1年間はどのような心境の変化を与えたのだろうか。(2)「Child You」も(3)「Through A Land Unsown」も、曲が佳境に入り感情が昂るにつれ、彼のサックスとしてはこれまであまり聴いたことのない急激で激しい音色の変化を見せる。ガーディアン紙はかつて彼の音色を“サックスのささやき”と表現したが、今作でのサックスの表現はより機微に富み、抑制と発散を絶え間なく行き来し、時折激しい怒りとも深い悲しみともつかない叫びをあげる。

  • 2024-06-06
  • 2024-06-06

ブラジルを代表する名手たちによる至高のクインテットを堪能。マルタ・カラサワ『Tempo Bom』

ブラジル・サンパウロのピアニスト/作編曲家マルタ・カラサワ(Marta Karassawa)がブラジルを代表する名手たちを擁するクインテットで録音した『Tempo Bom』。クインテットのメンバーはピアノのマルタのほか、フルート/サックスのテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)、トランペット/フリューゲルホルンのセヂマール・ヴィエイラ(Sidmar Vieira)、ベースのドイツ出身サンパウロ在住フランク・ハーツバーグ(Frank Herzberg)、そしてドラムスのゼー・エドゥアルド・ナザリオ(Zé Eduardo Nazário)という構成で、いずれも長年ブラジルのジャズの第一線で活躍する凄腕だ。

  • 2024-06-02
  • 2024-06-02

どうしようもなくクレイジーな異端サンバジャズ。鬼才アントニオ・ネヴィス『Deixa Com a Gente』

ブラジルのトロンボーン/ドラムス奏者アントニオ・ネヴィス(Antônio Neves)が新作『Deixa Com a Gente』をリリースした。ある種の狂気やカオスを感じさせた前作『A Pegada Agora É Essa (The Sway Now)』の要素もほのかに残しつつ、全体的にはサンバやショーロの感覚が大幅に強化された作品となった。