- 2021-07-19
- 2021-07-17
音楽の遺伝子を継ぐ二人による稀有な傑作。フラン&シコ・シコ『Onde?』
フラン&シコ・シコ(Fran & Chico Chico)という無名なデュオの音楽に惹かれた。調べてみると、ふたりはブラジル音楽の巨匠の遺伝子を継ぐ者だった。音楽は、脈々と未来へと受け継がれていく。
フラン&シコ・シコ(Fran & Chico Chico)という無名なデュオの音楽に惹かれた。調べてみると、ふたりはブラジル音楽の巨匠の遺伝子を継ぐ者だった。音楽は、脈々と未来へと受け継がれていく。
シンガーソングライターで卓越したギタリストでもあるジョヴァンニ・イアシ(Giovanni Iasi) と、同様にギターと歌をこなすルイーザ・ラセルダ(Luisa Lacerda)の素晴らしいデュオ作品『Nó』。この2人と、曲によってはゲストを加えた最大3人で綴られる音楽は数多のブラジル音楽の名盤の例に漏れずシンプルだがとてつもなく奥深い。
前作『Pleiópolis』(2020年)が好評を博したブラジル・ミナスのベテランSSW、ロブソン・サントス(Robson Santos)の新作EP『Luz Lunar』がリリースされた。今作もトニーニョ・オルタ(Toninho Horta)やディアンジェロ・シルヴァ(Deangelo Silva)といったミナスの新旧の人気ミュージシャンが参加し、洗練されたミナスジャズを楽しめる良作に仕上がっている。
ここ約30年間のブラジルのポピュラーミュージックのシーンを常に第一線で牽引してきたシンガーソングライター、マリーザ・モンチ(Marisa Monte)が、前作『O Que Você Quer Saber de Verdade』(2011年)から実に10年ぶりとなるスタジオ録音新作『Portas』を彼女の54歳の誕生日である2021年7月1日(現地時間)にリリースした。
ブラジルの2015年から活動を続ける人気兄妹コーラスグループ、メリン(Melim)によるジャヴァン名曲集『Deixa Vir Do Coração』が誕生した。ここにはもはやクラシックの貫禄のあるMPBの名曲がずらりと並んでいる。兄妹の歌唱は洗練されており、魔法のようなジャヴァンの音楽と組み合わさることで2020年代のブラジル音楽の姿を鮮やかに描き出す。
ジャズ、クラシック音楽、そしてブラジルの伝統音楽にインスパイアされ続けてきたブラジル・セアラー州都フォルタレザで生まれ育ったピアニスト/マルチ奏者/作曲家チアゴ・アルメイダ(Thiago Almeida)が、2018年のトリオ作『Uneração Vital』以来となる2枚目のソロ作『Permanências』をリリースした。
ブラジル・ミナスジェライス州出身の女性シンガー、マイーザ・モウラ(Maísa Moura)の12年ぶりの2ndアルバム『O Azul Daqui』がリリースされた。象徴的な青色のジャケットのイメージそのままのミナス音楽やブラジル北東部音楽に由来する瑞々しいサウンドは、近年のブラジル音楽の中でも屈指の絶品だ。
フランス生まれ、ブラジルで活躍するヴァイオリン奏者ニコラス・クラシッキ(Nicolas Krassik)によるブラジル音楽の巨匠ジルベルト・ジル曲集『Estrela』がリリースされた。本作はジルベルト・ジルの70〜90年代のレパートリーを中心に選曲されており、ピアノのサロマォン・ソアレス(Salomão Soares)など若手の名手たちとの演奏が収録されている。
ブラジルの若手ジャズピアニストの筆頭格、アマロ・フレイタス(Amaro Freitas)の待望の3rdアルバム『Sankofa』。今作はデビュー当初からの盟友であるベーシストのジーン・エルトンとドラマーのウーゴ・メデイロスとのトリオで約2年をかけて完成された。これまでの彼の作品同様に複雑で数学的なリズム、個性的で豊かな和音、力強くも繊細な打鍵に目を覚まされるような音楽が詰まっている。
ブラジルの7弦ギターの名手ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)、アルゼンチンのバンドネオン奏者マルティン・スエド(Martin Sued)、そしてポルトガルのギター(伝統的な12弦のポルトガル・ギター)奏者ルイス・ゲレイロ(Luis Guerreiro)の3人がリスボンで録音したトリオ・アルバム『Caminantes』の紹介。
ブラジル・サンパウロ出身のシンガーソングライター、マルー・マガリャエス(Mallu Magalhães)が5枚目のスタジオアルバムとなる『Esperança』をリリース。これまでの彼女の作品同様に耳馴染みの良いポップさが全面に出ていながら、ボサノヴァやサンバなど伝統的なブラジル音楽の下地をしっかりと感じさせ、メロウなローズピアノやトランペット、軽やかなパーカッションなどでジャジーに仕上げられた極上の作品になっている。
ブラジルの作曲家/ギタリストのギンガ(Guinga)が自身の71歳の誕生日にあわせリリースした新譜『Zaboio』は、多くの新曲を彼のギターとヴォーカルで表現した類稀な芸術作品だ。子供時代の思い出をテーマに、まだ誰も聴いたことがない音楽を奏でる孤高のアーティスト。西洋音楽の十二音技法の制約の中での表現の極みがここにある。
現在のブラジルを代表する歌姫のひとり、ホベルタ・サー(Roberta Sá)によるサンバ&ボサノヴァ曲集が発表された。アルバム・タイトルはそのまんま『Sambas & Bossas』。この作品は2003年に録音されていながら公式にはリリースされていなかったもので、サンバやボサノヴァの名曲がずらりと並ぶ“幻のアルバム”だ。
著者のピアノの師であるフィリップ・バーデン・パウエル氏から聞いた、“ボサノヴァの神様”ジョアン・ジルベルトの愉快な逸話の数々。