- 2022-06-19
- 2022-06-19
境界なき多ジャンルの混淆。驚異のマルチ奏者ストラショ・テメルコフスキー
マケドニアにルーツを持ち、独学でベースやヴィオラ、マンドリン、パーカッション、ヒューマンビートボックスなどをマスターしたフランスの音楽家ストラショ・テメルコフスキー(Stracho Temelkovski)のデビュー作『The Sound Braka』。40歳を越えてのデビューアルバムは、今まで広く明らかにされていなかったその卓越した才能を世界に知らしめる驚異的なアルバムだ。
マケドニアにルーツを持ち、独学でベースやヴィオラ、マンドリン、パーカッション、ヒューマンビートボックスなどをマスターしたフランスの音楽家ストラショ・テメルコフスキー(Stracho Temelkovski)のデビュー作『The Sound Braka』。40歳を越えてのデビューアルバムは、今まで広く明らかにされていなかったその卓越した才能を世界に知らしめる驚異的なアルバムだ。
フランスを代表するジャズ・クラリネット奏者ルイ・スクラヴィス(Louis Sclavis)が、チェロ2台とパーカッションという意欲的なカルテットで録音した2022年新譜『Les Cadences du Monde』。前衛的な室内楽といった形容が相応しい、美しく芸術的な音楽だ。
ピアノ奏者ジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)とヴィブラフォン奏者クリストス・ラファリデス(Christos Rafalides)のデュオ作品『Silver Lining』。アルバムタイトルのシルヴァーライニングとは空を覆う暗雲の縁の、裏側から太陽の光があたって銀色に輝く部分を差し、比喩的には“困難な状況下での希望の光”といった意味を持つが、ピアノとヴィブラフォンのみで演奏される彼らの音楽はまさしくそんな状況を的確に表している。
作曲とヴォーカルを担うロレダナ・グリマウド(Loredana Grimaudo)とDJ&プロデューサーのロベルト・コスタ(Roberto Costa)率いるイタリア・シチリア島発のスウィングロワーズ(Swingrowers)の2021年末リリースの新譜『Hybrid』は、1920年代のスウィングジャズと近年のEDMの融合であるエレクトロ・スウィングのシーンの中でもとりわけクオリティの高い作品だ。
70歳を越えた今もなお美しい新曲を書き続け、膨大なディスコグラフィをすごい勢いで拡張し続けるヨーロッパ随一の巨匠ピアニスト/作曲家エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)のピアノトリオによる新譜『Something Tomorrow』。美しく抒情的な楽曲群、その一方で鋭くグルーヴする演奏も聴かせるなどピエラヌンツィの音楽の真髄を捉えた作品になっている。
オーストリア生まれのピアニスト、ダヴィッド・ヘルボックと、フランス生まれYouTube育ち(?)のジャズ・ヴォーカリスト、カミーユ・ベルトーのデュオアルバム『Playground』。一見するとピアノと女性ヴォーカルというよくあるデュオのフォーマットだが、そこはユニークな個性と経歴を持つこの二人だからこそ成し得た、非常に特色のある作品に仕上がっている。
イタリア・ナポリのディスコファンクユニット、ニュー・ジェネア(Nu Genea)の4年ぶり新譜『Bar Mediterraneo』。シンセやベース、ギターのカッティングが効いたディスコ・ファンクを基幹に、南イタリアやアフリカ、中東、南ヨーロッパのさまざまな民族音楽が組み合わさり誕生したサウンドは懐かしさもあり、何よりも心を躍らせる。
スペイン・カタルーニャのSSW、リア・サンパイ(Lia Sampai)がギタリスト/アレンジャーのアドリア・パジェス(Adrià Pagès)とともに作った2nd『Amagatalls de Llum』が素晴らしい。カタルーニャの歌手特有の繊細で圧倒的な歌唱表現力と、ガットギターの柔らかな響きが相まってなんとも深みのある味わいの音楽に。
イタリアのベーシスト/作曲家ヤコポ・フェラッツァ(Jacopo Ferrazza)の新譜『Fantàsia』は、一般的なピアノトリオに加え女性ヴォーカルやチェロ、ライヴ・エレクトロニクスも加えたスケールの大きな作品だ。
デンマークから面白いバンドが現れた。トーン・オブ・ヴォイス・オーケストラ(Tone of Voice Orchestra)は2018年に結成。4人のヴォーカリストに2人の打楽器奏者、フィドル、ハーディ・ガーディ/バグパイプ、サックス/フルート、そしてダブルベースという10人編成で北欧の伝統音楽やジャズ、欧米のフォークミュージックに影響されたサウンドを展開する。
ドイツの技巧派女性ドラマー/作曲家アニカ・ニルス(Anika Nilles)の新譜 『Opuntia』がリリースされた。全曲がアニカ・ニルスのオリジナルのインスト曲で、メトリック・モジュレーションや変拍子を駆使したテクニカルなフュージョン・サウンドと、特にドラムスの演奏においては手数が多く重たいビートを楽しめる好盤だ。
イタリア南部の伝統音楽を復興させる活動を続ける作曲家/打楽器奏者/シンガーのアントニオ・カストリニャーノ(Antonio Castrignanò)。彼の新作『Babilonia』は、その名のとおりメソポタニア文明の中心にあった古代都市バビロンをテーマに据えた壮大な抒情詩だ。
フランスのベーシスト/作曲家ジャン=フィリップ・ヴィレ(Jean-Philippe Viret)。21世紀のジャズ・ピアノトリオに革命を起こした彼のトリオによる、これまでの輝かしい軌跡を辿るような作品『In vivo』が世に公開された。
フランスのピアニスト/作曲家ティエリー・マイヤール(Thierry Maillard)の新譜『Caméléon』は、7名の女性ヴォーカリストを含む総勢17名のミュージシャンが参加した意欲的なアルバムだ。収録の楽曲群はいくつものレイヤーに重なる声と現代的なジャズのアンサンブルで、なかなかありそうでなかった個性的な内容。アレンジも変化に富み、変拍子の面白さや展開の妙が楽しめる。