数学と音楽の交叉点。ステファン・テーレンが描き出す宇宙神秘的フラクタル、Fractal Sextet

Fractal Sextet

ステファン・テーレンの最新プロジェクト Fractal Sextet

米国生まれ、スイスを拠点に活動するギタリスト/作曲家ステファン・テーレン(Stephan Thelen)の最新プロジェクト、Fractal Sextetのデビュー作『Fractal Sextet』。変拍子が基本となる複雑なリズムながら、一定の法則性を持ったシーケンスの繰り返しや、打ち込みでは表現し得ない人力アンサンブルが奇妙な心地良さを与えてくれる作品だ。

10/4 + 11/4拍子という複合変拍子を基本リズムとし、10分以上にわたってさまざまな表情を見せる(1)「Zeptoscope」に始まり、ポリリズムの恍惚な絡み(2)「Fractal 5.7」、宇宙神秘的な(3)「Planet 9」など高度に洗練されたアレンジながら各自の即興の余地を充分に残した楽曲群は数学者でもあるステファン・テーレンの真骨頂で、キング・クリムゾン(King Crimson)をも彷彿させる。

バンドのメンバーは近年のステファン・テーレンのソロ名義で発表されたアルバムにも参加していた米国ボストン出身のギター奏者ジョン・ドゥラント(Jon Durant)、空間的なプレイが魅力の鍵盤奏者ファビオ・アナイル(Fabio Anile)、スイスの打楽器奏者アンディ・プパト(Andi Pupato)に加え、イスラエル出身で変拍子のマスターであるドラマーのヨゲフ・ガバイ(Yogev Gabay)、さらに英国のプログレ・バンドPorcupine Treeでも知られるオーストラリア出身のベーシスト、コリン・エドウィン(Colin Edwin)で構成。音楽を数学的な概念で捉え、尽きることのない探究心から生まれる独創的なアンサンブルは、リスナーを彼らの世界観に強制的に引き摺り込む。

アルバムのティーザー動画。

Fabio Anile – piano, electric piano, synth, sampled instruments
Jon Durant – fretted, fretless & cloud guitars
Colin Edwin – bass guitar
Yogev Gabay – drums
Andi Pupato – percussion
Stephan Thelen – guitars, e-bow, fractal delays, programming

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