- 2024-01-30
- 2024-01-29
総合芸術としての音楽を探求する6人組Aligaga、ユーモラスでクリエイティヴな新譜
オランダの音楽学校で出会った6人の若者たちにより2014年に結成されたジャズバンド、アリガガ(Aligaga)。2023年の新譜『Music Might Help』は、彼らの好奇心に満ちた音楽の世界観を存分に楽しめる作品だ。
オランダの音楽学校で出会った6人の若者たちにより2014年に結成されたジャズバンド、アリガガ(Aligaga)。2023年の新譜『Music Might Help』は、彼らの好奇心に満ちた音楽の世界観を存分に楽しめる作品だ。
ブラジルのドラマー/ザブンベイロ/作曲家クレベール・アルメイダ(Cleber Almeida)は、新作『Bem Sacolejado』でブラジル北東部の伝統音楽フォホーと、ジャズを高度に融合することに成功した。このジャンルでは真っ先にトニーニョ・オルタ(Toninho Horta)の『Com O Pe No Forro』(2004年)が思い起こされるが、今作もそれに匹敵する作品で、喜びを直情的に表現するブラジルらしさが大好きだ。
1997年ポーランド生まれのベーシスト/作曲家キンガ・グゥイク(Kinga Głyk)が、前作『Feelings』から4年以上ぶりとなる新作『Real Life』をリリースした。今回は共同プロデューサーにスナーキー・パピーのマイケル・リーグ(Michael League)を迎え、これまでの作品にも通底するジャコ・パストリアスやスタンリー・クラーク的な音楽表現を引き続き基幹に据えつつ、これまで以上に洗練された現代のジャズファンク/フュージョンを気持ちよく聴かせてくれる絶品に仕上がっている。
インド系スイス人のヴァイオリニスト/作曲家、べイジュ・バット(Baiju Bhatt)が自身のバンドであるレッド・サン(Red Sun)を率い録音した2018年の『Eastern Sonata』から5年。自身のルーツであるインド音楽に、ジャズロックの側面からアプローチするプロジェクトがよりスケールアップし戻ってきた。2023年の新作『People of Tomorrow』では、前作から引き続きゲスト参加するグェン・レ(Nguyên Lê)やプラブー・エドゥアール(Prabhu Edouard)に加え、新たな凄腕ゲストも多数参加。アルバム全体で約52分間の濃密な音楽体験を味わえる驚異的な作品に仕上がっている。
1942年ネブラスカ州生まれの伝説的ギタリスト、カルヴィン・キーズ(Calvin Keys)が、甥でケンドリック・ラマーやスヌープ・ドッグのプロデューサーとして知られる1978年生まれのテラス・マーティン(Terrace Martin)との双頭名義で新作『The Near North Side』をリリースした。
ノルウェーのピアニスト、ブッゲ・ヴェッセルトフトと、ともに元e.s.t.のベース奏者ダン・ベルグルンドとドラマーマグヌス・オストロムによるトリオ、リムデン(Rymden)。3枚目のスタジオ・アルバムとなる『Valleys and Mountains』は一聴した感じ、これまでの開放的で冒険的な印象のサウンドから地に足のついたサウンドにシフトしたような印象を受けた──だが、…
モロッコとセネガルにルーツを持ち、フランスで活動するドラマー、モクタル・サンバ(Mokhtar Samba)の新作『Safar』。キャリアの初期でエディ・ルイスに見出され、ジャコ・パストリアスのサポートを行い、その後スアド・マッシ、サリフ・ケイタ、ユッスー・ンドゥール、カルリーニョス・ブラウン、カルロス・サンタナ、ジョー・ザヴィヌルら多くの世界的音楽家とプレイしてきた1960年生まれの彼が今もなお音楽観をアップデートし続け、最先端でいることを証明する傑作だ。
やはり、彼は現代最高のギタリストのひとりだろう。イスラエル出身、ニューヨークで活動するロテム・シヴァン(Rotem Sivan)。古典的なジャズからヒップホップ、ネオソウル、インド音楽、ロックなど様々な要素から影響を受けた実験的な音作りなど好奇心の旺盛さが窺え、どんなことをやってもセンスの塊のように素晴らしい音楽を生み出す天才。2024年1月、新作『Dream Louder』をリリース。
イタリア出身ベルギー在住のドラマー、アルマンド・ルオンゴ(Armando Luongo)がセクステットで録音したデビュー作『New Lands』。全曲が彼の作曲で、演奏陣はピアノのワジディ・リアヒ、ベースのバシーレ・ラオラ、トランペットのジャン=ポール・エスティヴィナート、サックスのマット・チャルク、そしてギターのジョヴァンニ・ディ・カルロというベルギーのジャズシーンで躍進する気鋭の若手で固められている。
イタリアのピアニスト、シャーデー・マンギアラシーナ(Sade Mangiaracina)がすべての人々が関わるべき抽象的で神聖なものに捧げる2枚組の新作。情緒豊かで調和のとれたVol.1と、悲嘆に咽び泣くようなトランペットが印象深いVol.2の対比も素晴らしい。アルバムは今この時代・社会でもっとも必要と思われる”祈り”(1)「My Prayer」で始まる。
エルメート・パスコアールやイチベレ・ズヴァルギとの関係も深いブラジル・リオデジャネイロ出身のマルチ奏者/シンガー/作曲家のカロル・パネッシ(Carol Panesi)が5枚目のスタジオ・アルバム『Natureza é Casa』をリリースした。クラシックやジャズをも内包したブラジル音楽の豊かさを実感する作品に仕上がっている。
フランス出身の気鋭ジャズ・ヴィブラフォン奏者シモン・ムリエ(Simon Moullier)が気心知れたトリオで録音した新作アルバム『Inception』。所謂ジャズメン・オリジナルのカヴァーをメインに、持ち前の超絶技巧で疾走感のあるジャズを聴かせてくれる快作だ。
ロシア・モスクワ州出身、ドイツ・ベルリン在住のピアニスト/作曲家スヴェトラーナ・マリンチェンコ(Svetlana Marinchenko)の3rdアルバム『Between the Times』がリリースされた。これまで好奇心に溢れたプログレッシヴな音楽を放ってきた彼女にとって、今作はより社会的なテーマへと変遷を遂げたアルバムに仕上がっている──もちろん、それは彼女を取り巻く社会情勢に強く影響を受けたものだ。
クラリネット奏者アンドレアス・ロイサム(Andreas Røysum)が率いるノルウェーの総勢12名の若い器楽奏者によるフリージャズ・バンド、アンドレアス・ロイサム・アンサンブル(Andreas Røysum Ensemble)が3枚目となるアルバム『Mysterier』をリリース。2人のドラマー、2人のベーシスト、木管4、金管2、そしてフィドルとチェロという編成で、統制とカオスを流動的に行き来する演奏はリスナーを興奮の渦に飲み込む。