- 2023-12-02
- 2023-12-03
ベルリンから、今にも爆発しそうな“ジャズの未来”が現れた──。Moses Yoofee Trio デビューEP『Ocean』
ドイツ・ベルリンを拠点に、その圧倒的なライヴ・パフォーマンスなどで急速に熱狂的ファンを拡大するモーゼス・ユーフィー・トリオ(Moses Yoofee Trio)が初のミニアルバム『OCEAN』をリリースした。かなりセンセーショナルな出来栄えで、必聴の作品と言って過言ではないだろう。
ドイツ・ベルリンを拠点に、その圧倒的なライヴ・パフォーマンスなどで急速に熱狂的ファンを拡大するモーゼス・ユーフィー・トリオ(Moses Yoofee Trio)が初のミニアルバム『OCEAN』をリリースした。かなりセンセーショナルな出来栄えで、必聴の作品と言って過言ではないだろう。
2023年も残りわずか。まさかこのタイミングでこのような朗報が訪れるとは思わなかった。2019年の『Tomorrow's New Dream』より4年ぶり、通算19作目のアルバムとなるインコグニート(Incognito)の新作『Into You』が発表されたのは10月末の事だ。
独特の視点・さまざまなアプローチ方法でピアノという楽器の可能性の探求を続けてきたフランスの先駆的ピアニスト/作曲家エドゥアール・フェルレ(Edouard Ferlet)が『PIANOïD²』をリリース。ヤマハの「ディスクラヴィア」によってコントロールされた自動演奏ピアノと、自身が即興も交え演奏するサイレントピアノという2台のピアノによる未踏の音楽が繰り広げられる。
トルコ・イスタンブールの作曲家/建築家/デザイナーのビュシュラ・カイクチャ(Büşra Kayıkçı)は、新作アルバム『Places』でその驚くべき才能をあらためて世界に広く示した。ポーランドの鬼才スワヴェク・ヤスクウケ(Sławek Jaskułke)をも彷彿させるアンビエントな深い音響と余韻のピアノで、建築学を学びそれを作曲にも投影する彼女独自の哲学と音楽観を表現している。
韓国出身のヴォーカリスト/即興音楽家サニー・キム(Sunny Kim)と、アルメニア出身のピアニストのヴァルダン・オヴセピアン(Vardan Ovsepian)、そして米国のギタリストのベン・モンダー(Ben Monder)による“静寂”をテーマにした即興音楽プロジェクト『Liminal Silence』。ここにある音は終始瞑想的で、タイトルのとおり音楽と静寂の間にある機微な閾を表現する。
現代のニューヨークのジャズシーンを支えるベーシスト、ノーム・ウィーゼンバーグ(Noam Wiesenberg)の新作『NeoNomadic』が素晴らしい。リーダーとして初の作品となった前作『Roads Diverge』はシャイ・マエストロ(Shai Maestro)やイマニュエル・ウィルキンス(Immanuel Wilkins)といった世界最高峰のプレイヤーの参加もあり話題となったが、今作ではそうしたビッグネームの名前がなくとも作編曲家/ベーシストとして唯一無二の極致に達することを証明する非常に密度の濃い完成度に度肝を抜かれる。
フランスの新鋭ピアノトリオ、マルク・プリオーレ・トリオ(Mark Priore Trio)がデビュー作『Initio』をリリースした。トリオは2023年に創設されたばかりの若手ジャズタレント・コンテストであるルネ・ユルトルジェ賞(Prix René Urtreger)の審査員賞に輝いており、本作ではフレンチ・ジャズの次世代を担うであろう彼らの実力を余すところなく鑑賞することができる。
アフロブラジル音楽の大マエストロ、ウビラタン・マルケス(Ubiratan Marques)が、ソロアルバム『Dança do tempo(時間の踊り)』をリリースした。彼の長いキャリアで初めてのソロアルバムとなる。アフロ・バイーアの伝統を存分に踏まえディープながらも聴きやすい、器楽だけでなく歌も中心の傑作アルバムだ。ロウレンソ・ヘベッチスの『O CORPO DE DENTRO』が衝撃を持って広範囲に受け入れられたように、本作が多くの人に聴かれることを期待したい。
ヨルダンの首都アンマンで2007年に結成されたアウトストラッド(Autostrad)はロック、レゲエ、ラテン、ファンク、ジャズ、アラブ伝統音楽を組み合わせたバンド名「高速道路」のとおりの疾走感のある音楽をアラビア語のヨルダン方言で歌う、アラブ圏で非常に人気のあるバンドだ。アラビア語圏を中心に各国でツアーを行なっているが、2014年にはイギリス・ロンドンでも演奏をした。
ニューヨークで活動するマダガスカル系フランス人ピアニスト/作曲家、マティス・ピカード(Mathis Picard)による初のフルレンスのスタジオアルバム『Heat of the Moment』。3つのピアノトリオを軸に、オールスターとも呼べるゲストたちを迎えて制作された本作は、彼の自然への深い愛や、人間と自然の関わりについてをテーマにした探求の音楽だ。
イスラエル屈指のピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツ(Nitai Hershkovits)が2018年の『New Place Always』以来となるソロピアノ作品をリリースした。『Call On The Old Wise』と題された今作は前作以上のボリュームで全18曲50分、抒情の海に深く深く潜り込むような豊かな音楽体験に浸る傑作と言って過言ではないだろう。
2020年にリリースされたアルバム『Trio Grande』は、卓越した技術と個性を持つ現代最高峰のミュージシャンによる新たな化学反応が絶賛されたとてつもない作品だった。彼らの2nd『Trio Grande: Urban Myth』は、ウィル・ヴィンソンとギラッド・ヘクセルマンはそのままに、USのドラマー/ベーシスト、ネイト・ウッド(Nate Wood)がアントニオ・サンチェスに代わり参加。新たな化学反応が楽しめる作品となっている。
トルコ出身のベーシスト、エサット・エキンジョール(Esat Ekincioğlu)とイタリア出身のサックス奏者ジュゼッペ・ドロンゾ(Giuseppe Doronzo)、そしてスイス出身のパーカッション奏者ピノ・バシーレ(Pino Basile)によるアヴァン地中海ジャズ・トリオ、Ava Trio。ジャズのフォーマットに則りながら南欧、中東、北アフリカをぐるっと一周するような新鮮な音楽体験は唯一無二だ。
その美しいソロピアノ作品が多くの人々に心の癒しをもたらすウクライナ出身カナダ在住のピアニスト/作曲家、ミラナ・ジルニク(Milana Zilnik)。彼女の2023年の新作『Metamorfosi』は、エレクトリック・ギターやストリングスなども交えたクラシック・クロスオーヴァーあるいは現代ジャズの作風が特徴的。それでいながらどこか懐かしさすら感じさせる柔らかな聴き心地が不思議な安心感をもたらす、素敵なアルバムだ。