エレクトロスウィングのパイオニア Parov Stelar、新譜でアルゼンチンタンゴのあの名曲をカヴァー

Parov Stelar - Voodoo Sonic 3

パロヴ・ステラー 2020年新譜、万人におすすめの良質エレクトロスウィング

2010年代の欧州でのエレクトロ・スウィングのブームを牽引したオーストリアの作曲家/プロデューサー、パロヴ・ステラー(Parov Stelar)『Voodoo Sonic 3』がリリースされた。

今作で驚いたのは、アルゼンチン・タンゴの往年の名曲「El Choclo」(1903年)を英語でカヴァーした米歌手ジョージア・ギブス(Georgia Gibbs)の「The Kiss Of Fire」(1952年)のサンプリングが用いられた(3)「Tango Del Fuego」だ。原曲のBPMをだいぶ早め、強烈なビートを乗せてはいるがサンプリングされた原曲のローファイ感が懐かしさも想起させ、見事なエレクトロスウィングに昇華しているこの曲は、改めてこのジャンルを開拓した彼の偉大さを思い知らされる。
個人的にこうした南米テイストの作品はエレクトロスウィングではあまり聴いたことがなかったので、とても新鮮な組み合わせに感じられた。

(3)「Tango Del Fuego」のMV。
原曲はアルゼンチンタンゴの名曲「エル・チョクロ」

他はパロヴ・ステラーらしいセンスの良い曲が並ぶ。(2)「Purple Moon」、(4)「Pink Dragon」といった王道サウンド、少しアコースティックなスウィングに寄せた(5)「Silver Line」、(7)「Crush & Crumble」などパイオニアらしい安定のサウンド。
とにかくかっこいいので、ぜひチェックしてみてほしい。

(4)「Pink Dragon」はいかにもエレクトロ・スウィングといった印象の強い楽曲。

パロヴ・ステラー 略歴

オーストリア出身のパロヴ・ステラー(Parov Stelar、1974年 – )は、ジャズやハウスミュージックをエレクトロ・ポップやEDMと融合させたジャンル“エレクトロ・スウィング(Electro Swing)”のパイオニアとして知られている。

2010年代には7度にわたりアマデウス・オーストリア音楽賞を受賞。マーヴィン・ゲイやレディー・ガガとも共演している。
これまでに10枚以上のアルバムをリリース。サブカルチャーの一翼として目が離せない存在だ。

Parov Stelar - Voodoo Sonic 3
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