2024年が幕を開けた。
コロナによる制約から段々と日常を取り戻した2023年。
ウクライナ戦争やガザ地区の状況、日本においては能登地震など、手放しで喜べる状況ではないことは理解しながらも、新たな年を迎えた今この時くらいは楽しむことも許されるはずだ。
音楽。
「音を楽しむ」と書くこの言葉の前においては、楽しむことが正しくあるべき姿なのである。
発表自体は昨年の3月ながらも延期に延期を重ね、ようやく昨年末にフィジカル化されたSigala(シガーラ)の実に5年ぶりの新作『Every Cloud,Silver Linings』。まさに楽しむための音楽ともいうべきこの作品を、このタイミングで紹介していきたい。
英国オールスターとも言える豪華な客演陣と、タイトルが意味するもの
(1)「Feel This Good」は旬の英国アーティストを集めた豪華な楽曲。MVではまさにトロピカル・ハウスといったリゾート感と、メイ・ミュラー(Mae Muller)をはじめ、ケイティ・ベイザー(Caity Baser)、ステフロン・ドン(Stefflon Don)といった麗しい女性たちが映し出されるキラキラした映像が印象的だが、その音楽性も折り紙付き。特にメイ・ミュラーはアバ、セリーヌ・ディオン、マネスキンなどを輩出したユーロ・ヴィジョンのイギリス代表でもあり、これからを期待される英国の新人シンガーだ。
(4)「Living Without You」はデイヴィッド・ゲッタ(David Guetta)と共にサム・ライダー(Sam Ryder)をフィーチャー。こちらも日本では馴染みがないが、力強い歌声とルックスが魅力のシンガー。ちなみにサム・ライダーもまたユーロヴィジョンの出身。
(3)「Radio」はシンガーソングライターのMNEK(エムニケ)をフィーチャー。クインシー・ジョーンズ「愛のコリーダ」をサンプリングした「Girlfriend」で有名となったエムニケと、ジャクソン5「ABC」をサンプリングした「Easy Love」で有名となったsigalaがコラボというのも興味深い。
(6)「Wish You Well」ではまだ10代の若きシンガー、ベッキー・ヒル(Becky Hill)と共演。彼女の21年作『Only Honest On The Weekend』の「Heaven On My Mind」にはsigalaが参加しており、本曲は本作品の中にも再収録されている。
上記のように若いアーティストのフックアップの色合い強い本作品だが、一方で有名アーティストとのコラボも多数果たしている。
(7)「Lasting Lover」のジェイムズ・アーサー(James Arthor)をはじめ、(8)「All By Myself」ではエリー・ゴールディング(Ellie Goulding)、(9)「You for Me」ではリタ・オラ(Rita Ora)と共演。
(10)「Rely On Me」はイタリアDJ界の重鎮であり、ミニストリー・オブ・サウンドのレーベルメイトでもある、alex gaudinoとの競演による最高のダンスナンバーだ。
新旧英国オールスターとも言える布陣で発表された本作。
同様に近しいアーティストを揃えて発表されたパーソナルなKygoの作品とは真逆のダンサブルなトロピカルハウスは、sigalaの音楽観をまさに体現したアルバムと言える。
本作のタイトルは、17世紀のイギリスの詩人・ミルトンによるもの。
“Every cloud has a silver lining(どの雲にも銀の裏地がついている)”
様々な悲しい出来事で曇った世界の裏側に広がる太陽が燦々と照らす輝かしい光景。
sigalaのこの最新作で鳴らす音楽は、まさに世界を覆う雲の裏側に広がる景色そのものに違いない。
プロフィール
イングランド出身のDJ/プロデューサー 。
15年にプロデュースを手掛けた英シンガー、エラ・エアの「グッド・タイム」がヒットし注目を集めると、15年9月にリリースしたデビュー・シングル「イージー・ラヴ」が全英シングル＆ダンス・チャートで共に1位を獲得。18年10月にリリースしたデビュー・アルバム『ブライター・デイズ』は日本iTunesダンス・チャート1位を獲得している。
19年5月以降に「ウィッシュ・ユー・ウェル」「ウィー・ガット・ラヴ」「ヘヴン・オン・マイ・マインド」「ラスティング・ラヴァー」などのシングルを立て続けにリリース。 それらを収録し、満を持してリリースされた2ndアルバムが本作『Every Cloud,Silver Linings』が今回フィジカルリリースされた。
(Sony Music Japan 公式より抜粋)